2歳くらいになるとイヤイヤが増えたり、さらに言葉が発達してくると口応えをしたり。 忙しいときに反抗されると、ついイライラしてしまいますよね。 子どもの反抗にどう関わるとよいのか、佐藤めぐみさんに教えてもらいました。

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お話を聞いたのは

公認心理師 佐藤めぐみさん

育児相談室「ポジカフェ」主宰。欧米で心理学を学び、ポジティブ育児メソッドを考案。ポジ育ラボにてスマホで受講できるママ向け子育て心理学講座を配信中。 ▶megumi-sato.com

▶第一次反抗期「2~3歳児の関わり方のコツ」はコチラ

第一次反抗期は2~3歳頃。7歳に近付くと、反抗的に見えることも

子どもの成長過程には、2~3歳の第一次反抗期、思春期の12~15歳の第二次反抗期の2つの反抗期があります。どちらも自我や認知機能が急激に発達し、子どもの内面が大きく変化する「心の大改革」が起こる時期。心の成長は目に見えないので、表面的な特徴から「イヤイヤ期」「反抗期」などと呼ばれますが、子どもは反抗したいのではありません。親は「自我が急成長しているんだな」と受け止めるといいですね。
 
また、2つの反抗期と同様に、7歳頃も自我や認知機能が急激に発達する時期です。この頃、不満を外に向けて発散する子は、反抗期のように見えることがあります。

普段のときに対応策を考えておけば、反抗されてカッとなるのを防げる

反抗されたとき、時間と心に余裕があるときなら大らかに対応できても、忙しいタイミング だと大変ですよね。いい対応方法が浮かばなくて、つい感情的に怒ってしまい、子どもが大泣きして…という悪循環にも陥りがちです。

反抗時の対応は、事前に考えておくことがポイントです。そのヒントは、普段のわが子が何が好きで、どんなときに笑顔になるか。「公園から帰りたがらないとき、どう言えば家に帰るのがうれしくなるかな?」「お菓子を食べたがるときは?」など、困る場面の対応策を考えておきましょう。

また、「親が譲らないこと/譲ること」の線引き(=わが家でのしつけ)も考えてみてくだ さい。例えば、「決めた時間以上にゲームをやりたがるのは、絶対にダメ。でも、ゲームをいつやるかは口出ししない。時間だけは守らせる」など、しつけとそれ以外のメリハリをつけましょう。しつけか否かの線引きは、子どもの年齢やご家庭の考え方によるので、家族で話し合うのがおすすめです。

4~7歳児の関わり方のコツ

子どもの意見や意欲も大切にしつつ、生活習慣を整え、しつけもきちんと

第一次反抗期と言われる2~3歳頃を過ぎると、心の成長は通常のペースに戻ります。自分でできることも増え、欲求を言葉で伝えることもうまくなってくるので、イヤイヤは減るでしょう。
 
4歳以降は反抗しても、ダメな理由を教えれば、納得できることが増えます。反抗的なときは頭ごなしに叱るのではなく、子どもの理解力に合わせて、ダメな理由や正しい振る舞いを教えるといいですね。

また、子どもの意見や意欲は大切にしつつ、生活習慣を整え、しつけをきちんと進めることを心がけましょう。7歳頃になると、再び「心の大改革期」に入ります。客観的に物事を見る力を獲得する時期なので、理屈っぽくなり、口応えが多くなるでしょう。ですが、それまでに生活習慣の定着やしつけが進んでいれば、手に追えないという状況には陥りにくくなります。

同じ土俵に乗らず、冷静になる

子どもに口応えや揚げ足を取るような言い方をされても、大人が同じ土俵に乗って言い返すのはNG。互いの感情がもつれて解決が遠ざかるので、冷静に話しましょう。もしも子どもの言うことが図星なら、素直に受け入れることも大切です。

年齢に合った言葉で伝える

忙しいとつい「準備して」「ちゃんとして」など、あいまいな指示をしがちですが、子どもの分かる言葉で具体的な言い方をした方が動きやすくなります。子どもが指示を無視するときは、子どもの視界に入って、目を合わせて伝えるようにしましょう。

甘えたがるときは甘えさせる

「もう◯歳なんだから」「もう◯歳なのに」といった言い方は避けて。特に長期休暇明けや小学校入学などで環境が変わるとき、子どもは膨大なエネルギーを使います。甘えたがるときは甘えさせ、子どもが求める距離感に合わせるようにしましょう。

かんしゃくや暴力は「やって得した」と思わせないように

思い通りにならないときにかんしゃくを起こしたり、手が出たりするときは、「それはよくないことだ」と理解できるように、きちんと諭しましょう。「子どもが暴れるのがイヤだから」と要求を飲んでしまうと、子どもは「やって得した」と学習し、繰り返すようになってしまいます。ただし、かんしゃくや暴力は、親に注目してもらうための「注意引き行動」である可能性も。この場合、子どもとの関わりを濃くして心を満たしてあげると、注意引き行動は減っていきます。

コレも気になる!読者からの悩みや疑問

まだまだ気になる反抗期のアレコレ。佐藤さんに読者アンケートで寄せられた お悩みや疑問について聞きました。

case1:反抗されると、ついカッとなって怒ってしまいます。毎回、反省するのですが…

「次はどんな工夫ができるか」と改善方法を考えてみましょう。
怒ってしまったことで自分を責めすぎないようにしましょう。「なんてダメな母親…」と自責する代わりに、「次に同じようなことがあったら、どんなふうに関わったらいいか」と具体的な改善方法を考えられると前に進みやすくなります。

case2:言うことを聞かないとき、「おやつをあげないよ」などと言ってしまいます

脅すのではなく、「楽しい経験」をごほうびにするのがおすすめです。
「おやつをあげない」と脅すのでなく、「◯◯したら、おやつを食べよう」と言う方がいいですね。また、ごほうびは「クッキーを作ろう」などの「楽しい経験」がおすすめ。おもちゃなどの「もの」で釣ると、「ごほうびがなければやらない」となってしまうこともあるので避けましょう。

case3:ほとんど反抗がなくてラクなのですが、将来的に問題ないでしょうか?

親が「いい子」を強要したり、抑圧したりしていないか考えてみましょう。
「ママはいい子の◯◯ちゃんが好き」などと常に「いい子」で あることを強要したり「言う通りにしなさい!」と抑圧したり、 自我の成長を妨げるような関わり方をしていませんか?もしも心当たりがあれば、自我の成長をサポートする関わり方に変えましょう。心当たりがなければ、生まれ持った「気質」でしょう。ちゃんと自己主張ができていれば大丈夫ですよ。

※この記事は、2020年7月発行の「ぎゅって8月号首都圏版」に掲載した記事を再編集したものです

イラスト/えちがわのりゆき