仕事で失敗したとき、子どもを怒りすぎてしまったとき、不安でたまらないとき、もう二度と会うことのできない大切な誰かを思い出したとき、「がんばれ」の声よりも、胸に染み入る「お話」が力をくれることがあります。ちょっぴり泣いて、さあ、前へ。

教えてくれたのは

東條知美さん

絵本コーディネーター・学校司書・ライター・イベンター・〈絵本の百年と未来研究会〉主宰。活動のモットーは「子どもに絵本を。大人にこそ絵本を。」
-Blog「僕らの絵本」「絵本の100年と未来研究会

あかちゃんがわらうから

おーなり由子 作
(ブロンズ新社、2014年)
★表紙をクリックして中面のぞき見!

「かなしいニュースを見るたびに 世界は どしゃぶりのように感じられ 未来は どこまでも はいいろの雲で いっぱいで」。…不安で胸が一杯になったら、この優しい水彩の絵本を開いてみてください。重い雲を吹き飛ばし、ズンズン進むあかちゃんが、きっとお母さんを強くしてくれます。

セレスティーヌ~アーネストとの出会い

ガブリエル・バンサン 作、
もりひさし 訳(BL出版、1988年)

気ままな日々を送る独り身のアーネストは、ゴミ箱から拾ったセレスティーヌを育てる決心をします。スケッチ風の絵に最小限の言葉。言葉以上に物語るのが、アーネストの慈愛に満ちたしぐさと表情。赤ちゃんの初めてのハイハイ、初めてのたっち…。あの日拾われたのは、もしかしたらアーネストの方だったのかも。

くまとやまねこ

湯本香樹実 文、酒井駒子 絵
(河出書房新社、2008年)

「ある朝、くまは ないていました。なかよしのことりが、しんでしまったのです。」…花びらを敷きつめた小さな箱に亡骸を入れ持ち歩くようになったくま。ある日出会ったやまねこが、ことりとくまのためにバイオリンを弾いてくれます。誰かと生きる意味を、そっと教えてくれる一冊です。

シルクハットぞくはよなかのいちじにやってくる

おくはらゆめ 作
(童心社、2012年)
★表紙をクリックして中面のぞき見!

黒い山高帽に黒マント、クールな彼らの正体は「シルクハットぞく」。みんなが寝静まる夜中の1時にやってきます。ささやかな、けれども大切な仕事のために…。そのささやかな行いは愛にあふれていて、思い浮かべるとなんだか胸がいっぱいになってしまい、涙がこぼれてきます。

Life(ライフ)

くすのきしげのり 作、松本春野 絵
(瑞雲舎、2015年)
★表紙をクリックして中面のぞき見!

町はずれにある小さなお店〈Life〉。ここは、必要なものがあればそれを持ち帰り、使わなくなったものや誰かに持っていってほしいものを置いておける場所。“繋がり”が生きる力となることを描き出します。「顔を上げれば、幸せは見つかるものです。」…心に光射す絵本を、どうぞ。