2017.06.19 / 2017.09.25
子育てに自信のあるママなんて、どこにもいない!家庭教師・塾講師、東大生・早大生を育てた母であり、子育てセミナーを主催する楠本佳子さんに教わる連載コラム「能力をのばす子育て」。5回目は「子どもの集中力の養い方」について。
集中力が大事なわけ
集中力は「集中力を付けなさい!」といっても、つくわけではありません。でも勉強するにしてもスポーツをするにしても習い事をするにしても、集中力がないと向上することはなく何も身に付きません。
さらに加えて言うと、人は何かを集中しているときに幸せを感じます。時間を忘れて何かに没頭するというのは非常に満足感を覚えます。大人でも集中力散漫では何も能率よくできません。そして時間が経つのも緩慢に感じ、充実感もありません。
娘の集中力を親が潰してしまう
自分の子どもの集中力に関して、私は大失敗しています。上の娘がせっかく集中しているのに、知らずにそれを途切れさせることばかりしていたのです。
ある日、娘が1人でおままごとをして遊んでいました。夢中で楽しそうに遊んでいる姿を見て、家事を終わらせた私は「ママも入れて」と声をかけたのです。すると「いいよ」と返事をして一緒に遊び始めたのですが、今さっきのように夢中になって遊びません。なんとなく注意力散漫な感じなのです。
なぜだろうと不思議に思っていたのですが、わからないまま過ごしていました。そして、その後にこんな話を聞きました。
イタズラしているとき、夢中で遊んでいるとき、子どもは大変な集中力で頭を働かせています。それを絶対邪魔してはいけません。
そのいたずらや遊びで養われる集中力は、数十万する英才教育よりも価値のあるものです。そして、その集中力は3歳までに身につきます。
そのとき、すでに娘は3歳過ぎており息子は0歳。その話を聞いて以来、息子は身の危険があるもの、他人に迷惑をかけること以外なら、どんなイタズラも見守っていました。それが物が壊れて買い換えなくてはいけなくなったとしても、数十万円の英才教育と思えばいいのです。
その後娘の集中力はどうなったか
娘は3歳過ぎて、そんなに集中する姿も見なくなってしまいました。他の子と比べて格段に集中力が欠けるわけでありませんでしたが、気をつけて育てた息子と比べるとかなり違いました。申し訳ないことをしたなと思いながらも、なすすべもなくそのまま月日は流れていき、高校生になったときです。
すばらしい先生との出会いがあったようです。ある先生のおかげで世界史が大好きになったのです。それまで世界史など全く興味もなく、ほとんど無知と言ってもいいほどだったのです。先生との出会いから、毎日2時間も3時間もかけて世界史のノート作りを始めたのです。
ある期間、毎日2~3時間集中してノートを作成した結果、世界史の成績は今まで見たことのないような点数を出してきました。それとともにすべての教科も上がっていったのです。
3歳までと言われて、私はなんてことをしてしまったのかとショックを受けていましたが、何歳からでも集中力はつきます。でも、3歳までに身についている方が子どもにとっても楽です。
集中力を養うには
イタズラをしたり、夢中になって遊んでいる姿を見たら、注意したり、声をかけないで、頭を使っているのだと思って見守ってください。ここで声をかけると集中力がない子どもになってしまいます。
たたし、ゲームやテレビのように人が作ったものを受身にやっていくものではなく、自分が考えること創造していくことをさせてください。イタズラくらい創造力を掻き立てるものはないのかもしれません。
この話をあるお母さんにすると、「早速、子どもがドキンちゃんのぬいぐるみに絆創膏を一箱使ってはりまくっていました。前なら注意したけど、そのままにしてみました。」となんだかうれしそうに報告してくれました。
子どもはそのとき何を思っていたのでしょう。お医者さんになったつもりかな?そんなことを考えてみるのも楽しいですよ。
好きこそもののはじめなれ
好きこそ集中力のはじめなれ
教えてくれたのは
- 楠本佳子さん
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「こどもみらい塾(岡山)」塾長。自身の子育てや教育経験を活かし、ママを対象としたセミナーや個別相談も行っている。著作に「12歳までに勉強ぐせをつけるお母さんの習慣」