保育園が決まったら、次はいよいよ慣らし保育。育休を終え仕事復帰する自分の事より、子どもが園に慣れるかの方が気がかりなママも多いのでは。そもそも慣らし保育はなぜ必要なのか、どんなスケジュールで進めるのか、保育士の菊地奈津美さんに聞きました。

お話を聞いたのは

菊地奈津美さん

公立・認証保育園での勤務を経て、現在は認可外保育施設こどもの王国を開園し園長を務めている。仕事外では保育ドリプラを創設し、子どもの育ちの大切さを社会に広く発信している。 > こどもの王国保育園

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慣らし保育ってなぜ必要?期間の目安は?

保育園という場所や、お友だちがいっぱいいるといった新しい環境に、無理なく少しずつ慣れてもらうために、「慣らし保育」という期間を設けます。

期間は園にもよりますが、当園の目安は1週間。ただし、子どもの様子(特に0~2歳児)によっては、「もう少し延長しませんか?」とママに相談する場合もあります。

というのも、保育園で起こる事故はお昼寝中、しかも預け始めに多いと言われているからです。子どもが抱え込む心理的なストレスを軽減するためにも、慣らし保育はとても大切。この期間を大人が丁寧に対応すれば、子どもはスムーズに新しい環境を受け入れてくれるはずです。

慣らし保育に関する質問や相談は入園前の面談で

当園では、入園前に保育士と保護者で面談をします。子どもの好きなおもちゃ、食事の進み具合、寝るときの癖などを聞いて、受け入れの準備をするためです。慣らし保育の日程や進め方なども、このタイミングで話し合います。

慣らし保育のスタート時期は、ママが仕事復帰する前が理想。例えば、4月入園予定なら仕事の復帰を4月の半ばにするなど、余裕を持って預けてほしいところです。慣らし保育中に、子どもが体調不良で休むこともありますからね。

別の保育園から転園してきた子どもに関しては、ママがすでに復職しているというパターンがほとんど。そういう場合は、仕事を早めに切り上げてもらうなどして、対応してもらっています。

ママの仕事の都合で、「慣らし保育に対応できない」という場合もあるでしょう。0~2歳児に関しては「せめて1日、2日だけでも!」「呼び出したらすぐに駆け付けてくれるなら」など、保育園から折衷案を切り出されるかもしれません。

親子にとって、よりよい方法を探り出してくれるので、検討してみてくださいね。

慣らし保育の初日~5日目までのスケジュール例

何日目 保育時間 する事
初日・2日目 9:00~11:00 給食なし
午前日中ちょっと遊んで帰る
3日目 9:00~11:30 給食あり
給食を食べて帰る
4・5日目 9:00~16:00 給食あり
給食・お昼寝・おやつあり

当園では、このようなスケジュールで慣らし保育を進めますが、子どもによって対応はまちまちです。例えば、2日間ずっと泣きっぱなしだったら、「もう少しこの時間帯を続けてみましょうか。」と相談することもあります。

給食をまったく食べない場合。過去にも、ひじき1本しか食べてくれない3歳児がいましたが、無理やり食べさせたりはしません。

対策としては、

  1. ママに時間的余裕があるなら、子どもと一緒に給食を食べてもらう
  2. 1が無理な場合は、子どもが食べたいと思うように働きかけつつ待つ。もし、おやつに興味を示したら、おやつをちょっと多めに渡すなど、臨機応変に対応します

離乳食を食べさせる場合、給食の時間にママに来てもらって「うち子、このくらいの量ならぺろりと食べます。」「もっと柔らかくした方がよく食べると思う。」などと、具体的な話を聞かせてもらうこともあります。

慣らし保育中のトラブル、こんなときどうする?

保育園に慣れるかどうかとても不安…。

慣らし保育がはじまる前に、園庭を解放しているところなら、利用してみましょう。保育園にもよりますが、保育園へ連れて行って、園庭でちょっと遊ばせてみるという手もあります。そうするだけで、スムーズになじめることもありますよ。

慣らし保育の初日、親は子をどう送り出せばいい?

子どもを預けたらパッと帰る。不安はたくさんあると思いますが、ママの不安は子どもに移ってしまいます。ママの姿が見えなくなれば、気持ちを切り替えられる子どももいるので、「大丈夫だよ。お迎えに行くからね~。」などと声をかけたら、保育士を信頼してパッと帰りましょう。

お迎えのときは、「会いたかったよ~。」とやさしくハグしてあげてくださいね。

保育士に話しかけたいけれど、いつも忙しそうなのでためらってしまう。

保育士もママとお話をしたいと思っています。ただ、お迎えの時間はとても慌ただしくなるのも事実。時間に余裕があるなら、お迎えのピークの時間よりも、ちょっと早くお迎えに行ってみては。ママも保育園に慣れますし、保育士とやりとりする時間も増えるはず。

できる限り保育士とコミュニケーションをとる事で信頼関係が築け、ママも安心して任せられるようになると思いますよ。

朝「保育園に行きたくない。」と泣き出したら、どんな言葉をかけるべき?

