時短で、賢く、楽しく子育て。働くママでも毎日たった5分からできる!知育や子どもの心と体を育てるノウハウを、SakuraEdu代表の荒井聖子さんに教えてもらいます。今回のテーマは「言葉の成長を助ける質問力」について。

子どもの言葉を先回りしないで

たくさんの親子さんと接していると、「言葉のやりとり」で気になる点があります。1人目、まだひとりっ子という場合に多く見られるのですが、子どもが話すべき言葉を大人が代わりに話してしまうのです。

たとえば、何か取って欲しい場合に「あの赤い車で遊ぶの?」、靴を脱ぎたい場面で「お靴脱ぎたいの?」、おやつを食べたいときに「おせんべい食べる?」など。そしていずれも言い終わらない内に大人の手が動いて、その欲求を満たす準備をしているのです。

子どもが伝えたいことは、顔や目を見れば大体分かってしまうのが親子ですからついやってしまいがちで、子どもは首を縦か横に動かすだけで、やりたいことや欲しいものを得ることができます。言葉を覚えて一生懸命に伝える必要がなければ、自然と言葉の成長が遅くなるかもしれません。

あるとき、お母さんが引っきりなしにしゃべっていて、2歳のお子さんはずっと黙って首を動かすか、指をさすだけということがあり、様子が気になったのでいろいろと話しかけても、横から全部お母さんが答えてしまうので、お子さんは黙ったままということがありました。

忙しい毎日の中では、先回りして子どもの言葉を奪ってしまう場面があっても仕方がないでしょう。でも、言葉の成長を助けたいときには「5W1Hの質問力」を意識してみてください。

「何が欲しいの?」「誰と遊ぶの?」「どこに行きたいの?」「いつ食べるの?」「なんでこれが良いの?」「どうしたいの?」など、首を動かすだけ指をさすだけでなく、できるだけ言葉を使って答えられる質問を投げかけ、答えられないときには「わからない、知らない」で済ませず、ゆっくりとその言葉を正確に伝えて、子どもにまねさせて一緒に練習してみましょう。

コミュニケーション能力が低い人が多いと言われる昨今ですが、子どもにとって最初に触れる社会は、一番小さな「家族」というコミュニティです。

幼稚園や保育園、小学校と社会が広がっていくにつれ、自分の考えを相手に伝える語彙力、相手の考えをくみ取る質問力などは、家族の言葉のやりとりが基盤となり身についたものが役に立つのです。

たかが言葉ですが、言葉の成長はコミュニケーション全ての基本になります。早い子遅い子がいて、他人と比べる必要はありませんが、その子なりの成長をバックアップしていきましょう。

この記事を書いたライター

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荒井聖子さん

SakuraEdu代表 コドモンテワークショップ主宰 
目黒区民講座講師、幼児教室のコンサルティング、小学校受験指導をしながら、通算100回以上の企画開催。日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師、NPO日本食育インストラクター1級などの資格を生かし子育て支援活動を行う。

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