/ 2019.12.18

医学がどんどん進歩している現代、かぜ対策の常識と思っていたことが実は非常識になっていることも!家族のためにも、予防やケアの知識はしっかり身に付けておきたいですね。現役医師で医療ジャーナリストの森田豊さんに最新の医学知識を教えてもらいました。

お話を聞いたのは

森田豊さん

医師・医療ジャーナリスト。さまざまな病気の解説や、医療に関する種々の問題に取り組む。「恋愛医学」をテーマとした最新刊「名医が教える 寿命を延ばす恋愛医学」(扶桑社)が11月発売。

ビタミンCをたくさん取るとかぜが治る

答えは…×

ビタミンCをたくさん取っても、かぜは良くなりません。「ビタミンCがかぜに効く」という説を唱えたのは、アメリカのライナス・ポーリング博士。

ところが、その後の研究で、ビタミンCを多く取ってもかぜの症状が治まる、という事実は残念ながら確認できませんでした。

ただし、かぜ予防には少なからず効果があると報告されていますので、毎日の食事で野菜や果物を上手に取り入れましょう。

熱が出たらすぐ解熱剤を飲む

答えは…△

かぜ薬は頭痛や鼻づまり、咳などの症状を和らげてくれます。体力の消耗や脱水を予防するために、解熱剤が処方されることも多いでしょう。

しかし、かぜによる発熱は生体防御反応の一つであり、あえて体温を高めることで体の抵抗力も高めていると考えられています。

もちろん、高熱の場合は解熱剤の使用が必要。特に、脱水を起こしやすい子どもの体温上昇には注意を払いましょう。

体を温めて汗をかくと熱が下がる

答えは…×

汗をかかせるために、無理に温める必要はありません。熱が出たときに体を温めすぎると、高い体温による体力の消耗と発汗による脱水で危険です。

汗をかいて熱を下げる、という「発汗療法」はいまや迷信。むしろ、著しい高熱の際には、体温を下げることが重要です。

首の周囲、脇の下、そけい部(股の付け根の内側)など、皮膚の近くに太い血管が走っている部位に、冷やしたペットボトルや冷たいタオルなどをあてましょう。

かぜ予防には手洗い・うがいが効く

答えは…〇

かぜの予防に、手洗いとうがいは必須

かぜやインフルエンザなど感染症の感染経路の一つは、感染者の唾液などが付着したドアノブや食器などを触って、それが口などに入るというものです。接触感染対策として、手洗いは特に有効といえるでしょう。

インフルエンザウイルスは、吸い込んでおよそ20分以内に細胞の中に入ってしまうため、帰宅後のうがいによる予防は期待できません。

それよりも、お茶などの水分を小まめにとると効果的。インフルエンザウイルスは胃の中に入っても、胃酸で分解されるので心配ありません。

かぜをひいたらお風呂はダメ

答えは…×

かぜをひいているときに入浴を控える、というのは日本特有の習慣。昔の日本はお風呂が屋外にあり、出入りの際の急激な温度変化がかぜを悪化させるだろう、と考えられたためのようです。

今では、かぜのときに入浴をした人としなかった人で、治るまでの日数に差がないことが分かっています。ただし、症状が重い場合は、軽くシャワー程度で済ませるのが無難

また、体力の消耗を避けるため、長風呂は避けて水分補給もしっかりと!

※この記事は、2019年11月発行の「ぎゅって首都圏版」に掲載した記事を再編集したものです

illustration TAKAHASHI Miki