創業90年の「クサカベ」は、油絵具や水彩絵具を作る会社です。普段なかなか見ることのできない、油絵具を作る工程を見学したり、水彩絵具作りを体験したりしてきました!専門スタッフによる絵具の話や、創業当時の興味深い話なども紹介します。

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ようこそ、クサカベ絵具工場へ

クサカベ工場は、埼玉県朝霞市にあります。JR「北朝霞駅」と東武東上線「朝霞台駅」から、西武バスに乗ること約10分。「膝折横町」で降りると、左手に見えます。バスも5分おきに出ているので便利です。

写真の右奥にある、青い建物の2階が集合場所となります。エントランスにはたくさんの絵が飾られていて、まるでギャラリーのようです。

創業者の日下部さんは元々、何の職業?

受付を済ませたら、見学と体験の流れについて説明していただいた後、クサカベの歴史についてうかがいます。

左が大人用エプロン、右が子ども用エプロン

なんと!この会社を作った日下部さんは、元々薬剤師さんだったそう!

実は昔、絵具の材料となる顔料(化学物質)は、資格(毒劇法)を持った人しか取り扱えませんでしたが、薬剤師は取り扱いが可能。困った画家や学校の先生から「絵具を作ってほしい」と、頼まれたことがきっかけでスタートしたんですって!びっくりですよね。

一度に80人を収容できる、広いスペース

専門スタッフによる絵具の話

すべての絵具は粉末状の顔料(色の素)と、バインダー(ノリの要素)が混ざってできています。油絵具のノリは「油」、水彩絵具のノリは「アラビアガム」という樹脂で、水によく溶けるんだとか。キャンディーやソフトドリンクにも使われているようです。

この茶色い塊がアラビアガム
カラフルな顔料が並んでいます

いよいよ工場見学!油絵具ができるまで

工場に入ると、いきなり巨大な絵画がお出迎え。4m×4mの迫力ある動物の絵なので、思わず「わー、すごい!」と声が出てしまいます。象の鼻が特に立体的ですよね!とても平面の絵とは思えない~。

まずは、オイル室で油絵具に混ぜる油を作る工程を見学します。白いチップを触らせてもらいました。これを加熱して、亜麻仁油などの植物油の中に溶かします。

ミキサーで顔料と油、助剤を混ぜています。機械自体が丸っこくて、かわいい~。見たこともない機械を目の前にして、テンション上げ上げです。(笑)

さらに小窓を覗くと、中でかき混ぜている様子がよくわかります。

続いて、ロール室へ。「3本ロールミル」と呼ばれる機械に通すことで、顔料のダマがほぐれ、油と均一に練り上がります。ロールには、鉄・御影石・セラミックの3種類があり、顔料によって使い分けます。おもしろい形ですね~。

1色を完成させるのに、このロール工程を4~5回繰り返すそう!

職人さんの丁寧な仕事によって、きめ細やかで滑らかなツヤのある油絵具が完成するんですね。まっ茶ジェラートみたい、食べたい!(笑)

品質管理室では、できあがった油絵具の品質を厳しくチェックし、基準に合格したものだけが製品化されます。

1週間~1カ月ほど寝かせて熟成させた後は、チューブに詰める工程へ。1分間に40本、1日ではなんと4000本も作ってるみたいですよ!

ラベルを自動で貼る機械を経て、箱詰めされます。チューブがつぶれないように、ふんわり貼られていくのが印象的でした。

水彩絵具を作ってみよう!

工場見学が終わったら、いよいよ水彩絵具作り体験!「ウルトラマリンブルー」か、「レモンイエロー」のいずれかを選んで作ります。どっちの色も発色が良くて、とってもキレイですね。顔料をスプーンすり切り1杯と、ノリ(アラビアガム)を袋に詰めたら、やさしく手で揉んで混ぜますよ~。

爪は立てず、モミモミモミモミ。

時々、光にかざしてダマになっていないかを確認しながら、ひたすら混ぜます。「ちゃんと混ざったね」とOKをもらったら、角を1カ所カットして、チューブに詰める作業へ。「こぼさないように気を付けて~」とハラハラ。(笑)

上から2cmのところまで入ったら、お尻部分を機械に挟んで、3つ折りに。

手描きラベルを貼って、世界に一つだけの絵具が完成♪

もったいなくて使えないかも!

売店コーナーでお得に買おう!

売店コーナーでは、店頭で販売できない半端品や廃版品などを安く買えます。

この絵は、クサカベが開発した世界初の「アキ―ラ」という画材で描いたもの。いろいろな材質のものに描ける上、発色・耐久性抜群の水性絵具なんだそう。へえ~すごい!万能絵具!

まとめ・感想など

小学生以下でも、保護者同伴で見学可能となっています。見たこともないような変わった形の機械があったり、顔料や材料などもたくさん置いてあるので、万が一のために汚れても良い服装、歩きやすい靴で行くことをおすすめします。

「え?こんなに近くで見ていいの?」というほど、機械のそばまで行けるので(白線あり)、小さな子どもを連れて行く場合は、手をつないで専門スタッフの注意を聞くようにしましょう。さすがに2歳児にはまだ早かったですが、水彩絵具を作る体験も、保護者が補助をしてあげれば作れると思います。

「絵具がどうやって作られているか」をじっくりと学び、実際にマイ絵具が作れる、という貴重な体験スポットでした。

施設情報(アクセス・サービスなど)

名称 クサカベ
公式サイト http://kusakabe-enogu.co.jp/school/school.html
※最新の情報はこちらでご確認を
おすすめ年齢 4歳~大人まで
料金 工場見学&絵具作り体験で1000円
開催日時 平日10名以上~応相談
※隔月に1回、高校生以上向けの見学会・絵具作り体験会実施
※夏期休暇中に、子ども向け見学会・絵具作り・絵具の実験体験会実施
アクセス 〒351-0014 埼玉県朝霞市膝折町3-3-8 
JR武蔵野線「北朝霞駅」、東武東上線「朝霞台駅」より西武バス「膝折横町」下車すぐ
予約方法 電話:048-465-6661にて要予約(技術開発部まで)
所要時間 約2時間半
サービス 多目的トイレ / 売店コーナー / エレベーター / 自動販売機

この記事を書いたライター

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オマタアズサさん

男女2児のママ。レアな体験をしに行くのが好きです。工作も好きで、美術教員免許も持ってま~す!子供と一緒にオモ活 (オモシロイ体験をする活動)しましょっ♪

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