/ 2017.05.16

いよいよ運動会シーズン。かけっこやダンスなど、一生懸命練習をしてきた子どもたちの晴れ舞台、しっかりとカメラやビデオに残しておきたいもの。そこで、2児のパパ、フォトグラファーの櫻井健司さんに、プロの撮影テクを聞きました。

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教えてくれたのは

櫻井健司さん

北海道出身、37歳。保育園に通う3歳の女の子、小学2年の男の子のパパ。2004年からフリーランスフォトグラファー・ビデオグラファーとして活動。

園からの手紙は前日までにチェック

事前準備としてできることは、プログラムでわが子が参加する種目を確認しておきましょう。「保育園からの手紙に、種目によって保護者の撮影位置を入れ替えていくことが書いてあったらしく、それを知らずにずっと後ろから撮影していた時がありました」と、新米パパ時代の小さな失敗談も。子どもの表情がよく見える正面から撮るのがベスト。

一脚はマスト!手ブレ補正とズーム機能は必須

三脚は周囲の安全確保が難しいため使えない園も多い中、注目は一脚。「一脚は、あると便利です。ビデオにもカメラにも取り付けられるし、地面に固定しなくても、胸の横あたりで腕を固定すれば、かなり撮影が安定して、腕を心臓より上げるよりも楽ですよ。1000円~3000円程度のもので十分です」。

折りたたむと箸程度の大きさ。全長はこの3倍くらいまで

「最近は、スマホのズームで撮影している人を見かけますが、あれは画質が荒れるのでおすすめしません。できればコンパクトデジカメやミラーレス一眼などで撮影した方がいい写真が撮れます。一眼レフやビデオカメラも、最近は小型でかなり性能も良くなっていますから。運動会を撮るなら、手ブレ補正とズーム機能は必須です。」

櫻井さんが気になるのは、片手にビデオカメラ、もう一方の手にはスマートフォン。「両手で持って撮影すると、どちらもブレてしまうので、どちらか一方にすること」とのこと。確かに、よく見かける光景ですね。

0~2歳は全体や友達、3~5歳は動きを重視した撮影を

年齢によって、動きが変わりますが、どんなところに注意したらいいですか?

「0~2歳って、大きくなったときに運動会の記憶がないので、後々のことを思って、友達や園の風景、クラス全体の様子などを残しています。

3歳くらいになると、かけっこやダンスなど、動きが増えてきます。走る表情をとらえるならシャッタースピードは1/200くらいは欲しい。走っている前後、上下の動きは写真がブレやすいので、とにかくたくさんシャッターを切る。一枚くらいは、ピントが合っているはずです(笑)」。

データの保存や加工は、終わったらすぐ

撮影したものは、どんなふうに保存しているのでしょうか?

「うちは、それぞれ実家が遠いので、映像で子どもたちの様子を見せたいから、運動会が終わるとすぐに編集してDVDを両親に送ります。写真は、パソコンのハードディスクに○月○日○○運動会などフォルダ名を付けて整理しています。」

また、撮影した映像や写真は家族で楽しむもの。ほかの家の子どもが映り込んだ写真を、勝手にSNSなどにアップするのはルール違反。よく撮れた写真は、個人間に送るなどの配慮が必要ですね。

肉眼が一番。過度な望遠レンズは要注意!

運動会などでよく見かける風景として、カメラ好きパパの巨大な望遠レンズ。あれはどうなんでしょう?

「あれだけ長いレンズだと、ほかの人の撮影に映り込んでしまうこともあるので、周りへの配慮が必要だと思います。左右に動かすと隣の人の顔にぶつかりそうになったりして危ない(笑)。大事な瞬間を見逃さないためには、肉眼で見るのが一番ですよ。」

終始、おだやかに語ってくれた櫻井さん。運動会は、一脚でハンディビデオカメラを持ち撮影しながら、肉眼でしっかりと子どもの様子を見ているそうです。

「運動会というひとつの物語を作るために必要な動画や写真があればいいので、たくさん撮るより、全体・寄り・引きをバランスよく残すこと。この目で子どものとっておきの瞬間を見るのが一番感動できるから。」出番を迎える緊張と興奮の表情を肉眼でしっかりキャッチしてあげたいものですね!