/ 2017.06.20

子育てで難しいことの一つが、褒め方と叱り方。以前から「つい叱りすぎて自己嫌悪…」というのはママの悩みの代表格でしたが、最近では「褒め方、叱り方が分からない」という声も聞かれるようになりました。

そこで興味が湧くのは、“保育のプロ”である、園の先生たちのテクニック。長年、保育現場に携わる若盛清美先生に、ママにもおすすめの叱り方を教えてもらいました。

お話を聞いたのは

若盛清美さん

埼玉県で初となる認定こども園「こどものもり」副園長。園長である夫とともに40年以上にわたって保育に携わる。「すくすく子育て」(NHK Eテレ)にも出演。

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先生は否定的な言葉をできるだけ使わない

ママやパパの中には、「きつく叱れば悪いことをしなくなる」と考えている人もいますが、これは間違い。子どもがおびえて悪い行動を控えるようになったとしても、自分で善悪を判断する力は伸びないのです。

日々、子どもたちへの言葉掛けを訓練している保育園の先生たちは、極力、否定的な言葉を使いません。「廊下は走っちゃダメ!」ではなく、小さな子には「ゆっくり歩こうね」と言います。3歳前後からは「廊下はゆっくり歩くといいね。どうしてだと思う?」と聞いてみます。するとしばらく考えて、「お友達とぶつかっちゃうから」などの答えが。こうして自分で理解できれば、廊下を走ることは減っていくのです。

園の先生の叱り方ポイント3か条

1.「人としてやってはいけないこと」だけに絞る

いつもささいなことで叱っていると、本当に大事な場面で叱っても身に染み込まなくなってしまいます。叱る場面は、人に危害を加えたり、物を粗末に扱って壊したときなど、まずは人としてやってはいけないことだけに絞って。

ルールやマナーを守れなかったり、わがままを言ったからといって、叱る必要はありません。「どうするべきか」をまだ理解できていないだけなので、子どもの理解力に合わせて根気強く教えましょう。

2.ダメな理由と気持ちを伝える

叱るときは「ダメな理由」も冷静に教えてください。例えば、子どもがレストランで騒ぐときに「静かにしなさい!」と怒鳴っては、悪いお手本になってしまいます。「ここはみんなが楽しくごはんを食べるところだよ。大きな声を出すとみんなに迷惑だから、小さな声でお話ししようね」などと、穏やかに説明しましょう。

「うるさいとママは悲しくなるよ」など、ママの気持ちも伝えると「ダメなことなんだ」と理解しやすくなります。

3.真剣な雰囲気でコンパクトに

叱るときは、毅然とした態度、真剣な表情で子どもに向き合って。子どもは言われている言葉の意味が理解できなくても、ママの雰囲気から「ダメなことだったんだ」と感じ取ります。また、子どもの集中力は長続きしないので、くどくど叱るのは逆効果。コンパクトにまとめるのも大事なコツです。

4歳前後からは最後に「じゃあ、次はどうする?」と聞いてみて。今後の行動を子ども自身に考えさせることも大切です。

褒めるも叱るもやる気を大切に

子どもの成長を支えるのは「やる気」です。だから、褒めるときは「やる気を高めるように」、叱るときは「やる気の芽を摘まないように」と意識します。大人だって褒められたらうれしくて一層やる気が出るし、叱られたらしょんぼりしてやる気をなくしますよね。子どもなら、なおさらです。

否定をせず上手にやる気を引き出すのがプロの叱り方。ママも今日からまねをしてみましょう!

※この記事は、2017年1月発行の「あんふぁんぷらす 2月号」に掲載した記事を再編集したものです