人と頻繁に会ったり、話したりすることがしにくい状況が続いています。ただでさえ孤独になりがちな育休中のママたちは、この状況の中どのような出産を経て、育休を過ごしているのでしょう。リアルな声を聞きました。前半です。

index目次


今までに経験をしたことのない働き方、生活が求められている今。さまざまな変化のなかでも、妊娠・出産を経て生まれたての赤ちゃんと日々を過ごしているママ・パパたちがいます。

ただでさえ、外の世界と断絶され、孤独になりやすいといわれる育休期間。育休中のママたちは、このような状況のなか、どのような出産を経て、子どもたちとの日々を過ごしているのでしょうか。4人の育休中のママたちに聞きました。今回はその前半です。

【後半はこちらから!】
夫への理解が深まった、子どもたちと気ままに…どう過ごす?コロナ禍での育休ママのリアル

緊急事態宣言中の出産を経験

file.1

ひーちゃんさん(36歳)

[家族構成]夫(36歳)、長女(2歳)、長男(0歳)
[仕事] システム開発・企画

たくさんの不安の中で経験した「出産」

ゆったりした気持ちで出産まで過ごし、産後も回復最優先で過ごそう、という計画は叶わず、まさに、緊急事態宣言中の出産となりました。臨月での在宅保育、出産立ち会い・面会NG・マスクをはずせないままの分娩を経験しました。

退院時もドレスや記念撮影はあきらめ、やっと拾ったタクシーで、長男をこわごわ抱きながら帰宅。今思い出すと「たくさんの不安の中でよくがんばったなぁ、自分」と思います。

出産直後の写真はあきらめていたけれど、助産師さんがカメラマンを申し出てくれた

心身健康でいることを最優先に過ごした日々

臨月~産後が見事に外出自粛期間と重なり、両実家や外部サービスなど頼れる先がない状況となったため、私自身が心身健康でいることを最優先にしました。

夫にも長女にも、しんどいときはしんどいと言う。自分が限界だと思う5歩ぐらい手前で「SOS」を出すようにしていました。家事をしない。産褥期の自分用にも宅配弁当を手配。リビングで布団を敷いて、横になりながら2歳の相手をしていました。

不安な日々は同じ環境の人たちと積極的に交流を

コロナ禍の育休を過ごす中で不安だったことは「遠方の家族に会えないこと」。また、長女の在宅保育や夫の在宅勤務に伴い、ひとりの時間(自分と赤ちゃんの時間)が減ったことにも、多少のストレスを感じていました。

そんな思いを払拭するために使ったのは、LINEやテレビ電話。育休中に参加を決めたMIRAIS(※1)を通じて、同じ環境の人たちと積極的に仲良くなったことで自身のリフレッシュにもなりました。

(※1)オンラインを中心とした産・育休者のためのコミュニティ

「おうち時間」を楽しめなかった自粛期間

file.2

みほさん(35歳)

[家族構成]夫(29歳)、長女(2歳)、長男(0歳)
[仕事] タオルメーカーの広報

長女(2歳)のメンタルが心配だった入院生活

第二子の出産で里帰りをしました。立ち合いは夫のみOKで、面会は30分だけ。お産よりも両親がいない状況で、私の実家で過ごす長女(2歳)のメンタルが心配でした。

入院中1日だけ、娘を病院に呼ぶことができました。終始楽しそうにしていましたが、病院を出た帰り道で号泣したと聞き「こんなに小さな体でたくさん我慢させてしまってるんだ」と胸が張り裂けそうになりました。

「おうち時間」を楽しめなかった自粛期間

「この生活がいつ終わるんだろう」という漠然とした不安を感じていても、子どもたちにとってはコロナのことなどお構い無し。まだ1人遊びが上手くできない長女の「一緒に遊ぼう!」「一緒にやろう!」の毎日で、気が狂いそうになったことも。

逃げられない育児、同じことの繰り返しの毎日。夫の仕事は激務で帰宅が遅く、どこにも行けない、人に会えないという孤独。おうち時間を楽しもうとは到底思えない日々が続きました。

おうち遊びは主にブロックや粘土をして過ごしました

疲れたときは無理をしないこと!

とにかく人と話をしたかったので、友人とビデオ通話をして、不安を吐き出しました。「毎日しんどいよね、1日3食の献立どうしてる?」というたわいもない会話にとても救われました。

「みんな同じだよね、頑張ってるよね」そう思うだけで子どもたちと向き合うパワーになりました。そして疲れたときは、「疲れた!」と言って家事をとことんサボり、夫にお願いするようにしました(話せば理解してくれるけど、話さないと気付かない夫です笑)。

何気ない日々を懸命に過ごしたい

今でも漠然とした不安は付きまとってきます。それが何かはわかりません。お金・仕事・子育て…。考えればあれもこれも不安要素は出てきますが、良くも悪くも子育てをしていると考えている暇がありません。

時間があれば、撮りためたドラマを見たいし、甘い物を食べたいし、とにかく寝たいし…。今は公園でも遊べるようになってきたので、感染に気をつけながら子どもたちと何気ない毎日を懸命に過ごしていけたらと思っています。

自分自身を大事にしながら日々を過ごしたい

妊娠が分かったとき、今のこの状況を誰が予想できたでしょう。それでも子どもはお腹のなかでぐんぐん育ち、この世に誕生してくれました。

楽しみにしていたことがなくなったり、頼りにしていた人・ものに頼ることが難しくなったり…。厳しい環境のなか、試行錯誤しながら本当にがんばっている育休中のママたち。

「しんどいと思う5歩ぐらい手前で『SOS』を出す」、「夫に『疲れた』と伝える」を実践する2人の行動が印象的でした。どんなときでも無理はしすぎない!自分自身を大事にしながら日々を過ごすことが家族の笑顔にもつながります。

今、育休を過ごすママ・パパたちの参考になればうれしいです。

協力いただいたのは

育休コミュニティ「MIRAIS」

「なんとなく育休をなくしたい」をミッションに、全国各地及び海外からの参加者も在籍。それぞれがキャリア、子育て、自身の成長などジャンルを問わず育休中のテーマを設定し、未来にこう在りたい自分の姿をかたちにするために活動しています。
▶活動の詳細はこちらから