2017.07.03 / 2017.09.25
家庭教師・塾講師、東大生・早大生を育てた母であり、子育てセミナーを主催する楠本佳子さんに教わる連載コラム「能力をのばす子育て」。7回目はついつい子どもに言ってしまう「早くしなさい」という言葉について。
「早くしなさい」と言う前に
「早くしなさい」はお母さんが使う言葉で一番多いものでしょう。「早く起きなさい」から始まり「早く顔を洗いなさい」「早く食べなさい」そして「早く寝なさい」にいたるまで、1日何回言っているでしょう。数えたら恐ろしい数になるかもしれません。
もし、あなたが母親もしくは姑に四六時中くっつかれて「早く起きなさい、早く料理をつくりなさい、早くそうじしなさい、どうしてそんなに遅いの…」と、日中言われ続けたらどうでしょう。ものすごくストレスで、逃げ出したくなりますね。
お母さんたちも忙しく時間に追われているのはわかります。でもいつも口癖のように「早くしなさい」と言うのを少しでも減らしませんか。「早くしなさい」の前に、まず丁寧にきちんとできることをめざしましょう。早くと言うのはそれからです。
常にせかされて早くするために、おおざっぱでいい加減になってしまいます。決して物事をすばやくきちんとできるようになっていないのです。
小さい子なら靴を履くのに慌てるため、かかとを踏む癖がついてしまうこともあるでしょう。また、部屋の片づけもその1つ。すばやく片づけているようでどこになにがあるかわからないでは、何の意味もありません。
「早くしなさい」が、どのように勉強に影響するか
勉強もそうです。「早くしなさい」の弊害は受験のときにも表れます。受験ではケアレスミスが致命傷になることもあります。
小さい頃「きちんと丁寧に」と言われた子どもと、「早く早く」といわれ続けた子。ミスが多いのは当然「早く早く」とせかされて育った子ども。
このケアレスミスも、親の育て方で変わってくるのではないかと思います。たくさん勉強して難しい問題も解けるのに、ケアレスミスで点数を落とす子どもがいるのです。
一番ショックを受けるのは子ども自身
「なんでこんなにミスが多いのだろう」
「あんなにたくさんの時間を費やして勉強したのに、こんなに難しい問題がわかって解けたのに、なぜこんな簡単なところでミスして思ったような点数がとれないのだろう」
あるお母さんは、学校の先生との懇談で、「ケアレスミスをなくすには、どうすればいいですか?」と聞いたところ、「性格を直すしかない」と言われたそうです。
でも、子どもの性格を変えるには、親も含めて生活全般を変えなければいけません。中学生や高校生になってからではかなり大変なことで、生活習慣を変えようと思っても至難の業です。
教えてくれたのは
- 楠本佳子さん
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「こどもみらい塾(岡山)」塾長。自身の子育てや教育経験を活かし、ママを対象としたセミナーや個別相談も行っている。著作に「12歳までに勉強ぐせをつけるお母さんの習慣」