/ 2018.04.06

子どもが発熱やインフルエンザでダウン。ずっとそばで看病したいけれど、どうしても仕事を休めないときだって…。そんなときに頼りになるのが「病児保育」。ドラマ「37.5度の涙」でも話題になったその保育内容や口コミについて紹介します。

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「病児保育」とは?

保育園に無事入園したものの、病気で休むことか多く「思っていたよりも通えなかった」というママも多いかもしれません。子どもの体温が37.5度を超えると、集団感染予防のため、保育園で預かってもらえなくなります。職場に“呼び出し”の電話がかかれば、すぐお迎えに出向かなければなりません。

「病児保育」とは、病気になった子どもを保護者の依頼を受けて、一時的に預かるサービスのこと。一方「病後児保育」は回復期の子どもを対象としていて、ともに施設型と自宅訪問型があります。ただし、自治体や施設によって、定義に違いがあるようです。

自治体や各施設によって利用方法が異なる「施設型」

施設型も自宅訪問型とも共通していえるのは、あらかじめ事前登録が必要だということ。「施設型」は病院や保育園に併設している場合がほとんどで、たいてい自治体と一緒に運営しています。

対象年齢(何歳)、休業日、利用時間、利用料金、申請方法などは、自治体や各施設によってもさまざまです。気がかりなのは、どの施設も受け入れられる子どもの人数が少ないという点。いざというとき、「満員で利用できなかった」というケースも少なくありません。

東京、大阪、横浜、名古屋の一例を表で比べたものが以下です。いずれも事前登録が必要です(名古屋市の場合は緊急時は当日でも可)。最新の情報は、各自治体のWebサイトや窓口で確認を。

自治体名 対象年齢(※1) 保育時間 料金(日額)
東京都
品川区
生後6カ月~就学前まで(保育園児・幼稚園児) 月~金曜
8:30~18:00(※2)
2000円
大阪府
大阪市
小学校に就学するまで(※3) 施設ごとに異なる 2500円(※4)
神奈川県
横浜市
生後6カ月~小学6年生まで 月~金曜
8:30~18:00(※2)
2000円(※5)
愛知県
名古屋市
生後6カ月~小学6年生まで 月~土曜
8:00~18:00(※2)
市民税額や利用時間により異なる

※1:横浜市以外はその自治体に在住している事が利用の条件
※2:祝日、年末年始はのぞく。横浜市の場合は左記に加え臨時休診日ものぞく。名古屋市の場合は施設により異なる
※3:一部、小学6年生まで受け入れる施設あり
※4:2500円は所得税課税世帯の場合(ひとり親世帯の場合は基本1200円)。生活保護・市民税非課税世帯は無料
※5:横浜市在住の生活保護世帯および市民税非課税世帯は全額免除

自宅訪問型病児保育「フローレンス」の場合

一方で、自宅訪問型病児保育の先駆け的存在である「フローレンス」は、「当日朝8時までにいただいた依頼に100%派遣をお約束」を打ち出しています。

どんなスタッフがどのような保育をしてくれるのか、安全安心の取り組みはどうしているのか、使い方や気になる料金などについて、病児保育事業部の小川千尋さんにお話しを聞きました。

お話を聞いたのは

小川千尋さん

自宅訪問型「病児保育」で定評のある認定NPO法人フローレンス 病児保育事業部で利用会員向け業務を担当。

当日8:00までの依頼には100%対応

フローレンスが病児保育をはじめたきっかけは「子どもの病気による休み」を理由に、退職を迫られたというある母親の声。「今、困っている親御さんをすぐに助けたい。そのためにはどうすればいいだろう。」そんな思いから、自宅訪問型の病児保育を開始しました。

子どもって、いつ体調を崩すか分かりませんよね。そんなママたちの突然の「困った!」に応えるために、当日の朝8:00までの依頼には、保育スタッフの派遣を100%保証しています。8:00以降の依頼でも、お伺いできるスタッフがいれば受け付けます。

インフルエンザなどの感染症でも預けられる!

施設型ですと「この感染症はダメ」といった制限があるのですが、フローレンスははしか以外の病気すべてに対応します。もちろん、インフルエンザや水ぼうそうといった感染症でも大丈夫。自宅訪問型ならではのメリットです。

「昨日の夜、熱が出ちゃって」という場合もあれば、「元気だけど、もうちょっと様子を見たいので」といった依頼もあり、利用の仕方はさまざまです。

特に、今年の冬は「インフルエンザで5日間登園できない」といったお子さんの対応にも追われました。依頼の1/2弱が子どものインフルエンザという日もありました。

何歳から、何時まで預けられる?そして料金は…

生後6カ月~小学6年生までの集団保育(保育園・幼稚園)、または小学校に通っている子どもが対象です。

利用時間は月~金曜の8:00~18:30まで。土・日曜、祝日はお休みです。早朝保育(7:30から)と夜間保育(最大20:00まで)もありますが、どちらともあらかじめ、オプション登録しておく必要があります。

フローレンスと利用会員の皆さんは「サービスの提供者 対 お客様」という関係ではなく、「子育てと仕事の両立が当たり前の社会」というビジョンを一緒に実現していくための「クルー」だと考えています。

