京都の老舗書店「恵文社一乗寺店」は、本のセレクトショップ。書棚に合わせてならぶ良質な雑貨や文具も佇まいを感じるものばかり。絵本の棚からも本たちの囁きが聞こえてくような不思議な店。店の書籍仕入れの責任者・鎌田裕樹さんにお話を伺いました。

恵文社一乗寺店は老舗書店として知られ、「世界の美しい本屋」の10店舗のうちのひとつに選ばれたこともあります。その店づくりをしたのが、2年前に独立した名物店長。その大きな功績の後、店を仕切っているのは書籍仕入れの責任者・鎌田裕樹さん。なんと取材した日が26歳の誕生日でした。

「この店の書籍を自分で見るようになって2年が経ちましたが、平成生まれのゆとり世代の店長と言われたこともありました。有名な店長が抜けた後、手を抜いていると思われないよう、棚づくりには常に緊張感があります。気心の知れたスタッフたちと一緒に、これからも老舗の看板を維持していきたいです。

子ども関係の本や絵本の棚も充実させたいです。実は僕、高校生のころから帰宅後、姉の子どもの面倒をみていたので当時から絵本を読んで聞かせたり、一緒に遊んだりして、絵本は遠い存在ではなかったんです。だから、この棚も、ロングセラーの作品はもちろん、新しい作品とのバランスをみながら棚づくりをしています。」

文芸やアートのイメージが強いのですが、経済や哲学の本も充実。新刊はもちろん、リトルプレス(個人や団体が自らの手で制作した少部数発行の出版物)にも目を通し、棚づくりをしているとのこと
書籍と関連する雑貨や文具、音源など、書店という枠組みでは語り切れない店内

ギャラリーやイベントスペースも併設

表通りに面した出入口が3つ。中央の書店スペースのほか、生活館もアンフェールもコテージも書店も恵文社の一部です。

「コテージにはキッチンもあるので、寒い季節は本を読みながら、温かい飲み物を出せるようなイベントもやっていきたいですね。スペースレンタルもしているので、持ち込みの企画も大歓迎です!」と鎌田さん。

とにかく店の中を歩いていると、至る所で本が囁いてくる不思議な空間。学生時代に読んだ本、背伸びして読んだ本、子どものころに読んでもらった絵本など、時代を経て点在する思い出が一本の線につながりました。それが本のセレクトショップのおもしろさなのかも。

京都で出合った「ずっといたい本屋さん」。本好きな子どもに育てるなら、まずは、不思議な本屋さん体験から。京都に出かけた際に、親子で立ち寄ってみませんか。

一乗寺、おまけの情報!


行きは四条から市バス一本で行ったのですが、帰りはどうしても比叡電車に乗ってみたくて、恵文社から3分ほどのところにある一乗寺の駅まで歩いてみました。叡山電鉄叡山本線は、出町柳駅から八瀬比叡山口駅まで8駅、5.6kmを結ぶ行楽電車。展望列車「きらら」で外の景色を楽しみながら移動することもできます。

駅まで歩く途中、うれしい発見!実はここ、一乗寺には、ハンドメイドママにはおなじみのアヴリルの糸の本社があり、その旗艦店でもある「AVRIL pépin 京都 一乗寺」には、新作をはじめ、たくさんの糸がそろい、教室も開催しています。

観光地・京都は、当然ながら観光客が多く、子連れ旅にはハードルが高め。地元の人に親しまれる店をめぐる街歩きなら、ママも子どもも旅を存分に楽しめるはず。商店街にあるスーパーでは、その土地ならではの野菜や調味料なども見つけられ、なんだか得した気分。一乗寺、また行きたいな。

施設情報(アクセス・サービスなど)

公式サイト http://www.keibunsha-store.com/
※最新の情報はこちらでご確認を
おすすめ年齢 生まれる前から~大人
営業時間・営業日 10:00〜21:00/年中無休(元日を除く)
アクセス バス=市バス206番「高野」下車徒歩5分。市バス5番「一乗寺下り松」下車徒歩7分。市バス31番「一乗寺高槻町」下車徒歩1分

四条河原町周辺から電車の場合=京阪電車「祇園四条駅」から「出町柳駅」下車、同駅から叡山電鉄「一乗寺駅」下車徒歩3分

駐車場 11台/駐車後レジでキーを預けます(利用時間10:00~21:00)
サービス トイレあり

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