実は昔から身近な「エシカル」

「エシカル」という言葉を耳にしたことはありますか?

「エシカル」は英語で「倫理的な」という意味で、法律の縛りはないけれども多くの人が正しいと思うこと。または本来人間が持つ良心から発生した社会的規範を意味します。

ここでは「人や社会、地球環境、地域に配慮した考え方や行動」と、お伝えしたいと思います。(一般社団法人エシカル協会HP)

急に「エシカル」と言われても、ちょっと難しい…と思うかもしれませんが、日本人が昔から大切にしてきた「お互い様」「おかげさま」「足るを知る」「良いあんばい」「もったいない」という精神と高い親和性があり、すでに私たちにとって身近な考え方や行動なんです。


ほんの少し自己紹介になりますが、私は大学卒業後に一般企業で働き始め、生まれ故郷を襲った2011年3月11日の東日本大震災を機に生活や働き方を見直すようになりました。震災直後に転職して復興事業などに携わり、今では主に一般の人たちにむけてエシカル消費を普及・啓発している団体で働いています。

私は「エシカルマンマ」というニックネームをつけるほど、エシカルから広がる新しい世界や未来の可能性にすっかり魅了されています。ちなみに、「マンマ」はイタリア語で「ママ」。イタリアも大好き♪このブログを通じて、エシカルの魅力、最近どんどん増えてきているエシカルなアイテムやお店、子育て×エシカルの話題も取り上げていきたいと思います!

なぜエシカル?

エシカルな考え方が必要とされる背景があります。具体的に、気候変動・人権侵害・貧困・生物多様性など多くの根深い問題が存在しているからです。字面だけだと遠い問題に捉えがちですが、去年の猛暑や豪雨などの異常気象をはじめ、気候変動にまつわる脅威が私たちの生活に迫ってきていることを身をもって感じた人も少なくないはずです。そして、私たちが毎日着ている洋服、口にするコーヒーや紅茶、バナナやチョコレートなどは、一体どこで誰がどのようにして作っているのでしょうか。もしかしたら、その背景には先に挙げたような様々な問題と密接に絡んでいるかもしれません。

どの問題も深刻で重要ですが、私は出産を機に特に人権侵害の一つである児童労働に敏感になりました。なんと、世界全体で5~17歳の子どもの約10人に1人に当たる1億5,200万人が児童労働に従事している報告があります(国際労働機関調べ)。日本の人口より多く、1学級に3~4人いる割合に、大きなショックを受けました。児童労働の約7割は農業関連です。大好きなチョコレートを食べるとき、その味も知らない子供がカカオ農園で働いているのが現実の一つにあります。我が子と重ねて考えると、決して他人事とは思えません。

また、今やファストファッションも大人気ですが、アパレル業界は石油業界に次ぐ世界で2番目の環境汚染源とも言われています。たった一枚のTシャツを作るのに多大なエネルギーを要し、コットン栽培のために多量の農薬や水も使われています。そのコットン農園では子供が働いているかもしれません。

つまり、私たちが普段何気なく使ったり、買ったり、食べたりするものは多くの問題と複雑に繋がっていて、知らないうちに問題に加担している場合があります。

エシカル消費のすすめ

そんな問題に加担するのではなく、私たち一人ひとりが解決の担い手になれます!その一つの有効な方法がエシカル消費、「人や社会、地球環境、地域に配慮した消費」です。
学生も、企業の経営者も、サラリーマンも、主婦も、どんな人も消費者であるという点から、エシカル消費(倫理的消費)という概念が注目されています。東京都も「ちょっと考えて、ぐっといい未来 エシカル消費」をキャッチフレーズに、EXILE ÜSAさんのインタビューも含めてPR動画を昨年10月に作成しました。

エシカル消費は間口が広く、「エシカル」という大きな傘の下に「フェアトレード」を筆頭に「オーガニック」や「地産地消」「障がい者支援につながる商品」「応援消費」「伝統工芸」「動物福祉(」「寄付付き商品」「リサイクル・アップサイクル」「エシカル金融」など幅広い消費の形があります。

