/ 2020.05.25

Q.友達からの手紙で、小2の娘の友達関係がうまくいっていないことがわかりました。このまま様子を見ていてもいいの?

小2の娘です。 最近、友達からもらった手紙に「泣かせちゃってごめんね」という内容や、「みんなで遊びたいから」という内容のものを目にしました。

娘はリーダーシップを取りたがり、率先して意見を言うタイプなので、そもそも友達とうまく協調しながら、つき合っていけるか不安はありました。この手紙を見る限り、やはりうまくいってないようです。手紙のことを聞いたら、娘対何人かの女の子でもめたそうです。

娘にも直すべき点が多々あると思い、「全部、自分が決めるのでなく、友達の意見を聞いたり、待ってあげることも大事だよ」と伝えているのですが…。 学校はイヤがったりせず、元気に登校しているので、大丈夫だとは思いますが、時折「頭が痛い」「一緒に寝たい」など、甘えてくることもあり、様子を見ているところです。

先生に友達関係のことを聞いたことはないですが、相談日などを利用して聞いてもよいレベルなのか、連絡帳などで聞くレベルなのか、それとも学年もあがるので様子を見るべきか悩んでいます(サニーパーク)

A.相手の言い分を考えて、自分の味方を増やそう!

出典:あんふぁんWeb

リーダーシップをもって、集団を引っぱっていく力はとても重要ですし、必要な能力です。ただ低学年の場合には、それが裏目に出る場合があります。「自分のことばかりを考え、人の意見や思いを聞いてくれない人」というイメージをもたれてしまいます。娘さんの言っていることが正しいかどうかは、あまり関係ありません。なぜなら2年生では、まだ他者の意見をつき合わせて、どうすればよいかという広い視野はもてないからです。

自分の意見を言うことは悪いことではありませんが、他者の意見を聞く態度も必要です。また、「泣かせちゃってごめんね」という手紙の内容から考えると、他の友達とかなり言い合いをしていることがわかります。数人の女の子に言い負かされている可能性もあります。

また「みんなで遊びたいから」という内容から考えると、娘さんが誰かを遊びから除こうとしているか、他の女の子だけで遊ぶために娘さんを仲間はずれにしているかのどちらかだと思われます。どちらにしても、よい友達関係ではないと思いますし、関係がこじれていると思います。こうした関係を正していくにはどうしたらいいのでしょうか。

まずは、子どもの言い分を聞いてあげることです。そして、正しいこととそうではないことを一緒に考えてあげることです。そして、譲ってもよい部分は譲るようにアドバイスしてください。

ただし、このときに「自分の意見を言わないようにして、お友達に合わせようね」というアドバイスはしないでください。なぜなら、私は「自分の意見をしっかり言う」という力を育てることが、これからの教育には必要だと思うからです。

次に、相手の言い分がどのようなものなのかを一緒に考え、自分の味方を増やすようにしていくことです。一緒に遊んでいる友達の中で、自分の考えをわかってくれそうな人にアプローチしてみるとよいと思います。相手の言い分の矛盾している部分を伝え、「私の言っていることが正しかったら味方になってね」と頼んでみるとよいと思います。

人間関係については、一生つきまとう問題です。自分の味方を増やしたり、言い分を聞いてくれる仲間を増やす練習をしておくことは、とても大事なことです。

リーダーシップで一番求められる力とは?

経営学の巨人「ピーター・ドラッカー」は、「リーダーシップとは“信頼”である」と述べています。

また「優れたリーダーは、うまくいかないときや失敗を人のせいにしない」「リーダーとは、つき従う者がいるということである」とも述べています。つまり「部下から信頼を集めるのがリーダーシップであり、部下からの信頼を集める人間こそリーダーである」と、リーダーを定義しているのです。

こうしたことを読むと「リーダーシップ」というものが、単に自分の意見を言って、他者を従わせる存在ではないことがわかります。一番必要なものは、相手を納得させる論理の力と、失敗を恐れない行動力です。

まだ2年生なので難しいとは思いますが、論理の力を育てていくように促していくことが必要です。これは今回のケースだけでなく、教育の大きな課題だと思っています。

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出典:あんふぁんWeb

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増田修治先生 

出典:あんふぁんWeb

白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。

1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。

若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。

「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。