夫婦間のちょっとしたすれ違いや悩みに専門家がアドバイス。今回は、「危機意識が低い夫に意識を変えてもらうためにはどうしたらいいですか?」という悩みへの対処法です。

お話を聞いたのは

高草木陽光さん(夫婦問題カウンセラー)

(たかくさぎはるみ)「HaRu(ハル)カウンセリングオフィス」代表。カウンセリング・相談件数は累計7000件以上。著書に「なぜ夫はなにもしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか」(左右社)

question子どもに何か起こったら?という危機意識が低い夫。夫にどうしたら理解してもらえますか?

子ども2人だけでお風呂に入れたり、昼寝をしている子を残して違う部屋に行ってドアを閉め切っていたり。その間に子どもに何か起こるかもしれないという意識が働かない夫。危機管理能力がなさすぎて、私もイライラしてしまいます。

その結果、夫婦間も殺伐とした雰囲気に。夫にどうしたら理解してもらえますか?(Tさん・40歳)

Tさん今はまだ大事に至っていませんが、そのうち大事故にならないかと不安です。

高草木幼いお子さんだけでお風呂に入れても気にならないのは、想像力が乏しいからだと思います。ご主人だけでなく、男性にはありがちですが、男性は自分が直接関わらない危機への意識が薄い傾向があるんです。

パパに危機感を養ってもらうには、実際に起こった事故や事件などを知ってもらうことが大事です。事例を知っていれば、いざというときに役に立ちます。

Tさん子どもの着替えも用意していないと、いつまでもおむつのままで。
高草木着替えをサッと選ぶことができるようになるためには、訓練が必要です。その日の天候や気温などによって服装は違ってくるので、慣れるまではママのアドバイスが必須です。最初から任せるのではなく、時間をかけて一人でできるように誘導していきましょう。

answer相手を尊重しながら危機意識を高めるには?3つのポイントを実践してみましょう

【1】実際に起こった事例を強烈な印象で残す

実際に起こった事故や事件などの情報を集めて、読んでもらいましょう。イラストや表、数字など視覚からの情報は、頭の中にも印象づけられます。また、一度きりではなく、日常の話題として取り上げることも大事。

【2】慣れるまではアドバイスが必須

「明日は朝晩冷えるみたい、服装考えてね」など、パパの想像力が養える声掛けをすることで、徐々に一人で考えて、行動に移せるようになります。

【3】褒めて伸ばすでご主人を誘導する

「さすがパパ」「すごい上手」「最高だね」この3Sの褒め言葉を普段の会話に頻繁に取り入れましょう。これまでキツイ言い方になっていたかもと考えるなら、褒めて伸ばすは効果的。パパも気持ちよく動いてくれると思います。

Tさん子どもの事件や事故は起きてからでは遅いので、早速試してみたいと思います。
高草木実践してすぐに結果が出るような事例ではありませんが、あきらめずに続けることで、効果が出るはずです。根気がいりますが、これからも頑張っていきましょう。

result実践!変えていきたいというオーラは感じてもらえています

実践1 山口の2歳児の遭難事件があったので「見つかってよかったね」「目を離すと怖いね」と話しかけましたが、何を言っても「うん」と返事。本当に分かっているのかと疑問ですが、言い続けることで印象に残ることを信じて、実践し続けたいです。

実践2 「いつもありがとう」「子どもとお風呂に入ってくれて助かる」と褒めています。心地いいのか、殺伐とした雰囲気が和やかになってきたように感じます。3Sの褒め言葉ももっと積極的に使いたいと思います。

こんなことも 先日、下の子が階段から落ちて唇を切るけがをしました。大事には至りませんでしたが、2人で反省。以来、階段の前に荷物を置いて子どもが上れないようにしたり、気を付けてくれるようになりました。

今回このコーナーに相談をしたことで、自分を顧みるきっかけにもなり、話し方を変えることができたことも良かったと感じています。

※この記事は、2018年12月発行の「ぎゅって首都圏版年末年始号」に掲載した記事を再編集したものです

illustration KATSUYAMA Keiko