/ 2017.09.25

子育てに自信のあるママなんて、どこにもいない!家庭教師・塾講師、東大生・早大生を育てた母であり、子育てセミナーを主催する楠本佳子さんに教わる連載コラム「能力をのばす子育て」。9回目は「お母さんに言われて一番嫌な言葉」について。

年齢に関係なく子どもが一番嫌いな言葉

塾に通う生徒に「お母さんから言われて一番嫌いな言葉は何?」と聞いたところ、なんとみんな「人と比べられること」と答えました。これは小学生も中学生も高校生も男の子も女の子も関係ありませんでした。

私はてっきり「勉強しなさい」だと思っていたので、驚きました。「勉強しなさい」はもちろん嫌だけど、人と比べられるのはもっと嫌なのだそうです。ある生徒は「勉強しなさい」と言われても自分がやる気にならなければやらないし、親が何と言おうと関係ないと答えていました。

人と比較される。

自分に置き換えて考えてみましょう。いつも他の奥さんと比べられていたらどうでしょう。仕事場で同僚と比べ「君は他の人よりできていないから、がんばれ」と毎日言われ続けたらどうでしょう。やる気がでるよりも転職を考えたくなりますね。

友達をバカにする子ども

あるお母さんから「友達をバカにするようなことばかり言うのですが、どうしてでしょう?」と相談を受けたことがあります。

話を聞いていると、そのお母さんは「人をバカにするようなことは言っていません。でも習い事の運動で他の子どもと比べてばかりいました」と返答されました。

親が比べられるから自分もすぐ人を優劣で見る。あいつは俺よりできないと親に言ってくるのかもしれません。親に自分のできることをアピールしているのかもしれません。どうであれ、誰もが人と比べられるといい気持ちはしません。

そもそも何のためにお友達と比較して、それを子どもに言わなければならないのでしょう。

優秀な子どもがいれば、どんな練習をしているのか、どんな生活をしているのか、どんな塾や習い事をしているのか情報収集して、自分の家庭にも合っていると思えば取り入れればいいのです。

自分よりほかの子の方ができているのをわかっているのは子ども自身です。がんばりなさいなどと言うのは無意味です。がんばれなどと抽象的な言葉は何も役にはたちません。何をどうすればいいのか子どもがわかっているならするでしょう。

人それぞれ得意なことも違えば、延びる時期も違うのです。焦りは禁物。人と比べるのではなく、昨日の自分より今日の自分。昨日の子どもと今日の子ども、少しで成長しているかを見ましょう。

子どもの成長とともに親の忍耐力、観察力も養われていきます。

子どもだけが成長するのではありません。親も一緒に親として成長していくのです。

教えてくれたのは

楠本佳子さん

こどもみらい塾(岡山)」塾長。自身の子育てや教育経験を活かし、ママを対象としたセミナーや個別相談も行っている。著作に「12歳までに勉強ぐせをつけるお母さんの習慣」