私が勤務している「子供の家」で最近はやっているスマートフォン。子どもたちが毎日カバンに忍ばせている赤やピンク、ブルーのカラフルなスマートフォンのその正体とは…。

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時々大人に借りてカメラや動画で楽しんでいるのでしょうか、とにかく子どもたちはスマートフォンが大好きです。私の勤務先の子どもたちもご多聞にもれず電子機器大好きっ子ですが、今はマイスマホを持つのがブームなようです。赤やピンク、ブルーのお気に入りの携帯電話を鞄から出してきては、ほら私のカッコいいでしょう?と見せてくれます。

カバンからカラフルな携帯をたくさん取り出しては友達にプレゼントする子もいます。デザインもユニークで、ある子の待ち受け画面にはドラえもんとドラミちゃんが大きく描かれています。時々数字ボタンの配列すらでたらめだったりしますが、当人はどう、どう?見て、見て?と誇らしそうです。

そう、お察しの通り、それらは本物のスマートフォンではなく、子どもたちが自分で作ったオリジナルスマホです。当然ながらスマホとしての機能はありませんが、自分で作った、自分専用のものだというところがうれしいのでしょう。時々取り出しては満足そうに眺めたり、耳に押し当てて通話ごっこを楽しんだりしています。

自分で作ったものに対する愛着や作ることのワクワクが詰まった表情。自分の手を動かして何かを作り出すことの醍醐味ですね。

*写真は子どもの作品を私が再現したものです

自由に作ってみよう!

スマートフォンは形が単純なので幼児にも作りやすいうえに、色や模様などでオリジナリティを出すことができます。自宅でも簡単に作れますので、ぜひお子さんと作ってみてください。

素材はなんでも

素材は家にあるもので構いませんが、年齢や手先の器用さに合わせて扱いやすい素材を選んでください。年少児なら折り紙で平面的に作るのがおすすめですが、少しハサミに慣れているなら色画用紙を切り貼りしてもいいですね。

すでに工作を経験済みながらダンポールを使って立体的に作るのも良いかもしれませんが、年長児くらいでないと扱いが難しいかも知れません。

大人の手伝いは最小限にしたいので、子どもが自分で扱える素材を選ぶことがポイントです。ダンポール製だと強度があって長持ちするかもしれませんが、年少児には硬過ぎて切れないので「パパが作ってー」になってしまいそうです。

最初はイメージ通りにできなくてガッカリなんてこともありますが、それは次回へのモチベーションのうまく転化しましょう。こんどはどんなふうに作ろう?と考えることもワクワクです。折り紙製スマホをひとつ作って楽しかったなら、子どもがいつの間にか量産体制に入っているかもしれません(笑)。

丸シールを活用

特に数字を書く練習はそれ単体だとつまらないかもしれませんが、スマホを作るという目的ならどんどん書こうとしますよね。年中児以上なら、キーパッドの部分に自分で数字を書いてみるといいと思います。まだ数字を書けない子には丸シールに数字を書いてあげて、読みながら子どもに貼ってもらってはいかがでしょうか。

丸シールに数字を書いてあげてもよし
段ボール性スマートフォンが完成しました!

実はこんな学びが隠れています

スマホ作りはとても単純な工作ですが、実はこんなに学びが隠れています。子どもが手を使う楽しさを発見することそのものが全て学びではあるのですが、作るプロセスにはこんな体験があります。

  • 実物を観察する
  • 切る、貼る、折る
  • 色を塗る、模様を描く
  • 数字を書く

忘れずに紹介しておきたい体験が実物を観察することです。普段よく目にして知っているものでも、いざ作るとなる細部の記憶が曖昧です。

自分で作る、という目的で物をじっくり眺めてみると新たな発見があるものですよね。本物をじっくり見てまねるうちにものの本質をよく捉えられます。この部分はもっとこうだったら楽しいだろうな、という発想も生まれるかもしれません。

工作のテーマは具体的に

さあ、ワクワクのもの作りを始めてみましょう!スマホでも、別のものでも、子どもが好きなものをテーマにしてみましょう。どんなふうに作ろうか?何色がいいかなあ?ワクワクした気分でどんどん発想が膨らむテーマが良いですね。

虫でも電車でも恐竜でもなんでも構わないのですが、幼児の工作の出発点としてならスマートフォンのようにある程度のデザインが決まっていて簡単な形のものを選ぶのがいいと思います。

どうやって作ろうかな?と工夫する過程が1番の楽しみなので、出来栄えを気にする必要はありません。子ども自身が満足するものができればそれでオッケーです。

余談になりますが、最近友人と子どもの頃の話をしました。彼女はおもちゃを滅多に買ってもらえなかったので、よく段ボールで自作をしていたそうです。その頃はやっていた「たまごっち」も自分で作ったそうですが、成長過程の絵をたくさん用意して入れ替えては楽しんだとのこと。

当時、本物のたまごっちを買ってもらえなかったことは寂しかったけれど、作り出す楽しみを知ったから、むしろなんでも与えられるよりも良い面もあったのかも、と懐かしそうに語ってくれました。

自分で作ったものには何にも代え難い愛着が湧いて、ものを大切にすることにもつながります。既成のおもちゃをたくさん揃えるより、自分で考えて工夫して作ってみることには思った以上に価値があるようですよ。大人も子どもにかえって、一緒に作ってみるのもいいかもしれませんね。どうぞお試しください!

この記事を書いたライター

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堀田はるなさん

モンテッソーリ原宿子供の家・モンテッソーリすみれが丘子供の家教員、保育士。アパレル業界、eコマース、金融など様々な業種でのマーケティング業務を経験後、教育の道へ転身。日本モンテッソーリ協会承認モンテッソーリ教員免許取得。著作「子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド」。

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