子どもの「おちんちんケア」の悩みを解決してくれる絵本が登場!『ぞうちんとぱんつのくに』は助産師であり、助産院の院長も務める石嶺みきさんが、皮膚科と形成外科を専門とする医師監修のもとに原案を制作された絵本です。絵本の内容と合わせて、幼少期の性教育の進め方や「おちんちんケア」で多い悩みなどについて、石嶺みきさんにお話を聞きました。

index目次

「ぞうちんとぱんつのくに」原作・監修:石嶺みき、作画・構成:ゆままま、発行:KADOKAWA

プロフィール

石嶺みき( いしみね・みき )さん

助産師、看護師、栄養士。ミキズハウス助産院院長。2021年にMidwife M 腟ビューティー(R)協会を設立。
自身の不妊治療中に献身的に励ましてくれた助産師に強い憧れを抱き、出産後に看護学校に進学、助産師専攻科を経て助産師資格を取得。卒業後は大学病院産婦人科の外来・病棟勤務に従事し、たくさんのお産に立ち会う。近隣の保健センターにて、母親のメンタル面のサポートや妊娠SOS相談窓口、新生児訪問、乳幼児健康診査なども行った後、フェムケア教育の普及活動を思い立ち独立。ブログを通して悩める女性たちに情報提供をしつつ、看護学校の教員や助産師、看護師などと共に協会を設立してライセンスを作る。現在は“全ての世代に、泌尿生殖器ケアを通して幸せになってもらいたい”という信念のもと、「フェムケア」「おちんちんケア(オムケア)」「思春期性教育」をテーマとした教育を展開中。

家族で性教育について楽しく学べる絵本

どんな内容?

男の子のおしっこの仕方や洗い方、扱い方だけでなく、性のこと、大事なプライベートゾーンであることを読み聞かせながら伝えられます。
「皮はむいていいの?」「向きが真っすぐじゃないけど大丈夫?」など、原作者で助産院の院長である石嶺さんのもとに届くママたちからの疑問や悩みにも答えてくれる!男の子とママだけでなく、女の子やパパなど、親子で楽しく、大事なことを学ぶのにぴったりな性の絵本です。

楽しく性教育について学ぼう!

ここからは、本の原作・監修をした石嶺さんに聞きました。

オムケアを全国のママに発信したい!「オムケア」絵本制作のきっかけとは?

私は助産師として約10年間、1800人の新生児訪問、5400人の乳幼児健診・保健指導を担当してきました。その際にママさんたちから、「おちんちんの正しい洗い方がわかりません」などオムケアの相談を受けることがよくあります。現在の日本の家庭において、性教育は積極的であるとはいえず、残念ながら全く世の中に浸透していません。

しかし、乳幼児に限らずデリケートゾーンはかぶれやすかったり、垢が溜まりやすかったりと、トラブルを起こしやすい場所なので正しくケアすることはとても大切です。

性教育に関する本はたくさんありますが内容が難しくて、幼少期の性教育に取り入れにくいものばかり。それで、ファーストブックになるようなものを作ろうと思い絵本を制作しました。絵本の最後には、10年間ママからの質問を書き留めたオムケアのQ&Aも載せています。

乳幼児のオムケアのトラブルや多い悩み

乳幼児のオムケアの悩みで多いのはどんなこと?

健診のときにママからの質問で多いのは、おちんちんの洗い方、形の違い、お子さんの癖など日常での悩みです。一般的なトラブルでは、「おちんちんが赤くなっている」や「おちんちんが腫れてる」といった、亀頭包皮炎による相談を多く受けます。

これは、汚い手でおちんちんをいじっていて、ばい菌(細菌)が入ってしまったことが原因ですが、多くの場合は手でいじるのを止め、陰部を清潔にすることと患部に抗生物質含有軟膏を塗ることで改善します。しかし、場合によっては尿道炎や膀胱炎など尿路感染症に進展してしまうこともありますので、お伝えしたような対応を1、2日間しても症状が改善しないようであれば、小児科や小児泌尿器科への受診をお薦めします。

