2019.08.31
子どもの不登校やうつが増えています。子どもが悩んでいるとき、親はどんなふうに対応したらいいの?わが子を「幸せな子ども」「強く生き抜ける子ども」にするには?元自衛隊メンタル教官の下園壮太さんの著書「令和時代の子育て戦略」を一部紹介します。
index目次
子どものピンチ、よくある親の2大勘違い
子どもがシクシクと泣いていたり、友達とのトラブルを起こしたり…。親としては胸が痛む場面。こんなとき、親はどうしたらいいのでしょうか?
下園さんは「お父さんお母さんには、カウンセラーにはない、親ならではの役割がある。まずはよくある2大勘違いに気をつけて」と語っています。
親の2大勘違いとは
- 問題は迅速に解決しなければならない
- 問題解決から(子どもを)逃げるようにさせてはいけない
の2つ。
子育てはビジネスとは違います。白黒ではない「グレーゾーンの解決法」もありますし、トラブルのときに何よりも親が優先するべきなのは、子どもの感情面へのケアです。
具体的には、子どもの心に発生する「ムカつく」とか「逃げてしまいたい」といったネガティブな気持ちを決して無視しないことです。
ネガティブな感情を否定してしまうと、そのときは表面上トラブルが解決されたとしても、自己否定や自己嫌悪が、将来にわたって心に蓄積されてしまうのです。
子どもの悩みを支える3つの基本姿勢
それでは、子どもが悩んでいるとき、具体的にはどうしたらいいのでしょうか。覚えておきたい親の基本姿勢は次の3つです。
1.子どもの話を「全部」聞く
まず、親は聞き役に徹します。子どもの話を全部聞くと言っても、親の考える「全部」ではありません。子どもが子どもなりに話す「全部」を聞くのだと心得ましょう。「ムカつく」「苦しい」「逃げたい」など、どんなネガティブな気持ちも認めます。
2.「行動」は子ども自身が決める。親はその手助けをする
1のステップを経て、今度は「ではどうするのか」、行動を決めます。「行動」を選ぶのは子ども自身。人生のトレーニングの一歩です。
子どもの中にはいろいろな気持ちがあったとしても、「体は一つ、取れる行動も一つ」。親は、子どもが自分で行動を選べるように、行動の先をシミュレーションしてあげればいいのです。
3.一貫して伝えるべきメッセージは「親はあなたの味方だよ」
2の段階で子どもが「行動」を選んだとしても、その後上手く実行できなかったり、迷いが出たり、新しいトラブルが出てくることもあるでしょう。それでも親はそれを認めて、シミュレーションを丁寧に手伝います。
ピンチはチャンス。こうしたサポートが、将来メンタルを支える重要なメッセージ(価値観)を子どもに伝えるのです。
重要なメッセージ(価値観)とは
- どんな自分、どんな気持ちも認める
- 自分なりの意思、行動を尊重していい
- 行動は何度でも、やり直せる
- 親はあなたの味方だよ
ということです。
まず子育ての「引き算」を
著書の中で、下園さんは「今の親は、まず子育ての引き算をしてほしい」と語ります。引き算とは、親が子育てにこだわリすぎないこと。
今の子どもたちが大人となる令和30年、この世界は激変しています。今「挨拶だけはできる子に」「一人でやれる子に」などとこだわっても、それが、結果子どもの心を苦しめる要因となってしまうかもしれないのです。
「こだわりすぎないこと」が、どれだけ子どもの将来、メンタルスキルとして有効なのか。この本では、そのメカニズムを明かし、具体的なスキルも紹介。全く新しい視点で「子育て」について、気づきをくれる一冊です。
書籍情報
目次
序章 A子さんの未来ストーリー
「どうして私だけこんなに不幸なの」/A子さんは特別?
︎第1章 将来予測 これから30年、人のメンタルはどうなるか
娯楽・エンターテインメントが世界の柱に/これから必要となる3つの「メンタルスキル」 ほか
︎第2章 今の親が「しないほうがいいこと」「やっておいたほうがいいこと」
まずは引き算から/戦略子育ての足し算/子どもに教える2つのチャンス ほか
第3章 子育ては親自身の成長のチャンス
無意識に持っている「我慢系のこだわり」/今の親の忙しさの問題/親が悩み、もがく姿はギフトです ほか
第4章 子どもの悩みの支え方 具体的スキル
子どもの悩みで親ができること/子どもがピンチに遭遇したら/〈話の聞き方〉〈感情との向き合い方〉〈親の気持ちの伝え方〉/ケースごとのアドバイス1〈不登校になったら〉 ほか
著者プロフィール
- 下園壮太さん(元自衛隊メンタル教官)
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元・陸上自衛隊衛生学校心理教官。陸上自衛隊初の心理幹部として多数のカウンセリングを経験したあと、陸上自衛隊本部メンタルへルス担当として、隊員のメンタルヘルス、自殺予防、カウンセリング、惨事ストレスコントロールを教育。
現在はメンタルレスキュー協会理事長ほか、講師として企業での個別メンタルケア、全国の市町村で講演も。著書多数>公式ホームページ
この記事を書いたライター
ライター一覧- 向山奈央子さん
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フリーライター&エディター。仕事で走り回りすぎて、気付いたら一人娘は中学生に育っていた! ライフワークで「感情ケアプログラム」指導者コース修了。忙しいワーママを見ると、つい(聞かれてもいない)アドバイスをしてしまう。