2児のパパ目線、そして新聞記者の目線で子育てや世の中の気になることを読み解く、高橋天地さんの「新聞記者パパのニュースな子育て」。今回は、公開中の「名探偵ピカチュウ」について。

日本の人気キャラクター「ピカチュウ」が米ハリウッドで実写化!

©2018 Legendary and Warner Bros. Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
©2018 Pokemon

日本の人気キャラクター「ピカチュウ」が米ハリウッドで「名探偵ピカチュウ」(ロブ・レターマン監督)として実写化された。青年が失踪した父親をピカチュウと一緒に捜す一種のミステリーだが、今回のピカチュウは饒舌(じょうぜつ)にしゃべる上に中身がおじさん。声優に挑んだカナダ出身の俳優、ライアン・レイノルズ(42)は「日本のピカチュウとはひと味違うんだ」と胸を張る。

産経新聞写真報道局・三尾郁恵撮影

妻と娘がピカチュウの大ファンだった

ピカチュウは、ゲームやアニメの「ポケットモンスター(ポケモン)」に登場するキャラクターの一つ。本作ではコダックやプリンなどのポケモンたちがCG(コンピューターグラフィックス)で登場する。

日本製「ポケモン」アニメでピカチュウは「ピカピカ」程度しか話さないが、レイノルズは「今回はちゃんと話せる。しかも中身はおじさんなんだ」と笑う。ピカチュウが飲食店で「お嬢さん、濃いやつを」と渋い声でコーヒーを注文する姿はおかしみを誘う。

「実はポケモンにあまり興味はなかった」というレイノルズが出演を快諾したのは、妻で女優のブレイク・ライブリー(31)と4歳の長女がポケモンの大ファンだったから。「家族を喜ばせたかったんだ」と笑う。

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子どもがターゲットの映画は初めて。苦労した点は?

ポケモンのゲームやアニメが世界各国で熱烈に支持される理由を「社会の多様性を自然に学べるからじゃないかな」と分析。「作品の中に出てくる人間たちは、大勢のポケモンの中から気が合いそうなポケモンを捕まえ、生活を共にする。人はそれぞれ違う見方をするものだと理解できるんだ」と説明する。

本作のCG製ピカチュウは、コンピューターに取り込んだレイノルズの仕草や表情が反映されていて面白い。「それはモーションキャプチャという手法を駆使して実現したものなんだ。全編にわたってモーションピクチャで製作するのは初体験。自分の何げない仕草をピカチュウがまねするのは不思議な気分だったよ」

演技にアドリブを入れるのが大好きだが、「熱中するとつい“教育上好ましくない言葉”を口走って、何度も録り直した。子どもが主なターゲットの映画なんて初めてだからね」とてこずった様子。反応が気になって仕方ないそうだ。

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映画をきっかけに娘との遊び方に変化が

子どもといえば、本作への出演を契機に2人の幼い娘(次女は2歳)との遊び方を変えた。「モーションキャプチャの作業は極めて長時間を要し、孤独な作業でもあった。でも、同時に最大限に想像力を働かせる楽しさも味わえた。そこで考えたんだ。娘たちに対しては、想像力を喚起するような接し方を大事したいとね。例えば、ビデオゲームやおもちゃで遊ばせることを少し控えて、親子の会話を増やすとかね」

日本のポケモンファンには「現実の世界に本当にポケモンが生きているみたいに描けたと思う。ポケモンを生んだ日本人が楽しめる作品になったはず」と期待を寄せた。東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田など全国で公開中。

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高橋天地さん

1995年、慶應義塾大文学部独文学専攻を卒業後、産経新聞社へ入社。水戸支局、整理部、多摩支局、運動部などを経て、SANKEI EXPRESSで9年間映画取材に従事。現在は文化部。学芸班(文学)、生活班(育児、ファッション、介護、医療、食事、マネーなど)を経て、2017年10月から芸能メディア班に所属し、映画取材を担当。2019年5月1日より公式サイト「産経ニュース」のWEB編集チームに所属

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