癇(かん)が強めの2歳差姉妹をほぼワンオペで育てていた頃、わらにもすがる思いでたくさん本を読みました。そんな中で肩の力がすっと抜けて、よっしゃと腹をくくることができた1冊を紹介します。みなさんは母親に一番必要なものって何だと思いますか?

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癇(かん)の強い子どもに悩んだときに出会った1冊

突然ですが、うちの長女は割と癇が強いです。今(4歳)でこそマシになりましたが、3歳くらいまでは店でひっくり返り、服が濡れたと言っては泣きわめき、うまく絵が描けないと飛んで怒り。

2歳でイヤイヤ期を迎えてからは、ブレイクダンスの技のように背中で地面を転がりまくる娘を見ない日はない、という毎日でした。当然悩み、いろいろな本を読んだり、「自分の育児が間違っていたのか」と考えたり。誰に似たのだと無意味な犯人捜しをしたこともありました。

そんなときに出会ったのがこちらの1冊です。

「お悩み上手」?褒められてる?いや、残念ながら違います(笑)。痛快かつ、目からうろこの金言満載の本の中身を少しだけ紹介。

大人の条件って?

筆者の三石由起子さんは作家・翻訳家・ラジオで活躍する辛口人生相談家。元河合塾講師で、幼児教育から生涯教育に携わる人です。テレビ番組「ナイナイアンサー」で芸能人のお悩みに答える姿を見たことがある、という人もいるかもしれません。

そのためか、本書は教育や子育てにおいて大切なことを語りながら、とにかく痛快です。三石さんはラジオの人生相談を通して、

「悩むこと」が「真面目に生きること」だと思い込んでいる人々の多さに驚いた

のだそうです。そして、

他人が見て、楽し「そう」でなければ大人ではないと、私は思っている。

とも。正直難しいですよね…。かなりの修業が必要です(笑)。

それでも、三石さんは、子どもの教育における起爆剤は「楽しそうな大人」であり、大人は先に生きている者の義務として、年下の人間の前では楽しそうにしていなければならない。大人は「いいもの」に違いないと思わせておかなければならない、と断言します。

子どもにとっての「大人」は、すなわち「未来」そのものであるからだ。

自分の子ども時代を思い出しながら

ガツンと頭を殴られたような気がした私は、夢中で読み進めました。自分の子ども時代のことを思い出しながら。確かに子ども時代、一番辛かったのは、自分の母親が辛そうにしている姿だったかもしれない。一番見たかったのは、楽しそうな母親の姿だったかもしれない、そう思いながら。

大人が子どもや若者に対してできる唯一のことは、「辛さ」や「悲しみ」を楽しむ能力をつけてやることであり、「辛さ」が「辛さ」だけでは構成されていないこと、「悲しみ」は、見方によっては「楽しみ」にもなり得ることを教えることである。

辛さから辛さ以外のものを、悲しみを楽しみに転換するのに必要なのは、「柔らかい頭」。「柔らかい頭」は「優しい心」を作り、そしてそれは「生きる力」に繋がる。

あれをしてはいけない、これをしなくてはいけない、こんなことをするのはおかしい。いつのまにか固定観念でカッチカチだった頭が、少しずつ解きほぐされていくような感覚を覚えました。

ヘラヘラ笑って力を抜いて

私がこの本で一番好きな言葉は、

母親はヘラヘラしているのが一番

という言葉です。なんだ、それだけでよかったのか!試しにヘラヘラしてみました。汚れた部屋も密室育児も泣きわめく子どもも溜まった家事も、何も変わらないけれど、少しだけ深く息ができた気がしました。

「母親はヘラヘラしているのが一番」。今でも余裕がなくなったり、育児に自信をなくしたりしたら(そんなものは基本ありませんが)そのページだけでも読み返すようにしています。あと、こんな言葉にも勇気づけられました。

「人と同じことができない」と、教師はしばしば口にするものだ。だが、それは「人と違ったことができる」ということでもある。

うちの娘は超高速で背中を軸に地球を転がることができるし、服を着たくないと言ってオムツのまま帰ろうとすることもできるし、ひざの痛みを臆することなく膝立ちで飛び上がって、自分の悲しみをぶつけることができる。

うむ、素晴らしいな。今、思い出して書いていても若干苦しいですけど(笑)、無理矢理にでも思ってみる。そうすると、何だか違う視点を手に入れたようで、ふっと楽になる瞬間がありました。

みんなに良い子だと言われる子は、本当にたまにしか存在しないのである。それが自分の子であるはずはないではないか。

思わず笑ってしまった一節。こうも言えるかもしれません。「みんなに良い母だと言われる母は、本当にたまにしか存在しないのである。それが自分であるはずはないではないか」。良い母になんて到底なれそうにないから、私は今日もヘラヘラしています。

この記事を書いたライター

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あら井さん

2歳差姉妹を命からがら育てています。逃避手段は読書とジャニーズ。今春から京都に引っ越すので、京都子連れ情報も発信したいと思っています。

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