エシカルにまつわる認証マークも多くあります(写真に写っている認証マークは一例です)。買い物するとき、それを目印にするのもおすすめです。スーパーマーケットで子供と一緒に認証マークを探し、それがどうゆう問題と解決に繋がっているかを話すのも一つのアイディアです。

お下がりも素敵なエシカル消費

気軽にできる取り組みが、お下がり!特に子どもの服や靴はすぐにサイズアウトしますよね。「使い古し」のような若干ネガティブなイメージを払拭し、今日から「お下がりは立派なエシカル消費」、「お裾分け・お福分け」と、ポジティブに言い換えてみるのはいかがでしょうか。実際に、お下がりし合うことは、新たな消費を減らせます。よって、環境にもお財布にも優しいサイクルが生まれます。さらに、持ち主の思い出を重ねていくことは心の豊かさにも繋がってくるように思います。

私は第二子の身の回りにおいて、できるだけ新たに買わずにお下がりで揃えてみるというチャレンジを楽しみながら続行中です。周りのママ友さん達にも「お下がり絶賛募集中」と呼び掛けています。その効果はすぐにあり、ベビーベッド・抱っこ紐・新生児用の服や新品同様の肌着をいただきました。そして、私のマタニティーグッズを妊娠中の友人に譲ってます。

また、長男が通っている保育園に「お下がりボックス」を提案し、設置してもらいました!名前が書かれたものもOKで、設置してすぐに保護者から続々と服や靴などが寄せられ、他のお友達の名前が書かれたお下がりアイテムが園内を巡り始めました。私は13センチの靴をお下がりボックスに入れて、14センチの長靴を頂きました。息子が嬉しそうに履いて、雨上がりの水たまりに入って遊んでいる様子をみると、この長靴の持ち主だった子も、きっと同じように遊んでいたのかなぁと、その光景を思い浮かべ、温かい気持ちになりました。

ママとしてできること

エシカル消費は間口が広いので、自分の興味関心のあるところから気軽に取り組むことができます。子供と一緒に始めてみるのも楽しそうですね!例えば、レジ袋を断って親子でお揃いのエコバッグを持つ、認証ラベル付き商品を探してみる、なるべく少ない素材で手作りお菓子を作る、児童館などで開催されるオモチャ病院を利用する等。また、最近では赤ちゃんと触れ合っても安全なオーガニックコスメも増えてきています。

私は、3歳になったばかりの長男に水の出し過ぎやご飯を残すことはもったいないと言い続けています。長男からもその言葉が出てくるようになり、主人が勢いよく手を洗っていると、「パパ、お水もったいない」と!

それから、ものを大事にできるように、まずはオモチャや本を丁寧に扱うことを教えています。子供達がもう少し大きくなったら、ものには過去・現在・未来があることを伝えていきたいです。過去は、ものはどこで誰にどのようにして作られたか。現在は、できるだけ永く愛用すること。未来は、自分にとって必要でなくなったものを、お下がりやリサイクルなどの選択肢があるかを考えることです。

今の生活はものに溢れていて、気軽に手軽に買うことができます。それで私たちは便利で快適になれますが、それによってどんな影響があるかをしっかり考えることが大事ではないでしょうか。
子育て中は当然ながら子供のものを買うことが多くなります。選択の連続です。我が子のために、子供を含む誰かが悲しい思いをするより、自分も世界もみんなが笑顔でありたいですよね!その一つの選択がエシカル消費であると、今回お伝えしたいと思います。

最後に、ネイティブ・アメリカンの言葉を綴ります。
「この地球は、先祖から受け継いだわけではない。未来の子どもたちからの借り物だ。」

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エシカルマンマさん

家族:夫、息子2人(2歳・5歳)
宮城県仙台市出身、東京都在住。2011年の東日本大震災をきっかけに、エシカルな仕事をしたいと決意。2015年に一般社団法人エシカル協会の立ち上げから携わり、エシカル消費の普及啓発の活動をしています。エシカル子育てを日々考え、楽しみながら試行錯誤中。

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