会員さん同士が支え合う共済型で、利用しないときでも、月会費を支払うというスタイルなんです。月会費は、保育スタッフの雇用維持などにもあてられています。

金額は入会金が3万円(税別)で、月会費が5100円~2万5300円(税別)。お子さんの年齢と利用回数によって変わります。月1回目の利用は無料(上限9時間)、月2回目からは1時間2000円(税別)。利用するには事前登録が必要で、現在6500人ほどの会員さんがいます。

保育スタッフは日々研修に励む病児保育のプロ

フローレンスの保育スタッフは、保育の実務経験が1年以上、もしくは子育て経験が7年以上の人たちで構成され、子育て経験も立派な資格と考えています。

フローレンスがスタッフを直接雇用し、しっかり研修を受けてから現場に臨みます。そこが、一般的なベビーシッターと少し違う所かもしれません。研修では、「病児保育」「子どもの保育とはどういうことか」「家庭の中にはどんな危険が潜んでいるか」などを学びます。

また、保育士資格がなく子育て経験だけのスタッフには、他人のお子さんを仕事としてお預かりする視点を身につけるため、フローレンスが運営している保育園で、2週間~1カ月の研修を受けてもらっています。

その後、1~2週間の現場研修。フローレンスとして「大丈夫」というお墨付きが出れば、独り立ちという流れです。

独り立ちした後も、日々精進!保育の依頼がない日は、待機しているだけではありません。週に3回開催される定例研修会に参加して、ブラッシュアップに励んでもらっています。

子どもを病院へ連れて行くサービスも!

利用時には事前受診をお願いしていますが、「仕事などの都合で、夜または朝の急な発熱に対応する時間がない」ことだってありますよね。そんなときは、保育スタッフがママの代わりに、かかりつけ医に連れて行きます。

ご自宅で1対1の保育ですが、常にサポートセンターがバックアップ。サポートセンターには、保育スタッフをサポートするスタッフや看護師が数人常駐しています。

お子さんの症状変化があっても、本部で待機しているサポートセンターと一緒に対応できるので、保育スタッフはいつでも自信を持って対応できるというわけです。

「ずっと抱っこしてないと泣いてしまう」「かかりつけ医に連れて行くにも、大きなお子さんでぐったりしているから大変」など、現場でスタッフ1人では対応しきれない場合もあります。そのようなときは利用会員宅を巡回しているフリーの保育スタッフが、すぐに駆けつけて手助けすることになっています。

自宅での子どもの様子を、メールで確認できる

利用者さんには14:00頃を目安に、「子どもの様子」「検温の結果」「食事の量」といった内容の経過報告を、メールでお知らせしています。

お子さんの状況をおおまかに把握できるので、「熱が上がっているから明日もお願いしよう」「今日中に仕事を調整しなくちゃ」など、次の日以降の準備に役立ててもらえれば…と思っています。

「かわいそう」「後ろめたい」と、一人で抱え込まないで

子どもが元気なときは保育園に預けますよね。病気のときは、病児保育のプロに預けていいんです。後ろめたいことなんて、何ひとつありません。子どもが病気になるのは当たり前のこと。フローレンスのビジョンにある「みんなで子どもたちを抱きしめる」そんな社会を目指しています。

子どもが病気のとき、「こういう選択肢もある!」「困ったときに頼れるパートナーがいる!」ということを覚えておいてくださいね。実際に利用した人たちの口コミを紹介します。

私がおすすめする活用法は、子どもが病気になったらまず1日目はフローレンスに依頼する。その間に、2日目以降の仕事の段取りを考える。調整して夫婦どちらかが休むのか、それとも2日目もフローレンスに依頼するのか。そう決めたことで、家庭内が緊迫した空気になることがなくなりました。(7歳の女の子、3歳の男の子のママ)

フローレンスを実際に利用してみて驚いたのは、保育スタッフさんによる保育の質の高さ。娘もじっくり遊んでもらい大満足のようでした。「病気時のつなぎ」ではなく「プロによるスペシャルサービス」。今日は仕事で休めない、という本当に困ったときに頼れる心強い存在です。(3歳女の子のママ)

自宅で見てもらえるという安心感は、何にも代えがたいです。最初は、知らないおばさんで大丈夫だろうかと心配でしたが、今では預けておいて大丈夫という安心感がすごくあります。午後になると見ることができる途中報告のコメントや、帰ってきたときのレポートの細かさに、スタッフの優しさや人柄を感じます。(2歳女の子のママ)

イベントの司会や運営を行う仕事をしています。自ら現場に出向かなくてはいけない場面が多く、ときには地方に1週間滞在することも。そんな私に、信頼する知人はフローレンスを勧めてくれました。娘が1歳半になってからは、体が丈夫になったのか病気をすることも減ったので、今はお守りとして卒業生プランに入っています。(4歳女の子のママ)

出典:「フローレンスの病児保育」サービスサイト

この記事を書いたライター

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石橋紀さん

ライター。エディター。新聞社勤務を経てフリーランスに。住まい、食、健康、エンターテインメントなど幅広い分野の記事を手がける1男1女の母。

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