子どもが泣いている時、なかなか寝ない時、急いでくれない時、どんな声かけをしていますか?子どもの気持ちを受け止めながら、ポジティブな提案をする「ポジティブトーク」。どんなふうに使えるのか、具体例をあげて紹介します。

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大泣きで登園した子ども、どう接する?

新学期が始まりましたね。私の勤務園でもクラスに新しい子どもたちが加わりました。まだパパ・ママとのお別れに慣れずに、ドアの前で泣いてしまう子もいます。

ある日の朝のことです。玄関先で「ママがいい!帰りたい!」と泣いている3歳の男の子がいました。ママは男の子をぎゅーっと抱きしめた後、「じゃあ頑張ってね」と背中を押し、帰っていきました。

部屋に入ってもしばらく大泣き。全く泣き止む気配がありません。「そうだよねえ、ママがいいよね。帰りたいよね」「お仕事(※モンテッソーリの活動のこと)をして、おやつを食べたらママが迎えにくるよ」私は男の子の気持ちを受け止めつつ、様子を見ることにしました。

「落ち着くまで、少しイスに座っていようか?」無理に泣き止ませようとせずに少し距離をとると、すかさずそばに寄ってきて「ママがいいよ!」とアピールしてきます。

「そうだねえ、じゃあママにプレゼントでも作る?」「やだ、帰りたい!」「そっかあ、じゃあもう少し泣いていてもいいよ。泣くのが終わったら、一緒にお仕事しようか。先生は待っているから、泣き終わったらおいで」

男の子はまだ泣いていましたが「わかった」と言いました。「どう?もう泣くの終わったみたい?」「…うん」そう言って、自分の好きなお仕事を棚から持ってきました。

どうやら、自分で自分の気持ちに区切りをつけたようです。お仕事に夢中になっているうちに、男の子はもうすっかり落ち着いていました。

ポジティブトークのポイント

子どもと話しをする時には色々な話し方がありますが、私はどんな時もなるべくポジティブな言い方を心がけています。

「ポジティブトーク」とは私が勝手に名付けたもので特別なセオリーがあるわけではありませんが、子どもの気持ちを一旦受け止めてから、ポジテイブな提案や言い換えをすることを基本にして、状況に合わせて言い方を考えます。

泣いている男の子のケースでは、こんなステップで接しました。
※体調不良など、子どもが泣く原因が他にないかチェックしています

  1. 子どもの悲しい気持ちを受け止める、寄り添う
    「泣いてもいいんだよ」とまるごと受け止めます。「泣いちゃだめ」と彼の気持ちを否定するのはなるべく避けます
  2. 無理に泣き止ませようとしないで、ある程度子どもが落ち着くのを待つ
    ある程度泣けば、子どもも気が済みます
  3. 「泣き終わったら、○○しよう」と楽しい提案をする
    彼が自分で気持ちを切り替えるためのきっかけ作りとして、楽しい提案をします

同じ土俵にのらずに一歩引いてみることも大切

子どもの状況に応じて対応を変えるので、いつでも同じ声かけではありません。しかし、相手は大人とは違った感性の子どもですから、同じ土俵にのらずに一歩引いてみることも大切です。

ポジティブトークの肝は、大人が「〜しなさい」と命令するのではなく、子ども自身がどう行動するかを決められるように提案することです。幼児が相手の場合は、「こんな方法があるよ」「こんな方法はどうかな?」というスタンスで接するとうまくいく確率が上がると思います。

余談になりますが、私は子どもの頃、とても寝付きの悪い子でした。布団に入ってもなかなか眠れずゴロゴロ遊んでみたり、すっかり目が冴えて寝室から出てしまうこともありました。

業を煮やした祖母は「寝ないとおばけが来るよ」とよく言っていましたが、怖いおばけを想像してしまって、余計に眠れませんでした(笑)。「ゆっくり寝て、明日の朝は早く起きて遊ぼうか」と言われたら、もう少し楽しい気分になったのかなとも思います。

寝かしつけには、部屋の照明を落として静かでリラックスした雰囲気を作ったり、穏やかな声で物語を読んであげたり、手足をマッサージしてあげたり、あるいはいっそのこと大人も一緒に寝てしまう…など、いろいろな技がありますが、声かけもひとつのきっかけになればと思います。

ポジティブな言い換え例

いろいろな場面で使えそうな「ポジティブトーク」の例をいくつか紹介します。

その場で考えることも大事ですが、隙間時間に子どもの顔を思い出しながら、具体的な言い換えを考えてみることも役に立つと思います。みなさんも自分用の「ポジティブトーク」をたくさん考えてみてくださいね。