時短で、賢く、楽しく子育て。働くママでも、毎日たった5分からできる!知育や子どもの心と体を育てるノウハウを、SakuraEdu代表の荒井聖子さんに教えてもらいます。今回のテーマは「見守り力」について。

子どもをぐんぐん伸ばす見守り力

今回は、「子どもができること」と「見守り力」について考えてみましょう。子どもと出かけるとき、靴や上着の着脱、荷物の準備などルーティンの動作が続きます。

入浴や寝る支度なども含めた日常のルーティンの中で、時間がないとか周囲を待たせない配慮から、大人がつい代わりにやってしまうことはありませんか?靴をさっと脱がせ並べる、上着を脱がせて畳む、荷物を準備して持つ、着替えを用意する、身体を洗うなど、子どもがもたついている内に、大人が済ませてしまう光景を時折見かけます。

寝ているだけの乳児から共に過ごしている親子関係の中で、「無意識にやってあげていること」がたくさんあります。でも、あらためて子どもの様子を見てみると、頑張れば自分でできるのに、習慣的につい手を差し伸べていることはないでしょうか?もしかすると、大人の手が足りないときには、できる限り自分でやっているようなことでも…。

モンテッソーリ教育では「自己成長力」という言葉が使われますが、「子どもが自分を成長させたいと思う内なる力」こそが、子どもの成長の大きな鍵となります。

大人がやっているように「自分でやってみたい!」、この意欲が出たタイミングをしっかり捉えて、やり方をよく見せてやらせてみましょう。うまくできなくてもたついても、それを越えないとできるようにはなりません。靴がうまく脱げなくて癇癪(かんしゃく)を起こしても、それはごく普通のことなのです。

大人がやってあげれば簡単なことでも、「自分でできることは自分でやらせる!」という忍耐を持って見守ってあげましょう。そのとき、子どもがぐんぐんと成長するのです。

あるショッキングな光景を目の当たりにしたことがあります。電車で座っていた親子ですが、小学校高学年の息子のリュックを、お母さんが何も言わずに開け、ペットボトルを取り出します。

子どもが飲みたいと言った様子はありません。お母さんはさっとキャップを開け子どもに渡す、子どもは受け取り飲んで無言でお母さんに返す、お母さんがキャップを締めてリュックに戻しファスナーを閉じる。

一見、自然な動作に見えますが、私は子どもの年齢を考えると、行く末を案じてしまいました。やってあげたい気持ちや習慣的な動作を客観的に判断して、ぐっと押さえるのも大切なことですね。

そして、子どもの身の回りのことを順番に教えていきましょう。追い立てられ手を差し伸べられ、大人に言われるまま生活していると、今日の日付、季節や行事、起床就寝の時間、園のスケジュール、習い事のスケジュール、住んでいる場所、近所の様子、買い物の仕方、移動手段、交通ルールなど、案外身の回りが分かっていないことあります。

身の回りを知ることは、「自分でできることは自分でする」能力の土台となります。子育てのゴールは子どもの自立です!今から心がけて過ごしてみませんか。

この記事を書いたライター

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荒井聖子さん

SakuraEdu代表 コドモンテワークショップ主宰 
目黒区民講座講師、幼児教室のコンサルティング、小学校受験指導をしながら、通算100回以上の企画開催。日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師、NPO日本食育インストラクター1級などの資格を生かし子育て支援活動を行う。

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