保育園では夕飯付きで19時まで子どもを預けられたためフルタイムで働けたというトラ子さん。子どもの小学校入学を機に、働き方を見直すべきかどうか悩んでいます。キャリアコンサルタントとして女性の就労支援を行っている石倉和美さんが答えてくれました。

question春から小学生。このタイミングで働き方をどう見直すべきか迷っています

4月から娘が小学生になります。現在は9時から18時のフルタイムで働き、保育園には19時にお迎えに行っています。娘は夕飯も保育園で済ませています。

小学生になったら夕飯は自宅で用意し、勉強も親がみてあげる必要があるので、フルタイムのまま勤務めるのは難しい気がしています。

社内制度としては、子どもが小学校4年になるまで時短勤務が可能、また週4日勤務という働き方も可能です。ただ時短になれば給与は下がり、制度上、管理職にもなれず、フルタイム勤務に戻るためには面接を受けなければいけません。

現在の会社に定年まで勤める気は今のところなく、将来的に独立し起業したいとも考えており、小学校入学を機に時短申請をするべきか、このままフルタイムでキャリアを重ねるべきか、悩んでいます。

answer自分を中心とした「育児チーム」を作って子どもを見守る体制を。その上でこの転機をプラスに捉えてキャリアを考えてみては

答えてくれたのは、女性の働き方支援・就労支援をするキャリアコンサルタント兼育休後アドバイザー

石倉和美さん

ポジティブトランジション代表。キャリアコンサルタント兼育休後アドバイザーとして、企業・行政向けに女性活躍推進、個人向けにも働く女性のキャリア支援・働きたい女性の就労支援を行う。また、滋賀県マザーズジョブステーションのキャリアカウンセラーや大学のキャリアプログラム講師としても勤務> 東京ワーキングママ大学

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どのような子育て支援が得られるかをまず整理しましょう

子どもの小学校入学という転機は誰もが気がかりになるところですよね。現在のトラ子さんには、不安に感じれば感じるほど今のこの状況がマイナスに思えているのかもしれません。

まずは、子どもの夕食や学習について、どのような支援をどのくらい得られるか整理するために書き出してみましょう。また、決して一人で悩みを抱え込まないことがポイントです。

1.家族に相談してみる

小学校入学までの育児は「手をかける」ものでしたが、小学校にあがったら「目をかける、気に掛ける」育児に変わります。「母親でなくてはならない」育児はずいぶんと減るものです。

同居者ではなくても、協力を得られそうな人が近くにいるならぜひ話してみてください。

2.地域の学童クラブや習い事の情報を集めてみる

地域にもよりますが、サービス内容が充実している学童クラブや習い事が学童クラブの役割を担っていたりします。中には、夕食サービスもあるようなところもあります。

公的な施設は秋に募集終了している可能性もありますが、まずはどのような支援があるのか情報を集めましょう。これらは会社勤めを続けても、起業・独立したとしても「育児チーム」は必要です。

働き方の選択肢を整理し、検討してみましょう

次に、この転機において働き方の選択肢を書き出してみましょう。トラ子さんの場合は、

  1. 通常勤務を継続
  2. 時短勤務
  3. 一部時短勤務を交渉する

の3パターンでしょうか。

今までのトラ子さんは、時短制度などを使わずとも何とかやってこられたとのこと。きっと、仕事の仕方や時間のやりくりなどとても努力をされてきたことと思います。その体験から、通常勤務を継続するのに必要な前提条件をピックアップしてみましょう。

たとえば、

A:親子ともに元気
B:19時までの子どもの居場所がある(学習支援・夕食可)
C:それが小学校4年生まで利用可

といった感じです。

ABC全ての条件が整えばこのままフルタイム勤務で継続可能、管理職を目指すことも可能になります。→1.通常勤務を継続

ABCすべての前提条件を満たすのが難しい場合は、時短勤務を週5日使うor時短勤務を使いながら家族のサポートのある日に残業など、会社の制度を全面的に使うことを検討する必要があります。→2.時短勤務

ACは整ったが、Bが週3日のみの利用など、一部の条件が整った場合、時短勤務を週2日使うor週1日時短勤務と家族のサポートで乗り切るなど、どのような支援をどの程度利用するのかを組み合わせて、会社の制度を必要最小限使うことを検討する必要があります。→3.一部時短勤務を交渉する

時短勤務が一律ではなく、分割して利用できる環境だといいのですが、そうでない場合は一度上司に「週1日の時短勤務で仕事と育児の両立が可能である旨」を相談してみましょう。

マイナス面ばかりに捕らわれず、この転機をプラスに

時短勤務を利用するデメリットもありますが、“時間の制約があって働く”ことの課題をどう乗り越えてきたかは、面接の場で大きなアピールになると思います。どの選択をしても、その選択から得られる経験はトラ子さんのキャリアの糧にしていけるはずです。

もちろん通常勤務を継続するなら、管理職を目指すことができ、給与アップも期待できます。管理職としての経験もその先のキャリアへつながるメリットもあります。

小学校入学前の「手をかける」育児の時期に、時短勤務なしで乗り越えてきたトラ子さんなら、きっとセルフマネジメントをしっかりとして成果をあげられるのではないでしょうか。

不安や迷いも多いと思いますが、転機をプラスと捉え、子どものこと、そしてご自身のキャリアのことを長い目で考えてみてくださいね。

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