/ 2021.12.20

子どもは、日々、傷や出血が絶えませんよね。親はハラハラしてしまいますが、傷の様子をよく見て、落ち着いて手当すれば大丈夫です。万が一のときに知っておきたい対処法を動画で解説します。

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動画で解説【すり傷・出血をしたときの応急手当方法】

教えていただいたのは

横田俊一郎先生

横田小児科医院院長。78年東京大学医学部を卒業し、東大病院小児科へ入局。その後、大学病院、関連病院で小児科診療に従事。血液・悪性腫瘍グループに属する。88-93年は社会保険中央総合病院(現「東京山手メディカルセンター」)小児科部長。93年に父の後を継いで小田原市北ノ窪にて開業。97年より現在のクリニックを新築。
社会保険中央総合病院小児科に就職し、日本外来小児科学会の設立に関わってからは、外来診療を中心に、ありふれた病気、健康増進のための医学、子育て支援をテーマに勉強を続けている。
▶横田小児科医院HP

すり傷の手当て


まずは、傷口を水道水でよく洗い、泥などの汚れや、砂などの異物をきれいに取り除きます。不衛生な場所で転んだ場合など、傷が汚染されているようであれば、消毒して清潔な状態にします。

次に、傷口にワセリンなどの軟膏材を塗り、ラップで覆うなどして、傷口が乾かないようにします。これを「湿潤療法(しつじゅんりょうほう)」といい、痛みが少なく早く治ることがわかっています。

ワセリンとラップを使用する方法のほか、市販のパッド型絆創膏でも手軽に処置を行えます。治療の途中では消毒せずに、2-3日に1度傷口を確認して、貼ったものを取り換えてください。傷がおさまってきたなと思ったら、外して構いません。

子どもは絆創膏が好きですが、貼っていると傷が乾いてしまうので、治療には向いていません。小さな傷やジュクジュクしていない傷の場合に、患部を保護する目的で使用しましょう。

治療のポイントは、傷口を清潔にすること。汚れがついたまま傷口を覆ってしまうと、バイ菌が入り、繁殖してしまう原因になります。

切り傷の手当て

出血している場合は、目に見える汚れを流水で洗い流し、異物を取り除いたあと、止血します。

直接圧迫止血法(ちょくせつあっぱくしけつほう)


ガーゼや清潔な布切れ、ハンカチを傷口にあて、強く圧迫することで止血する方法です。ほとんどの出血はこの方法で治まります。出血している部位を心臓よりも高く上げると効果的です。

治療はすり傷と同じく、傷口を乾かさない「湿潤療法(しつじゅんりょうほう)」で行います。ただし、傷が大きい場合や、額など目立つ場所の場合は縫合の必要があるので、医師の診察を受けましょう。

こんなときは病院へ

ガラスによるけが


割れたガラスなどによるケガでは、目に見えない小さな破片が、傷の中に残ってしまうことがあります。しばらくたっても痛がるような場合などは、医師の診察を受けましょう。

口からの出血


転倒などにより、口から出血している場合は、上唇と歯茎をつなぐスジ、上唇小帯(じょうしんしょうたい)が切れて出血していることが多いです。出血量が多いので驚くかもしれませんが、清潔なガーゼなどで押さえていれば、比較的すぐに止まります。

上唇小帯(じょうしんしょうたい)は切れても問題はない場所ですが、出血部位よりも、歯が折れたりグラグラしていないかどうかを確認しましょう。歯に異常があると、抜けてしまったり永久歯に異常が出たりすることもあります。口を出血した場合は、歯の状態を確認し、少しでもおかしなところがあれば歯科医院を受診しましょう。

子どもの「もしも」のときために

子どもに何が起きたとき、そばにいる可能性が高いのはパパやママ。もしものときは冷静に、ケガの状態をよく観察しましょう。適切な処置ができるように、普段からイメージしておくといいかもしれませんね。

監修:横田俊一郎(小児科)
制作:株式会社こどもりびんぐ/株式会社照林社/株式会社エイトリンクス
ナレーション:神路めぐみ(株式会社ヴイ・フォーク)