「うちの子にどんな絵本を読んであげようかな」と考える優しいママたちへ。たまには“自分のための絵本”を選んでみませんか?

教えてくれたのは

東條知美さん

絵本コーディネーター・学校司書・ライター・イベンター・〈絵本の百年と未来研究会〉主宰。活動のモットーは「子どもに絵本を。大人にこそ絵本を。」-Blog「僕らの絵本

あおのじかん

イザベル・シムレール 文・絵 石津ちひろ 訳(岩波書店、2016年)
★表紙をクリックして中面のぞき見!

表紙には、蒼い空を背に凛と佇むスミレサギ。日暮れから本格的な夜がおとずれるまでの束の間の時間。少しずつグラデーションのように変化する空、美しい生きものの姿を描いた静謐感あふれる作品です。心の片隅にあなただけの“青”を。

わにくん

ペーター・ニクル 作 ビネッテ・シュレーダー 絵 矢川澄子 訳
(偕成社、1980年)

ナイルの川岸から花の都パリへ旅に出たわにくん。噂に聞いた「わにの店」とは?泣きながら人を呑みこむわにくんの心境や、いかに!?… 傍らに置いていつまでも眺めていたい”大人のための美しい絵本”。

ジス・イズ・ヴェニス復刻版

ミロスラフ・サセック 著 松浦弥太郎 翻訳(スペースシャワー・ネットワーク、2015年)
★表紙をクリックして中面のぞき見!

憧れの水の都ヴェネチア。しかし子育て中は、海外旅行だなんてそうそう叶いませんよね。運河を渡るゴンドラ、「ためいき橋」、サンマルコ広場、ゴシック様式のドゥカーレ宮殿… せめて絵本の中だけでも、旅を満喫してみませんか。

銀河鉄道の夜

宮沢賢治 作 清川あさみ 絵
(リトルモア、2009年)
★表紙をクリックして中面のぞき見!

「ちゃんと読んだことがない」という人が実は多い「銀河鉄道の夜」。文章が長めですが、この機会にぜひどうぞ。光るビーズやクリスタルで織りなされる壮大な銀河、宇宙… 目の眩むような幻想世界へと誘われます。賢治の死生観にふれる一冊。

金曜日の砂糖ちゃん

酒井駒子 作・絵(偕成社、2003年)

私たちの中には(お母さんになっても)、少女特有の“危うさ”や“甘やかさ”が、まだどこか奥の方に、ちょこんと潜んでいるような気がすることがあります。金曜日の砂糖ちゃんは、ちょっぴり不安で寂しい「わたしの中の少女」に出会える作品です。

イマジネーションを刺激する美しい絵本は、ちょっぴり疲れた心に、じわじわと染みわたるビタミン。扉を開けばそこは、自分だけの静謐な場所。お部屋の片隅に飾ってみてもおしゃれな雰囲気に一役買うので、贈り物にも喜ばれますよ。