働きながら子育てをしていると、子どもとの時間が足りているのかな?と心配になることも。働くママが子どもと関わる上で大切なことを、大日向雅美先生に聞 きました。

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Question子どもと過ごす時間は足りていると思いますか?

ぎゅって読者アンケートでは、6割近くのママが子どもとの時間が足りていない気がすると回答。短い時間でも、濃密なコミュニケーションがとれるといいですね。

【アンケート回答】ぎゅって読者アンケートより。2019年11/11~12/7実施。有効回答数808

お話を聞いたのは

大日向雅美先生

恵泉女学園大学学長。専門は発達心理学。港区の子育てひろば「あい・ぽーと」施設長。 NHK「すくすく子育て」に専門家として出演するなど、子育て中のママを支援

形にとらわれないでどんな瞬間もコミュニケーションに

〝コミュニケーション〞というと、きちんと時間をとって顔を合わせて会話をしたり、遊んだり、と思ってしまうママもいるかもしれません。でも、朝起きて「おはよう」と言ったり、子どものためにご飯を作る姿を見せることも大切なコミュニケーションです。狭く真面目に考え過ぎず、子どもとの関わりを考えてみましょう。

私も子どもが保育園の頃は多忙な毎日を過ごしていました。大切にしていたのは送り迎えの時間。わずか10分程度ですが、季節を感じながら会話を楽しむ。また、夫が「食事だけは家族一緒にしよう」と決め、おかずは少なくてもなるべく一緒に食事をしていました。そんな時間を娘たちは今でも覚えていてくれています。

今は仕事と家事で「時間がとれない」と思ってしまうかもしれません。でももしかしたら、 それは〝ないないオバケ〞になっているかも。お仕事の流れを考えるように、朝や帰宅後のスケジュールを立ててみましょう。おすすめは書き出してみること。通勤中のスマホを見ている時間にちょっと手帳と向き合い、考えてみることはきっと楽しいはず。10分でも隙間時間が見つけられるといいですね。

お母さんが忙しい姿を見せることは子どもにとってもプラスに

働くママは、限られた時間の中でやらなくてはいけないことがたくさんありますね。食事の準備、食べさせる、お風呂に入れる…これらは動かしがたい時間。そして、子育てには一定の時間をかけなくてはいけないことも事実。でも〇〇しなきゃ、って思っているときに限って全然うまくいかないんですよね。そうすると、イライラが子どもに伝わり悪循環に。家事や〇〇しなきゃ、は自分の中で優先順位トップ3を決め、あとはなるようになれ!の気持ちでいましょう。そして10分でもいいから、 お膝で抱っこしてあげてください。それだけで落ち着くこともあるはずです。
 
仕事を自宅に持ち帰る人もいるでしょう。この抱っこの10分があれば「今日ママお仕事があるから、ちょっとお時間ちょうだい」と言っても大丈夫。子どもは割と納得します。子どもは親と「生活を分かり合う同志でありたい」という気持ちも持っています。お母さんの力になりたいと思っているのです。

私の次女が小1の頃、こんな作文を書きました。「お母さんは忙しく働いています。おうちに帰って来ても蒼い顔をして机に向かってお仕事をしています。どうしてそんなに働いているのか聞いてみると、あなたやお姉ちゃんとおいしいご飯を食べたり、遊んだりするために一生懸命お仕事しているのよ、と言ってくれました。私はお母さんのお仕事をお手伝いしたい、と思いました」
 
仕事で十分にかまってあげられない日もありましたが、子どもはそんな目で見てくれていたのか、とうれしくなりました。時間がなくて子どもにかまってあげられないことが悪影響を及ぼすなんてことは決してありません。むしろ働いている姿を子どもに見せられる機会になる、とプラスに考えましょう。

※この記事は、2020年2月発行の「ぎゅってspring号」に掲載した記事を再編集したものです

illustration nanako