/ 2020.02.17

私の仕事は管理栄養士。娘の離乳食に関しては、「食についてある程度知識もあるし、育児本でばっちり勉強しているから大丈夫」と思っていました。

しかし、これが失敗の連続で…。今回は知識があるからこそ「頭でっかち」だった私の離乳食体験談を書きたいと思います。

準備万端!意気込んで離乳食をスタート

娘が生後5か月と1週間のときに、離乳食を開始しました。

事前に足を運んだ保健所の離乳食講座では、保健師や管理栄養士の先生方のアドバイスを大量にメモし、離乳食のレシピ本や育児雑誌の付録の冊子、ネット情報やインスタグラムもチェック。

私自身は乳幼児向けの栄養指導経験はありませんでしたが、「食についてある程度知識もあるし、育児本でばっちり勉強しているから大丈夫」と楽観的に考えていました。

つまり、これ以上にないくらいの準備万端な状態で、「いざスタート!」と意気込んでいたのです。

出典:あんふぁんWeb

離乳食に関するレシピ本や付録の冊子。何度も何度も読み込んで、ボロボロになっているものも…

始めた途端、下痢を繰り返す毎日

ところが、離乳食を始めた途端、娘の下痢が始まりました。

小児科の先生からは「離乳食が始まると、消化器官が未発達の赤ちゃんにはよくあること」と言われ、大人でも飲みづらいような砂状のお薬を処方されました。

それをどうにか飲ませるのですがなかなかよくならず、離乳食を食べると下痢するという状態を繰り返します。

また、下痢でおしりがすぐ赤くなってしまうので、うんちをする度に娘のおしりをお湯で軽く洗い流すという作業を一日に何度もしなければなりませんでした。

離乳食カレンダーと違うことに悩み、動揺…

離乳食はスタートしたら、基本的には止めずに赤ちゃんの様子を診ながら続けていくことになっています。

娘は4か月の間、離乳食初期から中期の食形態をゆっくりと進めていましたが、月齢の近い子ども達は、どんどん食べられるようになっていきます。

私は、離乳食カレンダーをチェックしながら、書いてあるようなステップアップが図れないことに悩んでいました。

「お友達はもう3回食に進んでいるんだ」と他の親子と比べて悩んだり、「離乳食の本に書いてある食材の形状は、今の娘にはまだ早すぎるのかな」と1人で抱えこみ…。

悩みながら作った離乳食も、娘からそっぽを向けられることもしょっちゅうで、気持ちが落ち込むことが多くなっていきました。

私自身が、もともと真面目でマニュアル人間な性格であることも災いし、育児本通りに進まないことにいっぱいいっぱいになっていたのだと思います。

悩んでいた私に向けて、小児科の先生が言ったひとこと

今思うと大げさな気もするのですが、当時の私は、「このまま娘がご飯を食べられなくなったらどうしよう」と、真剣に悩んでいました。

そんなとき、いつものように娘のおなかの調子を診てもらうために小児科へ。

そこで先生に離乳食について話をしたところ、「1歳で3食食べられるようになればいいよ!」とあっけらかんと言われたのです。

当時は、重苦しい気持ちはすぐにはなくならず、この言葉に大いに励まされたというわけではなかったのですが、「もしかして私は1人で悩み過ぎていたのかな?」と、ようやく自身を客観的に見つめることができ、少しだけ気持ちがラクになったことを覚えています。

頭でっかちな自分に気づき、娘の身体と向き合うことに

その後、小児科の受診と服薬を続けながらも離乳食を続けました。娘が1歳に近づいた頃、私は「娘の消化器官は未発達で成長過程にいる、だから焦っても仕方がないんだ」と気づきました。

知識があったために、「こうあるべき」ということが先行し、その「べき」に自分自身ががんじがらめになっていたのだということも。

離乳食をスタートして、半年以上悩んできました。しかし改めて、大切なのは、マニュアル通りに進むことやほかの子どもの進み具合との差を見ることではなく、目の前の娘や身体の状態と向き合うことだと感じたのです。

このことに自分自身がしっかりと納得できたのは、1歳の誕生日を過ぎた頃だったように思います。

この間、離乳食の形状を無理に早めるようなことはしなかったものの、ひとりであたふたしてしまったこと、悩みすぎて食事の時間に笑顔がなくなっていたことを、娘に申し訳なく思っています。

出典:あんふぁんWeb

少しずつ、目の前の娘の身体の状態にきちんと向き合えるようになっていきました

ひとりで悩まないことも重要です!

結果的に、娘のおなかがゆるい体質は1歳過ぎまで続きましたが、その頃には3食食べるリズムを作れるようになりました。

現在2歳9か月になり、「ほうれん草ヤダー」などとワガママも言いますが、基本的にはよく食べる子に成長しています。

離乳食が進まない、食べない、食べながら遊んでしまうなど、離乳食初期から完了までの約1年半の間、悩みは尽きないですね。

今回の経験で、離乳食奮闘中のママやパパに私が言えるのは、一人で抱えこまないでほしいということ。

振り返ると、もっと早い段階で小児科の先生や保健所、支援センターの専門家に相談すれば良かったなと思います。

そして、何より、マニュアルにとらわれ過ぎないでください。離乳食は基本的な指針はありますが、完全な形がありません。正直なところ、専門家も先輩ママも、人によってアドバイスの内容が異なります。

つまり、親子それぞれのスタイルがあるということです。いろいろな人のいろいろなやり方を聞いて、試してみて、親子でやりやすい方法を見つけていってくださいね。

<文・写真:ライター くりきともこ>