2歳後半から3歳ごろといえば、お友達との交流が始まる時期です。それまでは他の子のそばでも別々に遊ぶ「平行遊び」だったのが、いつしか他者を意識し始めます。子どもの社会性の芽生えは嬉しいけれど、大人にとっては悩みが尽きない時期でもありますね。

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お友達と一緒に遊び始める年齢ならではお悩みってありますよね。子どもの世界に大人がどこまで関わるのか悩ましいところです。成長とともに大人の介入は不要になっていきますが、幼児はまだ自分の気持ちを言葉にするのも難しい時期。ある程度のサポートは必要だと思います。

例えば、子どもたちの遊びの中での揉め事はどうでしょうか。家庭や学校、公園などで一緒になるお友達(きょうだいの場合もありますね)とうまく遊べない、遊具を誰が先に使うかで揉める、おもちゃを取った、取られたで互いに譲らない…などさまざまです。今日はそんな時期の子どもをどうサポートするか考えてみたいと思います。

まずは子どもの成長を喜び、受け止める

相手と衝突するということは、自分のやりたいこと、嫌なことがはっきりしてきたということ。子どもが精神面で成長している証拠です。おもちゃを取り合うのも、自分のもの・他人のものを区別するようになったからです。そうでなければ、相手に何を取られたって何とも思いませんし、自分も目に入るものは何でも勝手に取るでしょう。

子どもが他の子を意識するようになったら、精神的に1段階成長したサインととらえましょう。自分の意思をどう伝えるか、相手とどう折り合いをつけるかを学ぶ段階に来ているのです。わが子の好きなもの、やりたいことを見つける機会にもなります。

「これをしたい!」「これが欲しい!」小さいなりに何かを必死に主張する姿もかわいいものです。「今日はこれがしたいんだね」「これが好きなのかな?」と気持ちを受け止めてみましょう。

無理に一緒に遊ばなくてもいい

お友達を意識するお年頃でも、積極的に近寄っていく子もいれば、意識しすぎてモジモジする子もいます。子どもはそれぞれにペースが違うので、無理に一緒に遊ばせようとしなくても大丈夫です。

興味はありそうなのに、他の子どもたちが遊んでいるところを黙って見るだけの子もいるかもしれません。一緒に遊んだ方が楽しいのに、と思いがちですが、見て学んでいるということもありえます。だから無理に誘わなくてもいいのです。遊びたくなったら自分からやってきます。

一緒に遊ぶ子どもたちも、始めのうちはうまくいかないこともあります。自分のやりたいことがお互いに噛み合わなくて揉め事になるかもしれません。そんなときは様子を見つつ、子どもの気持ちの橋渡しをしてみてください。

例えば、砂場でシャベルやバケツの貸し借りをする場面なら、こんな声がけが考えられそうです。

  • 僕も使いたいから「貸して」、って言ってみたらどう?
  • 「まだ使っているから貸せないの、ごめんね」って言ってみたら?
  • 次は「どうぞ」って貸してあげたら?
  • 「ありがとう」って言って返してきたらどう?

自分の気持ちを相手に素直に伝えるやり方、断る言い方、お礼の言い方、時々は譲る言い方、子どもの初めての気持ちを具体的に言葉に出してみます。子どもがまねして言えるように簡単な言い方を使うのがコツです。

こんなとき、大人の気持ちだけで「貸してあげなさい」「譲りなさい」「お礼を言いなさい」と強制はしない方が良いでしょう。あくまで子どもが自分の意思で決定できるように、気持ちを言葉に置き換える手助けができるといいですね。

また、大人側の感じたことを伝えるときは「ありがとうって言えたらすてきなんだけどな」とフラットな言い方で、あとは子どもの決定に任せます。

お友達とうまくいかないときには、結局一人で遊ぶことになりますが、それはそれ。今はそういう発達段階として捉えます。ほんとうは一緒に遊びたいのにうまくいかなかったのなら「今日はうまく遊べなかったね」「仲良く遊びたいなら、お友達に優しくできるといいね。滑り台を順番で使ったり、時々はどうぞって譲れるといいよね」とアドバイスします。

子どもがすぐにその通りにできるわけではありませんが、経験を通して少しずつ相手との関わり方を学んでいきます。遊び始めて数カ月時間が経った頃には、きっと最初に比べるとずいぶん成長したと実感できると思います(ケガにつながるような危険な行動を見つけたら話は別です。その場で制止してやってはいけないと伝えてください)。

大人同士でフォローし合う

小さな子どもの遊びを円滑にするために、大人同士がコミュニケーションを取っておくといいですね。「今ちょうど練習しているところで、今日はうまく譲れなくてごめんなさいね」「次、また遊んでね」など、ちょっとした心遣いがお互いの気持ちを楽にします。

子どもがお友達に譲りやすくなるような工夫も考えてみてください。遊び場におもちゃを持っていくなら、子どもがお友達に貸しても良いと思えるものだけを持っていくとか、キャンディーを持っていくならお友達に分けても良いように少し多めに持っていくなど。子どもが自分の気持ちも満たしつつ、時にはお友達にも譲れる状況を作っておくといいと思います。

この記事を書いたライター

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堀田はるなさん

モンテッソーリ原宿子供の家・モンテッソーリすみれが丘子供の家教員、保育士。アパレル業界、eコマース、金融など様々な業種でのマーケティング業務を経験後、教育の道へ転身。日本モンテッソーリ協会承認モンテッソーリ教員免許取得。著作「子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド」。

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