時短で、賢く、楽しく子育て。働くママでも、毎日たった5分からできる!知育や子どもの心と体を育てるノウハウを、SakuraEdu代表の荒井聖子さんに教えてもらいます。今回のテーマは「レッテル貼り」について。

子どもへのレッテル貼り

あるとき、子育ての大先輩である実母に物申したことがあります。それは「私の血を継いでいるから、この子達は算数苦手に決まっているわ。」と、小学生だった子ども達の前で言ったときです。「決めつけるのはやめて!」と強く言ってしまいました。

なぜなら、私自身がそう言われて育ったため、中学で数学につまずいたとき、「どうせ理数系の頭じゃないから」という安易な理由を付けて、努力を怠ったという経験があるからです。このように、親や祖父母など身近な大人の言う軽口が、子どもにとって意外な影響を与えることがあります。

いま、多くの親子と接していると、こういった子どもへのレッテル貼りが気になるときがしばしばあります。この子は…「言葉が遅い」「鈍くさい」「目立たない」「集中力がない」「不器用」「ちゃんと座れない」「乱暴」「好き嫌いが激しい」など、ここでは書きづらいようなもっと激しい表現のこともあります。

親御さんにとっては、第三者への言い訳だったり、謙虚な気持ちの表れだったりと、さまざまな理由がある場合でも、子どもにはどう聞こえているでしょうか。

「僕・私は○○な子だ」と、自分自身にネガティブなレッテルを貼ってしまいます。言葉の意味が分からない頃でも、親御さんの言葉のニュアンスでどんな内容か理解している子も多いと思います。

たとえば「集中力がない」という言葉は、「親である自分が子どものことを集中力がないと思っていて、それを伝えて改善させようとしている」という意味を含みますが、集中力は長期、短期、瞬発、興味のあるもの、好きなもの、体力、気力などによって、それぞれ違います。

私たち大人でも同様のはずなのに、常に親からそう言われている子は、「自分は何にも集中できない子」と思い込んでしまうでしょう。それはとても残念ですよね。であれば逆の視点から、その子にしかない素敵なレッテルを貼ってあげませんか。

子どもをほめる場面で言葉を聞いていると、圧倒的に「すごいね!」「よくできたね!」が多いのですが、さらに具体的に伝えることで、子どもの自己肯定感をぐっと高められると思います。

たとえば「小さい子の着替えを手伝うなんて優しいね!」「ママが忙しいときにカーテン閉めてくれて助かったわ!」「嫌いな物でも一口だけ食べられたね!」など、このようなレッテルなら子どもも胸を張って自信が付くでしょう。ますます自分から動くようになるはずです。

本当に困っていることは、子どもの前で言う必要はありません。大人同士の会話の中で相談することをおすすめします。

この記事を書いたライター

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荒井聖子さん

SakuraEdu代表 コドモンテワークショップ主宰 
目黒区民講座講師、幼児教室のコンサルティング、小学校受験指導をしながら、通算100回以上の企画開催。日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師、NPO日本食育インストラクター1級などの資格を生かし子育て支援活動を行う。

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