/ 2017.09.25

子育てに自信のあるママなんて、どこにもいない!家庭教師・塾講師、東大生・早大生を育てた母であり、子育てセミナーを主催する楠本佳子さんに教わる連載コラム「能力をのばす子育て」。10回目は「ダメ!は子どもを魅了する?」について。

息子の憧れ。それはコンビニのサンドイッチ

息子がずっと憧れ続けて、どうしても食べたかったものがあります。それは、コンビニのサンドイッチ。この話は息子が大きくなってから、ふとしたきっかけで教えてくれたものです。

「小さいころ、パン屋さんのサンドイッチを食べたことはあったけど、コンビニのサンドイッチは食べたことなかったじゃん?だから、食べたくて食べたくて。小学校の高学年になって塾に行き始めて、自由に買えるようになったとき、いちばん最初に買いに行ったんだ」

そんなことを考えていたなんて、わたしはまったく知りませんでした。コンビニのものを食べるなと厳しく禁じていたわけでもありません。ただ、コンビニのものを食べるのはよくない、という雰囲気は出していたと思います。

わたしは驚きながらも、「それで、どうだった?おいしかった?」と聞いてみました。

すると、息子は「まずかった!!(笑)家で食べていたサンドイッチのほうが、ずっとおいしかったよ。なんであんなに憧れていたのかなぁ〜?」

それまで憧れ続けて、絶対においしいはずと妄想してきたのでしょう。そして食べてみるとそうでもなかった。そのギャップで「まずい!」となってしまったのでしょう。

本当に禁止にしたいこと

「食べたらダメ!」と思えば思うほど妄想が膨らみ、余計に憧れてしまいます。

アダムとイブも、リンゴが禁止されていたからリンゴを食べたのであって、もしナシが禁止されていたら、ナシを食べたことでしょう。何も言われていなかったら、リンゴに対して何にも思わなかったはずです。他のフルーツと変わりません。

しかし、「ダメ」と言われた途端、それまで意識もしていなかったリンゴが他よりもおいしそうに見えてきて、食べたくて仕方なくなります。禁止されると、それがくだらないものであろうが何であろうが人は興味を持ち、魅力を感じてしまいます。

子どもにしてほしくないことがあるときは、よく言葉を選び、何がどうしていけないのか、どんな害をおよぼすのか、きちんと説明をしてあげましょう。

親の「ダメ」が、かえって子どもを魅了するきっかけになってしまうかもしれません。

教えてくれたのは

楠本佳子さん

こどもみらい塾(岡山)」塾長。自身の子育てや教育経験を活かし、ママを対象としたセミナーや個別相談も行っている。著作に「12歳までに勉強ぐせをつけるお母さんの習慣」