子どもがいると、ゆっくり座って読書なんてできませんよね。本読む時間があるなら寝たい!!なんて思ったり。そんなお疲れママにおすすめ!すっかり忘れてしまったトキメキ、日常では味わえない不思議な感覚を体感できるすてきな本を紹介します。

キュンキュン派には「スター☆ガール」

ジェリー・スピネリッツ 作、千葉茂樹 訳(角川文庫)

Recommend青春時代の切なさとキュンキュンを思い出したいママにおすすめ!

平穏だった高校に「スターガール」と名乗る不思議な女の子が転校してきたことで、一気に学校の雰囲気が変化していきます。みんなと同じであろうとする高校生たちの中で、何物にも影響されることのない自分の世界を持つスターガールに生徒たちは興味津々。

やがてその存在に誰もが憧れ、スターガールのようになろうとまねをしますが、最後はあることがきっかけで自分たちとは違うスターガールを排除していこうとし始めます。

そんな彼女を最初は敬遠していましたが、徐々に距離を縮め、やがてスターガールの恋人となった主人公のレオ。レオは愛する彼女を、どうにかして再びみんなの中に溶け込ませようとさまざまなアドバイスをし、スターガールもその期待に応えようとした結果、ある日彼女は別人のようになって登校してきます。

スターガール? なに、その名前。わたしはスーザンだよ

スターガールという、とても自由な存在だった自分を捨て、他の高校生と同じような格好をし、たち振る舞いを始めたときに言ったセリフ。レオもみんなもそんな彼女を歓迎しますが、やはりスターガールの中では何か違和感があったようで…。

この本を初めて読んだときは私も高校生だったので、スターガールという存在を受け入れられませんでした。高校生って「みんなと同じだと安心」という気持ちが一番強い時期ですもんね。

ですが大人になってから読むと、高校時代のあの空気感が懐かしく思えたり、スターガールとレオの相手を思うが故の不器用で真っすぐな愛情表現が、とても切なく苦しくて読んでいてキュンキュンしてしまいます。久しぶりに、高校時代の頃の気持ちを取り戻したいママにおすすめです!

ゾクッと派には「あやし」

宮部みゆき 著(角川文庫)

Recommend不思議にゾクッとしたいママにおすすめ!

江戸時代を舞台にした、ちょっと不思議で怖いような、何とも表現し難い話の短編集。宮部みゆきさんといえば、長編ミステリー小説を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。でも実は、江戸時代の下町を題材にした小説も数多く手がけていて、それがとても面白く読みだすと止まらくなってしまう魅力を持っています。

その中でも「あやし」は、短編集ということで、子育て中の忙しいママが読むのにぴったり。小説はハマるとどうしても先が気になり、続きが読みたいがために早く子どもを寝かそうとイライラしてしまいませんか?でも短編集なら、簡単に一話を読み切ることができてスッキリです!

ずちゃり、ずちゃり。足音が追ってくる。それの呼気が鼻息か、胸の悪くなるような臭い息がおゆうの首筋にかかった。

出典:「布団部屋」より

「あやし」の中でも、とても好きな話の一部分。もうこの表現だけでも、何とも言えないゾクッと感がありますよね。ホラーのように分かりやすい怖さではなく、ジワジワと染み出てくるような怖さ。

でもそこへ人情や愛情などのさまざまな感情が複雑に交わり、読み終わった後も不思議な感覚が残る作品が集まっています。

これからどんどん夜が長くなっていき、読書にぴったりな季節がやってきますね。くれぐれも、ハマり過ぎての夜更かしにご注意ください!!

この記事を書いたライター

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へそ野へちまさん

趣味は手芸、でも料理はやや苦手。子どもたちが寝た後、夫婦で海外ドラマを見るのが日課です。年に1度は沖縄旅行!を合言葉に500円玉貯金に励む、3人兄弟の母です。

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