子どもの気持ちに寄り添いつつ、前向きな言葉を。ついつい、「泣かないで。」「早く早く!」「もう出発の時間だよ。」と言ってしまいがちですが、まずは「いやだよね~。」「泣いちゃうよね。」と子どもの気持ちに共感してあげて。

それから「保育園へ行ったらお友だちと遊べるよ~!」と楽しいこと、前向きな言葉をかけたり、「ママ、早くお迎えに行くから大丈夫だよ。」と安心できるような言葉をかけたりしてあげてください。

慣らし保育中、先生はずっと泣いている子どもと、どう向き合っているの?

ママからの情報をもとに、子どもの気持ちが切り替わるように努めます。泣くこと=悪いことではないので、「泣いてもいいんだよ。」と子どもの気持ちに寄り添いつつも、あの手この手を使って、子どもの気持ちが切り替わるような工夫をします。外へ連れ出したり、おもちゃを見せたり、抱っこしたり。

「こっちに来ないでー!」という雰囲気で部屋の隅にいる子どもも、お友だちが遊ぶ様子をチラ見しているんですよね。そんなときは、おもちゃを近くに置くなどして、そっと見守るようにしています。

手を尽くしても、1日中泣いている子どももいます。しかし、少しずつ慣れていくもの。焦らず、保育者と十分話し合いながら、無理なく進めていきましょう。

逆に、園ではほとんど泣かない子もいます。そんな場合も、保育士と十分に話し合って、無理なく進めていきましょう。保育士と楽しそうに話しているママの姿を見て、安心する子どももいます。

保育園から帰宅すると私にべったり。忙しい時間帯だけに、私もなかなかかまってあげられません。

短くても子どもとスキンシップを。5分、10分でもいいんです。忙しくても家事はちょっと後回しにして、子どもとのスキンシップを心がけてみてください。ママとちゃんと向き合える時間があれば、子どもの気持ちもだんだん安定してくるはず。夜泣きなども、次第に治まってくるでしょう。

お気に入りのタオルを持っていると落ち着くのですが、保育園に持ち込んでも大丈夫?

当園では、子どもが安心するならOKとしています。中には、クッションを持って来る子もいるんですよ。ただ、失くしたり、汚したりもするので、「おうちの物は持ってこない」としている保育園もあるようです。「どうしても」という場合は、個別に相談してみるといいでしょう。

集団生活なので病気が心配。慣らし保育が始まる前から、心がけたい体調管理は?

生活リズムを整えておきましょう。保育園に通うときと同じ時間に起きたり、お昼寝したり。入園前から、そういうリズムで過ごしておくといいかもしれません。

それでも、入園1年目は病気にかかって、ダウンする回数が多いと感じるでしょう。そうなった場合の対策も、復職する前から考えておきたいところですね。

一緒に入園した子はすぐに馴染んだのに、うちの子はまったく慣れない、慣らし保育が進まない…。

時間がかかっても、やがてすっと遊ぶようになります。去年、1歳児の担任をしていました。11人中5人が新入園児で、ママと別れた後、すぐに泣きやんで遊び始める子、ずっとワンワン泣いている子、涙ぐんでたたずむ子、子どもによっても全然違います。

大人だって、人見知りの人もいれば、そうでない人もいますよね。それと同じです。少しずつ、だんだん慣れていきますよ。

0歳児で完全母乳。粉ミルクを飲ませていないため、哺乳瓶に慣れていません。

当園では、卒乳しておらず授乳中のママについては冷凍母乳を預かっていますが、哺乳瓶で飲むことにも慣れてもらうようにお伝えしています。冷凍母乳を預かってくれるか、粉ミルクのみの対応か、保育園によっても違います。

「哺乳瓶になかなか慣れてくれない。」と焦るママは多いと思いますが、繰り返し根気よく、無理のないように慣らしていきましょう。慣らし保育をスムーズに進めるには、準備に時間をかけることも大切です。

これから慣らし保育に取り組むママへ

「子どもを預ける事に罪悪感を覚える」「子どもがかわいそう」と迷いを抱えるママもいるかもしれません。ママが不安だと、子どもも不安になるものです。不安に思うことがあったらなるべく早く解決し、子ども預ける心構えと体制を整えておきましょう。

例えば、入園前の面談は保育士へ質問する絶好のチャンス。あらかじめ聞きたいことをメモして臨むといいかもしれません。そこで聞き漏らしたことは、電話で確認してもいいんですよ。慣らし保育中に芽生えた不安は、お迎えのとき、保育士に相談するといいでしょう。

大切なことは慣らし保育を終えるまでに、自分の中にある不安な気持ちをしっかり埋めておくこと。そのためには、保育士とのコミュニケーションが不可欠です。この時間を少しでも作れるように、心がけてみてください。

保育士も、新しいママたちとは積極的に交流しようと思っています。ママから話しかけてもらったら、小さなことでも快く応えてくれるはずです。

/ 2018.03.19

この記事を書いたライター

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石橋紀さん

ライター。エディター。新聞社勤務を経てフリーランスに。住まい、食、健康、エンターテインメントなど幅広い分野の記事を手がける1男1女の母。

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