子育ての悩みのひとつが教育費。目安の金額や貯め方はもちろん知っておきたいですが、それだけでは気付きにくい落とし穴があるそうです。ファイナンシャルプランナーの氏家さんにポイントを教えてもらいました。

教えてくれたのは

氏家祥美さん( ファイナンシャルプランナー )

女性のためのお金と仕事の相談室「ハートマネー」代表。個人相談やメディアを通じ女性の活躍を支援。著書に「子どもの年代別大学に行かせるお金の貯め方」(PHP研究所)他。

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大学進学を目指すなら貯蓄の目標は300万円

家庭によってイメージする進学コースは様々だと思いますが、大学進学を目指すのであればそれまでに300万円の貯蓄を目指しましょう。これは国立大学であれば4年間の学費が出せる額です。

私立大学であればあと230万円ほど不足しますので、大学在学中に毎年50~60万円を追加で生活費から捻出していきます。

何で貯める? 金融商品選び

定期預金(銀行や財形貯蓄など)や学資保険が定番ですが、投資に抵抗がない人であればジュニアNISAなどの投資信託という選択肢もあります。税制優遇もありますので、検討してみてもよいですね。

先輩たちがハマった、7つの落とし穴

目安の貯蓄額が達成できれば十分かというと、実はそうではありません。お子さんが成長する中で学費以外にも様々な出費が出てきます。その時になってからあわてないように、見落としがちなポイントをいまから押さえておきましょう。

落とし穴1 私立中学受験塾の費用

中学受験を考える場合、4年生からの3年間で塾の費用が230万円ほどかかります。月謝はそれほどでもないからと学童代わりと思って行かせると、夏期講習や冬季講習などの追加費用にびっくりすることも。

私立中学の場合には授業料も高くなりますから、それだけかけても行かせたい学校があるのかどうか、しっかり検討しておきたいですね。

落とし穴2 食費、部活、交通費

お子さんの成長とともに、誰もが避けて通れないのがこの3つ。子どもが小さいうちは親と一緒に行動しているので気付きませんが、ひとりで動き始めるにつれて思いもよらないお金がかかってきます。

食費

子どもが食べ盛りになると外食費が膨らみだします。食費はいまの1.5倍はかかる覚悟をしておいてください。

部活

運動部の場合は遠征費。1日3食では足りずに、食費もさらにかさんできます。
文化系の部活でも楽器の購入などで出費が発生します。

交通費

通学はもちろんですが、模試を遠方で受ける場合など日常的なもの以外でもかかってきます。

落とし穴3 大学受験費用

自宅から受験する場合で50万円、下宿して受験する場合には100万円程度を目安に考えてください。

受験料は私立1校あたり3.5万円ですが、滑り止めと本命の合格発表時期がずれている場合には先に滑り止め校の入学手続きが必要で、余分な入学費などがかかってきます。

落とし穴4 浪人生の予備校代

家計相談の際に浪人を前提にお話することはないのであまり語られませんが、予備校の費用は年間100万円程度かかります。

落とし穴5 私立理系の学費は文系の2倍!?

国立大学は理系でも文系でも学費はほぼ同じですが、私立大学の場合には1年あたりの学費は理系が文系の1.5倍程度かかってきます。加えて理系は大学院進学率が高いため、2倍と考えても大げさではありません。

理系を目指す家庭では大学準備の貯蓄を手厚くすることをおすすめします。

落とし穴6 留学費用

語学の習得や、世界に羽ばたいて欲しいという思いから留学を考えている方もいると思います。国や滞在期間で費用は異なりますが、6ヶ月で150万円程度を目安に考えてください。

落とし穴7 ひとり暮らし費用

お子さんがひとり暮らしをする際の仕送りは月8万円程度を想定しておきましょう。

奨学金はあてにしないのが吉

現在、奨学金を借りる学生は半数以上と言われていますが、最初から奨学金をあてにするのはおすすめしません。卒業後の返済が厳しく、お子さんが次のライフプランで苦労するもとになります。

「手取りのお給料の1割は将来のための貯蓄に」とよく言いますが、就職直後の給与では返済があると貯蓄する余裕はありません。

奨学金はあくまで「想定外を補うもの」と考えましょう。

メリハリ家計で今も未来もハッピーに

家計管理で大切な視点は、“自分たちにあったライフプランを長期で考えていくこと”です。例えば子どもを授かったのが遅めのご家庭の場合、子育てが終わる頃にはすでに老後資金を確保するのが難しくなっていることもあり得ます。

教育費に限らず、かけるところ、かけないところを夫婦でしっかり話し合っておくことがハッピーな未来につながります。

※この記事は、2017年7月9日に実施した「あんふぁんフェス2017」の講演セミナー内容をまとめたものです。