ただでさえ苦労の多い保活。子どもが生まれた月によって、保活に有利・不利はあるのでしょうか。「保育園を考える親の会」の代表である普光院亜紀さんに話を聞いてみました!

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お話を聞いたのは

普光院 亜紀さん

「保育園を考える親の会」代表。保育、仕事と子育ての両立について、執筆・講演活動をおこなう。自身も2回の育児休暇をとって、2人の子どもを保育園に預けた経験をもつ。著書に『共働き子育てを成功させる5つの鉄則』(集英社)など。
>保育園を考える親の会

生まれた月によって、保活に有利・不利がある?

待機児童が多く入園事情が厳しい地域では「早生まれは不利」とささやかれています。なぜでしょう。キーワードは「4月入園」「0歳児入園」です。

認可保育園には本来、いつでも入園申込みができるのですが、保活激戦区では、卒園・進級で欠員募集多くなる4月でないと入園が難しくなっています。

さらに、下からの進級がない0歳児クラスは定員全員分の募集になるため、1歳児クラスよりも入りやすいと考えられています。そのため「0歳児クラスへの4月入園」をめざす家庭がふえているのです。

ただし、0歳児の場合、受け入れ月齢に制限があります。保育園によって産休明けからOKだったり、生後5カ月からだったりしますが、とにかく4月1日時点でその月齢に達していなければ、4月入園はさせてもらえません。

たとえば、産休明け(生後57日)受け入れの園であれば、2月3日までに生まれていなければなりません。生後3カ月からの園なら、1月1日までです。出産日が間に合ってよかった!と思っても、いざ生後57日や3カ月で預けるとなると、惜しい気持ちがするママやパパも多いでしょう。

反対に、4月生まれであれば、育児休業をほぼフルにとった上で、0歳児クラスの4月入園にチャレンジできます。そんなわけで「早生まれは不利」と言われているのです。

ちなみに、4月入園申込み締切(12月ごろ)後に生まれた子どもの入園申請については自治体によって扱いが違うので、注意が必要です。

自分の地域の入園事情と相談しよう

とはいえ、「0歳児の4月入園」は絶対ではないことを心においておきましょう。

まず、地域の入園事情をよく調べてください。待機児童が減少している地域では、1歳児クラスでも育休明けなら入れるところがあるはずです。年度途中も転居などで少しずつ欠員募集が出ていますので、待機している人数によっては順番が回ってくる場合もあります。

非常に厳しいのは都心部ですので、それ以外の地域の人は自分のエリアの情報で判断すべきです。自治体の窓口で例年の傾向を聞いてみてください。1歳児から受け入れの園が近くにあれば、1歳児クラスが全員募集になるのでラッキーかもしれません。

品川区では、0歳児のときに認可保育園への予約申し込みをして、子どもが1歳になった時点で入園できるという「入園予約制」を導入しています。誕生月に関係なく、1歳になれば年度途中でも入園可能。

厚生労働省が奨励していますが、満員の状態で予約枠を捻出するのが難しく、まだほとんどの自治体では導入されていないようです。

早生まれの保活はこう考える!

産休明けや早い時期からの復帰はきついと感じているなら、保育園のために無理をするのはお勧めできません。一番大切なのは、親子の健康状態、ママとパパの気持ちです。

早期復帰を決断するなら、周囲の園の受け入れ月齢や入園の難易度を調べて、市区町村の窓口ともよく相談してぬかりなく申請します。それでダメだったら、あるいは早期復帰はしない決断をするのなら、潔く0歳児の4月入園をあきらめましょう。

その場合は、1歳の4月入園からチャレンジするのか、それとも年度途中から入園申請をしてチャンスを待つのか、考えておく必要があります。

「認証保育所などの認可外で信頼できそうところに入れるときに入ってしまい、認可への加点の実績を作るのも賢い方法です。認証保育所のなかには、産休・育休中でも、毎日ではなくても預けられるところがあります。」と普光院さんはいいます。

「こんなに保活が厳しくなる前は、1歳近くまで育休をとる人のほうが多かったのです。無理な早期復帰より、納得できる復帰を目指してほしいです。

その結果、1歳児での入園がうまくいかなくても、2017年10月からは育休が2年間まで延長できるようになったので、何とかなる可能性は大きくなっていると思っています。」

育休を延長して家で子育てに奮闘する時間も貴重です。その間に子育て生活に自信がもてれば、本格的に職場復帰するときの安心感も違うはず。早生まれをデメリットと思わず、前向きに考えてみてください。