2019.04.19 / 2019.04.22
~ 日本美術を通して学ぶ、かんたん鑑賞ワークショップ ~「国宝をべたべたさわろう!」
平成もあと数日を残すばかり。来月からの新元号対応、ビジネス上は、西暦から2000と018(レイワ)を引くと和暦になるって地味に助かるなーとか思いつつ、意味や由来の解説にあたって、万葉集など古典文学がメディアに紹介されるのを目にする機会が多くありました。
日本の古くからの文化との接点って、未就学児と学校を卒業して久しい母の組み合わせには、残念ながらそんなにあるものではないですが、先輩ママがこんな楽しいイベントに誘ってくれたので、紹介したいと思います!
びょうぶも絵巻物も「使う道具」
美術品をデジタル画像として取り込み、やはりデジタルで丹念に復元し、その魅力を伝える活動をされている「デジタル復元師」の小林泰三先生率いる小林美術科学さんと、小学生のキャリア教育事業等を行う一般社団法人キッズMさんのコラボレーション企画です。
国宝って、分厚いガラス越しに、無言でお行儀よく静か〜に鑑賞するイメージ。でも、小林先生いわく、「びょうぶや絵巻物って、日常で使う道具だったんです。だから、存分に触れて扱うことで、本来の姿が体験できる! 」
え!触っていいの!?
暗幕が張り巡らされた体育館の照明がすっかり落ちると、非日常の空間にこどもたちはコウモリのように興奮。自分も肌年齢はさておき気分だけは小学生に戻ってワクワク。イベントスタートです!
本当の色を知っていますか?
「ところでみなさん!国宝って、本当はどんな色だったか知っていますか?」との小林先生の質問。
便覧などで見るスモーキーで枯れた色彩、わびさびの世界のイメージがとっさに頭に浮かびますが…。
「阿修羅像は怒っている神さまなんです。だから本当はこんな感じ」
あら大変!!これは、朝、子供を叩き起こして一秒でも早く家を出ようとしている自分でしょうか?もう手がつけられないほどのゲキオコぶり、なんの説明もなくても、怒りの度合いが、色合いとテカりから、わかりすぎます。
さらに、カビの問題で解体して保存されることが大きく報じられた高松塚古墳の壁画も…。
本当はこんな感じだったそうです。
(写真はミニチュア古墳の写真からのトリミング)
亡くなった貴人をしめやかに弔う、というより、神様が待つ彼岸への帰還を盛大に祝うかのような、いっそにぎやかで華やかなテンションさえ感じます。うん、これなら元気に(?)ピリオドの向こうへと旅立てそうですね。
いざ、体験コーナーへ!
体験コーナーは3つにわかれていました。
子供の身長くらいの高さと5メートルぐらいの奥行きの箱に暗幕がかけられた、なにやら秘密基地のような魅力的なフォルムの設備はミニチュア高松塚古墳。まさしくこどもホイホイ状態で、入り口には長蛇の列ができています。
中には、冒頭で紹介された壁画も描かれていて、ろうそくを模したLEDライトの明かりで、納められた貴人と同じ目線でスペースに寝転び、壁画を見上げることができるようになっていました。
その隣には、風神雷神図の屏風が、イベント会場のパーテーションとまったく同じノリでフツーに設置されています。
有名な作品なので、長女も絵はみたことがあった様子で「これ、知ってるー!」と喜んで駆け寄り、指で触ったり、顔をぴったり寄せて覗き込んだり、存分にベタベタしてました。
こちらも、当時の人たちが見たであろうシチュエーションを模し、ろうそく状のLEDのライトで顔を照らしてみると…。
金箔で表現された大きな目だけがぎょろりと光り、照明による影で骸骨のようなシルエットに変化した風神の顔が雷神を見据えています。その雷神はというと、のぞきこむ者を逆ににらみかえすように、視線を宙へと漂わせています。
怖おもしろい仕掛けから、「なーんてね!」という古の画師の遊び心が時空を超えて届くようで、急に友達と遊んだみたいな親近感がわいてきます。
ステージ上には「年中行事絵巻」。いまならフリックで動かし、ピンチで拡大縮小する画面、絵巻物は左手で繰り出しながら右手でくるくる巻き取っていくことで新しい場面がどんどん現れては消えていきます。長女にとっては、その手の動き自体も新鮮だったようで、何度も飽きずに試していました。
親子とも夢中になっている間にイベントはお開きの時間に。まだまだ見たい、もっと一緒に遊びたい!と、日本の美術がすごく身近なものになった、大満足の1日でした。
それぞれの花を大きく咲かせる世に
日本の文化、とか、伝統というと、どことなく形式ばった堅苦しいもの、さらにいえば、なにかしら道徳的なもの、という勝手な思い込みが自分の中にはあった気がしますが、この日、手で触れて体験することで、長年目を覆っていた大きなウロコが、初めてボロッと落ちたように感じました。
後に、時々の治世の要請などでくっつけられた余分な価値観を取り払ってしまえば、デジタル復元で蘇った鮮やかな色彩と同じように、おおらかで自由で、生命の喜びに満ちた本来の日本の心に出会えるのかもしれません。
「令和」には、人々が美しく心を寄せあう中で文化が生まれ育つ、明日への希望とともにそれぞれの花を大きく咲かせる日本でありたい、という想いが込められているーとの公式発表がありました。
いろんな解釈があるようですが、子供たちが人生のメインステージを過ごすことになる世が、誰もが本来の姿のままに、伸び伸びと自分を出せる時代であるといいな、と祈ります。
Beauty and harmony やっぱり自然体が一番美しいと思います!
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たかままさん
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「保育園児ママの今こそ育児の青春時代!」がモットーの更年期ちらつく歳女(としおんな)。不条理だらけのワンオペ育児、ビジネス文書でみかける用語で考察してみたいと思います。