おちんちんに異変があるのか違いが分かるためには、正常を知っておくことも大切です。日常的に、おむつ替えやお風呂で確認してあげるようにしましょう。 

本書では、オムケアQ&Aも

早期性教育の大切さについて

2歳から始める性教育

幼少期から性教育やオムケアに触れることは、正しく体のケア方法を身につける、衛生概念を理解することはもちろん、自分と他者との違いを肯定的に捉え、自己肯定感を高める考え方を身につけることにも役立ちます。

2歳児は心が急激に成長する時期です。自分という意識が強くなり、自分で何でもやりたがる、したいことや好きなことがはっきりしてくる時期であり、それは自立心が芽生えてきている証でもあります。この時期からおうち性教育の一環として、オムケア(おちんちんケア)を学び、自分の大切な場所(プライベートゾーン)の扱い方や洗い方を知ることは、自立心を育てる絶好の機会になります。

そして3歳頃になると、プライベートゾーンの場所と名前が一致するようになり、4歳頃にはそこが大切な場所だという認識が芽生えてくれるはずだと考えています。

子どもにどうやって伝えればいいの?性教育との向き合い方のコツ

おちんちんの正しいセルフケアはいつから教えたらいいの?という質問もよく受けます。それに対して私は、「子どもが自分のカラダを洗うことに興味を持ったときがベストです」とお伝えしています。実際には、言葉で意思疎通ができるようになる3〜4歳頃から伝えられると良いと考えています。異性の保護者の場合は、小学校低学年頃が目安です。

最初は、保護者が実際にお子さんの性器に触りながら教えても良いのですが、その時は必ず「おちんちんの正しい洗い方を教えるから、おちんちんを触ってもいいかなぁ?」とお子さんの同意を得てください。「大切な所だから、自分で洗えるようになろうね」、「優しく丁寧に洗おうね」といったポジティブな言葉で声掛けしてあげてください。本人が嫌がったら、その日は無理に行わないようにすることも大切です。気長にやっていくのがコツで、上手に出来たときはたくさん褒めてあげてください。

楽しく上手に洗えるように、オリジナルソングも用意。動画で視聴もできます

絵本を通して家族で楽しく性教育を学ぼう

おうち性教育を進めるためには親が学ぶことも大切

性教育を始めようと思ってパパに聞いたり、ネットで調べたりしても情報多すぎてどうしたらいいのか、誰に聞いたらいいのかわからない…と悩んでいる人もたくさんいると思います。この絵本は、お子さんだけではなく、親御さんへのメッセージでもあります。おうち性教育の一環として親御さんたちに知って欲しい情報が書かれています。

子どもから「なんで男の子にはおちんちんがあるの?」など性に対する質問があったときに難しい話をするのではなく、例えば「おちんちんの神様にタッチしたからだよ」と伝えれば「ふぅん」と子どもは納得するはずです。大切なのは、その質問を無視したり話をそらしたりしないこと。親御さんがちゃんと答えることで、子どもは「この話をしてもいいんだ」、ちゃんと性の悩みに対して答えてくれるという安心感と親子の関係性づくりにつながります。

おうち性教育が広がらないのは、ご家庭で性の問題についてタブー視していたり、親御さん自身も分からなくて伝えられないということが挙げられます。この絵本を通して家族で楽しみながら性について学ぶきっかけになったらうれしいです。

今後は絵本を通して、親子が幸せに過ごせる活動を

今後は、この絵本の読み聞かせが出来る講師を協会認定で輩出し、Webや現地開催を通して全国で親子向け読み聞かせ会を実施していく予定です。

この絵本は、じつは数を数えたり、色を覚えたり、乳幼児が楽しめるさまざまな仕掛けが一杯詰まっている素敵な内容となっているんですよ。絵本は親子や兄弟、または一人で読めるすばらしいエンターテインメントです。この絵本や絵本の読み聞かせが原体験となって、皆さんが幸せな時間を過ごせるように活動していきたいです。

また、保育園や小児医療機関などにこの絵本を設置していただき、幼児教育に関わる様々な職種の方々の知識の底上げやアップデートに活用してほしいと考えています。

この絵本をきっかけに、親子でおうち性教育について、考えてみませんか?

取材・文/やまさきけいこ
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