お気に入りのカレンダー見つけましたか?

2019年がスタートして早1カ月たちましたが、みなさんはどんなカレンダーを買われましたか?

私はもともと、自分でカレンダーを買う習慣がありませんでした。というより、あえて買わなかったというほうが正しいかもしれません。

その理由は、タダでもらえるカレンダーで十分間に合っていたから。それに、わざわざ買いたい!と思えるほど気に入るものに出会えなかったからでもあります。

もともと「本当に気に入ったものにしかお金を出したくない主義」だし、カレンダーは正直そこまでこだわらなくてもいいか…と思っていました。そもそも1年間365日見ていても飽きないほどのお気に入りなんて探すほうが難しいですよね。

そんな私が数年前に出会って「これだ!」とひとめぼれしたカレンダーを紹介したいと思います。それは「ゆいガイア」のカレンダー。

独特の肌触りがあるネパールの手すき紙におしゃれで温かみのあるイラストが描かれています。そしてこのカレンダー、かわいいだけでなく国際協力にも繋がるんです。

カラフルなのにホッとする絵…描いているのはネパールに恋した日本人

「ゆいガイア」のカレンダーは種類が豊富で、見ているだけでもワクワクします。

そしてネパール手すき紙のこの質感!和紙と似ているけれど少しゴワッとしていて独特の香りもあります。描かれている絵はどれも洗練されているのに、どこか懐かしく心がほっとするのはこの紙のおかげかもしれません。

私が今年チョイスしたのは「花と野草」、そして「マイ・スタイル」。細長いカレンダーは、ちょっとした隙間にも飾れて一気に部屋が明るくなるのでお気に入りです。

どのページもかわいいので、ついペラペラ何度もめくってしまいます。このすてきな絵を描いているのは、1998年にオリジナルデザインカレンダーの輸入販売事業を自ら立ち上げた井林昌子さん。そう、このカレンダー、実は20年もの歴史があるんです!

井林さんが原画を描き、それをもとにネパールのメーカーが生産しています。井林さんはもともと横浜の輸入貿易会社に勤め、オリジナル民芸雑貨の企画デザインの仕事をしていましたが、その時に初めてネパールの手すき紙と出会ったそうです。

ネパールの手すき産業は昔から続いてきた伝統文化で、山間部の住民にとっては大切な現金収入のひとつで、当初井林さんは絵を描く媒体としてネパールの手すき紙を選んだだけでしたが、毎年訪れるなかでネパールという国に魅了されていったそうです。

現在、井林さんにはネパール人の旦那さま、そして娘さんがおられます。

国際協力って簡単じゃない…けど意外と身近でできるのかも

私は大学時代、途上国支援や国際協力について学んでいました。そのとき私が感じたことは、「人を助けるって簡単じゃない」ということです。

ただお金をあげればいいわけでもないし、支援する側にちゃんとした知識がないと結局多くの資源や労力が無駄になってしまうこともあるんです。日本国内でも震災などの災害時に、せっかくの支援物資が無駄になってしまったということがありますよね。

井林さんはネパールの地域を旅するうちに見えてきた格差社会による貧困や身分差別、森林環境破壊に心を痛めるようになりました。そして、ネパールに恩返ししたいという気持ちから、カレンダーの原料であるジンチョウゲの乱伐をなくし、伝統手すき産業の復興と山間部の貧しい人々の暮らしを良くしようと年に何度も通い、住民とともに苦楽を分かち合ってきたそうです。

そしてNPO法人を立ち上げ、展示会、講演会など、活動趣旨を広めて会員を募ったり、募金活動を繰り返しました。ただ、リモートエリアでの活動は厳しい現実も多く、特に政治面では王政政治から民主政治に変わるとても危険な内戦状態の時もあり、心身とも困難を極めることもあったそうです。

そして、ネパールでは2015年に未曾有の大地震が起きました。この地震による死者は9,000人を超えて多くの地域で今も家を失った人がいます。

井林さんは、支援していた手すき工場地域での地震支援を終えたあと、旦那さまの故郷であるカブレ郡コシデカ村の住民のために支援活動を始めることにしました。この地域は今も政府からの支援は少なく、3年たっても壊れたままの家やテントで暮らす人が多い地域です。

1年間、住民と談義を重ね、どの人にも平等に与えられる支援を考えてきました。それが雨水を再利用した小学校での貯水槽建設です。もともと山水がとても少ない干ばつ地帯で、各家庭には水がないので湧き水を汲みに行く生活でしたが、地震で湧き水の水路がふさがれてしまい、はるか下方の川まで毎日水汲みをしなければいけなくなりました。

そのため、多くの人々の健康状態が悪化していたのです。井林さんはカレンダーの売上金や寄付金をもとに建設事業支援を行い、2018年、ついに貯水槽が完成しました。このおかげで、子供達はもとより、住民も利用することができ、たくさんの人々のいのちをつなぐことができるようになったのです。

井林さんの活動を知れば知るほど、こんなこと誰もができるわけではない…と思いましたが、貧しい人や困難な環境におかれた人達のために何かしたい!何かできることはないか?と思っている人は多いはず。

でも、辺境の地に出向いて人道支援をしたり、事業を立ち上げるノウハウも勇気もない…なら、それをやっている人の活動に乗っかるのも立派な「国際協力」だと思うんです。意識さえあれば、国際協力って必ずしも地球の裏側でするものじゃない、もっと身近なものにできると、このカレンダーに出会って改めて気づくことができました。

井林さんは今年度、コシデカ村の小学校とカトマンズにある戦争疾病障害者施設へ楽器の支援、そして来年度からは、その障害者施設の人々の自立支援を行っていく予定だそうです。もちろん、計り知れないご苦労はあったと思いますが、ご自身も好きな絵を描いて楽しみながら国際協力に繋げておられる井林さんを心からうらやましいと感じます。

どこまでも地球にやさしい!使い終わったら封筒として再利用

このカレンダー、最後のページに封筒の台紙がついていて、カレンダーとしての役目を終えたら手作り封筒を作って再利用することができます。どこまでも資源を大切に使おうとする思いが伝わってきますね。こんな封筒で手紙が来たら、開ける前から心が弾みますよね。お年玉袋としても良いかも。

でも一枚一枚の絵がとにかくすてきなので、切ってしまうのがもったいなく感じることもあります。私は特に気に入った絵はそのまま台紙に貼って飾っています。眺めるたびに力をもらえる不思議なカレンダーです。

遥か彼方のネパールの山々とそこに住む人々に思いを馳せながら、特別なカレンダーで平成最後の年を過ごしてみませんか。

一石三鳥?!心も温まるカレンダー

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maruriさん

韓国人の夫、ふたりの娘と暮らすマイペースママ。15年前から実母を介護している。育児も家事もマイペースに奮闘中。

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