エアコンを選ぶ時の基準になるのが「畳数表記」。はたしてその表記は本当に「最適な畳数」なのでしょうか? 本当はだいぶ余力があるのでは?と思った編集部のさとCが、あえて小さなエアコンに買い換えて試してみました。

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エアコンの「常識」に物申す

こんにちは。さとCです。毎日暑いですね!皆さんの家でもエアコンがフル稼働している毎日だと思います。

さてエアコンといえば、自宅で12年くらい使用したエアコンを、今年やっと買い替えたのですが、あえて「小さなエアコン」に買い換えてみることにしました。

筆者宅はマンションで、12畳のリビングの隣に6畳の和室があり、一体にして使用しているのですが、あえて「10畳用」(買い替え前は14畳用)にしてみました。つまり、18畳の広さを10畳用のエアコンで済まそうとしたわけです。

もちろん、電器店の店員に聞いたり、ネットで「エアコンの選び方」で検索したりすると、必ず

部屋の広さに適したエアコンの畳数を選びましょう。さもないと…云々

ということが常識として言われているのは重々承知しています。しかしながら、広い畳数に対応したエアコンって高いですよね!

「部屋の広さに合わせた畳数のものを選びましょう。パワーに余裕がないと余計に電気代がかかったり、寿命が短くなってしまいます」などと言われていたりするのですが、果たしてそれは本当なのか?

最先端の技術で作られた電化製品なのに、多少部屋が広いとか狭いで不具合が生じるような、そこまで繊細な製品なのか?と思ったわけです。

そもそも、「エアコン 選び方」で検索上位に出てくるようなサイトは、ほとんどがアフィリエイト(成果報酬)で、見に来た人を広告やサービスの申込みへ誘導するための情報として書かれていることが多く、世間一般でよく言われているような当たり障りのないことしか書かれていないことがほとんどなのです(もちろん、中には非常に役に立つサイトもありますが)。

エアコンの「過剰性能」は学術的にも検証済みだった!?

きっかけは、ある建築専門誌に「最近の住宅の気密・断熱性能に対して、エアコンの能力を検証すると、カタログの畳数表記はかなり余力がある」という記述があったことです。

カタログには「木造6畳~鉄筋8畳」みたいに書いてありますが、そもそも築年数の古い隙間だらけの木造6畳と、断熱性能の高い新築マンションの8畳で同じスペックが必要なわけはないですよね。

他にも、部屋の向きや階数など、使用される環境で必要なスペックは大きく違うはずなのに、基準となる畳数表記がざっくりすぎます。

そもそも、この畳数表記のもとになる規格が、50年以上も前の1964年に制定されて以降は改正されておらず、今どきの住宅性能とはかなりかけ離れた数値になっているとのこと。なので、「8畳」と書かれていても、それはかなり余裕を持たせた「8畳」なのではないかと思ったわけです。

また、電力中央研究所が作成した「エアコン選定支援ツール」というものが公開されていることがわかりました。このツールは、居住地域や住宅性能、部屋の向き、階数、使用状況をもとに、最適なエアコンを選定できるというものです。

エアコン選定支援ツール「ASST」の画面。自宅の使用条件に合わせて試算できます

このツールの開発経緯として、

従来の畳数めやすを用いてエアコンを選定すると、現在の住宅の熱負荷値から求めたエアコンよりも過大な冷暖房能力の機器が選ばれ、消費電力量の増大につながることが指摘されています。

出典:電力中央研究所 『エアコン選定支援ツール「ASST」

と書かれています。

さらに、「エアコン選定の判断材料のもとになっている規格等の調査やメーカ等へのヒアリング、Web調査(のべ約3000人)を行い、抽出された課題に基づき新たなエアコン選定方法の検討を行いました」とのことで、まさしくメーカーや小売店への忖度なしのガチな選定ツールなのです。

必要な性能を試算してみると…衝撃の結果に!

まさに今回の買い替え意図にぴったりなツールだ!と思いながら試算してみると、18畳の部屋におすすめのエアコンは「2.5kW」と出ました。「2.5kW」とは、

おもに8畳用(冷房:木造7~鉄筋10畳)

というスペックです。電器店の店頭では、だいたい“2番目に小さいやつ”として展示されているものです。

もちろん、「急速に冷やしたい!」といった立ち上がりの速さを求めるのであれば、それなりに高い能力のものが必要になると思いますが、「結果冷えれば(暖まれば)OK」という程度の筆者の場合はこのスペックでも十分そうです。

まあ安全を見て、それより一段階上のものを選んでおこうか、ということで、結果「ほぼ10畳用」のエアコンを導入することにしました。

実際に半年使ってみた結果…!?

設置工事に来た人にも、

やめておいた方がいいです。そんな(バカな)ことする人はいませんよ!今なら返品できますよ!

と止められる始末だったのですが、「いや、あえて小さいのを選んだので…」と工事を進めてもらいました。なお、14畳用から10畳用への買い替えは、200Vから100Vへのコンセント工事が必要になります(逆もそうです)。

実際に長期間試した結果は…

全く問題なし!

当たり前なのですが普通に、十分すぎるほど冷えます。小さなエアコンだからといって、パワー全開でうなりながら冷やすというわけでもなく、いたって静かに、クールに冷やしてくれます。

もちろんパワーの小さな機種に買い替えたので、部屋の全体が冷えるまでは、以前よりも少し時間がかかるかな?というくらいです。

1月に買い換えたので、暖房についても検証済み。こちらも十分に暖まります。電気代が余分にかかっているわけでもなく、世の中で語られている常識って何だったの?と思ってしまいました。

マンションや戸建てなど、構造によって大きく変わると思いますので、決して全ての人におすすめするわけではありませんが、最近の気密性の高い建物であれば、あんまり厳密に畳数を合わせる必要はないことがわかりました。

エアコンを買い替える場合は、「畳数ダウン」というのも検討の価値ありですよ(※)

※試す場合は自己責任でお願いしますね

この記事を書いたライター

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さとCさん

中3男子、小5女子、保育園5歳女子の3人の子育てパパです。好きなものは「電気で動くもの」と「自転車」。家庭内でのデジタル活用について、我が家のノウハウをお届けします。

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