会社から管理職への昇進を打診されたとき、ママの頭をよぎるのは家族や子どもたちのこと。今回は「管理職への昇進と子育ての両立」という相談者の悩みに、現在マスコミ関係の仕事で管理職をされている東京ワーキングママ大学のひらのさんが答えてくれました。

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question子どもをとるか、キャリアをとるか?このタイミングに乗るか見送るか?

来春に育休から復帰予定ですが、上司から「課長にならないか?」とありがたいお話をもらいました。しかし、管理職は時短制度が使えません。復帰後はバタバタするし、できれば時短を使いたいと思っていたので、正直迷っています。

管理職の枠は数が限られており、前任者の退職や異動がない限りなかなか空くものではないので、また管理職になれるチャンスが来るかもわからない。子どもにもお金がかかるし、昇進して稼いでおきたい反面、現実は「いきなりフルタイムで働けるのだろうか?」と思うと決められません。

小さな子どもの成長を見られるのも今だけ。子どもをとるかキャリアを選ぶか。どうすればいいのでしょうか。

answer今、自分にとって一番大切なことは何かを自問してみましょう。

答えてくれたのは東京ワーキングママ大学・ママ記者

ひらのさん

現在、4歳の男の子を子育て中。30代のときに管理職に昇進し、管理職6年目。2013年から東京ワーキングママ大学でママ記者として活動。>東京ワーキングママ大学

子育て中のママに念願の昇格のチャンス。迷う気持ちはわかります。自分に務まるのか、周りに迷惑をかけるのではないか、どれくらいの理解を得られるか、子どもとの時間がなくなるのではないか、と不安が先に立って優先順位がつけられない状況なのでしょう。

その場合は、

今までの価値観を一度捨てて、「今」の自分にとって一番大切なことは何かを自問してみましょう。

今、一番大切なことは、子どもですか?家庭ですか?お金ですか?仕事ですか?自分らしさですか?または、それ以外のものですか?

まずは、自分自身で優先順位をつけてみましょう。そうすれば、昇格の話に乗るべきタイミングは今なのか、整理ができます。その上で、上司としっかりコミュニケーションをとりながら、内容に応じた確認・交渉をしていくのです。

昇進の理由を聞いておきましょう

いちご大福さんの場合、5歳、3歳、0歳と3児の子育て中ということですが、最初の子どもが産まれてから今までどのような働き方をしてきましたか。産休・育休や時短制度を繰り返しながらの慌ただしい生活だったと思います。

もし上司が、その様子を見てきたにもかかわらず「課長になってほしい」と言ってきたのだとしたら、今のうちに理由をしっかり聞いておく必要があります。そこで会社の今の状況を把握し、昇進することによる心理的、体力的、時間的負担と、金銭的な報酬がそれに見合うのかをみましょう。

もし、理由が「優秀なのに昇進させられないのは惜しい」ことであれば、あなたはとても優秀で、実績も十分なのでしょう。それならば、思いきって最初からフルタイムで課長になる方がいいです。

たとえ難しかったとしても、転職市場に出てみることもできるからです。その場合、管理職経験は優位に働きます。

自分だけの問題ではなく家族の問題でもある

さて、質問の中には「小さな子どもの成長を見られるのも今だけ」と、働くママがもつジレンマもあります。そこで意識していただきたいのは、子育ても仕事も「家族の総力戦」であるということです。

あなたが昇進することで、家庭はどう変わるのでしょうか。あなただけではなく、家庭全体で動きを見ましょう。

例えば、子どもの年次にあわせて性格、教育、志向にどういった影響が出るのか、世帯年収はどれくらい変わるのか、時間的制約はどれくらいで、日々の生活にどう影響が出るのか。そして、そのイメージをパートナーと共有します。パートナーとまずは意識を合わせることが大切です。

そうすれば、パートナーが頼りになることがわかったり、子どもの成長を見たいと思うのは逃げの気持ちだったりと、客観的に見えてくることもあります。

昇進することは家族の問題でもあるのです。

ここは、ママだけが「子育てと仕事の両立」で悩まないようにしたいところです。

管理職になるかどうかの判断は?

管理職になるかならないかの判断は、現在の勤め先の将来性や、将来のさらなる昇進の可能性、収入増予測まで加味してパートナーとの働き方を調整していく必要があります。

今、管理職として、それもフルタイムで働くということが将来にどのようにつながるのか、自分なりの答えをもっていくことが大切です。そうすれば、何かに惑わされたり、他人の言葉で気持ちが揺れたりすることはなくなります。

管理職になろうと思ったら、働き方のシミュレーションをしておきましょう。

自分の領域を守る環境作りを事前にしておきます。

私はそれを「チーム作り」と呼んでいます。チーム編成はパートナーに限りません。子どももそうですし、親、保育園、病児保育、ベビーシッター、地域のファミリーサポートなど、いろいろあります。会社にも上司、先輩、後輩がいます。

家族に何かが起こった場合はAチーム体制、仕事で何かが起こった場合はBチーム体制など、協力体制を自分の中で整えておきましょう。そうすると、意外に悩む部分は少ないかもしれません。

チャンスをどうするか?あなたの選択次第

管理職フルタイムママの先輩としていえることは、

案ずるより産むが易し

時間の面でもお金の面でも、実は何とかなることは多いです。限りある時間、一度しかない人生、目の前にきたチャンスをどうするかはあなたの選択次第です。

ただ、女性にはなかなかないチャンスです。「管理職だからこうしなければいけない」といった概念を取り払い、「自分が管理職だったらこうしよう」という気持ちをもって、堂々とキャリアアップの道を歩んでほしいです。

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協力:東京ワーキングママ大学