こんにちは♪絵本オタクママ、ベティ子です。今回はタイトルの通り『恋の絵本』のお話。

岩崎書店『恋の絵本』シリーズです。

このシリーズ名だけで少女マンガ大好きな私はすぐに飛びついてしまったのですが(笑)、これが良い意味で予想外。まさに現代、令和の恋!価値観!!そして絵本にしてはかなり豪華な「文学」「美術」でした…。

ちょっと長くなりますが、このシリーズのコンセプトと、全5冊、私なりの感想を書いていきます!

恋の絵本シリーズ

【小さい頃、わたしのまわりには、たくさんの「お姫様が王子様と結婚してめでたしめでたし」という物語がありました。それは遠回しに、女の子は男の子に守られるものだ、富と地位を手に入れることが幸せとなのだ、という価値観を植え付けるものであったのではないかな、という気がしています。
(中略)
恋愛を描いた名作絵本はこれまでにもあります。ただ、恋愛観や結婚観、ジェンダー観が変わりつつある今の世の中で、「好き」という素朴な感情を肯定しつつ、現代の感覚に響く恋の絵本があってもよいのではないか。そんな思いから、このシリーズは生まれました。】

↑公式サイトから抜粋しましたが、このようなコンセプトのシリーズです(記事の最後にリンクがありますのでぜひ全文見てみてください)。

私自身は、書店で第三弾「まっくろいたちのレストラン」を購入したのがきっかけでこのシリーズを知りました。立ち読みで泣きそうになって急いで購入したんですよね〜。

第五弾まででてるこのシリーズ、順番は前後しますがひとつずつ感想を書いていきます。

まっくろいたちのレストラン

【孤独だったまっくろいたちがレストランをはじめました。やってきたのは谷の向こうのお嬢様。愛する人のため、できることは?島本理生と平岡瞳が灯す、森の奥の愛のお話。】
※公式サイトより

始まり方が映画のようで素敵、とてもドラマチックな王道ラブストーリーです。そう、超王道。何も奇をてらってないので、途中で何となく展開や結末が想像できてしまいます。

でもそれが良い…わかっているけれどいたちの恋を応援したくなるし、わかっているけれどラストは泣きました。3回目くらいまでは読むたびに泣けました。

動物が主人公、そして男性目線のストーリー、版画で色数少なく描かれたイラストもとてもかわいらしくオシャレです。シリーズの中でいちばん幼児や男性も取っ掛かりやすいのでは、と思います。わが家では私だけでなく夫と息子もこの話、大好きです。

すきっていわなきゃだめ?

【「すきなひといないの?」とみっちゃんにきかれた。わかんないっていったけど、ほんとうはこうくんがすき。辻村深月と今日マチ子が描く、みずみずしい「好き」の風景。】
※公式サイトより

「みんなのなかに こうくんがいると、つい そっちを みちゃう」
「おなじものが すきだって わかると、はしりだしたくなる」
「からだじゃなくて こころが いたいだけで、なみだが でそうになる」
(本文より)

も〜最初から最後まで、一行一行に胸が締め付けられて息苦しいです。何回読んでも毎回、切なくてキュンとします。

でもそれだけじゃないのがすごいところ。ラスト一行、初めて読み終わったあと「へ?へー…うわぁー!」と思わず声に出して思わずもう一回読んでしまいました。

私って結局ステレオタイプな人間なんだな…と思い知らされた感じがしました。

今日マチコさんのイラストがまたシンプルで瑞々しくて、このストーリーにぴったりです。この話と絵は最強の組み合わせなのでは!

こはるとちはる

【こはるとちはるはクラス一の親友。好きなケーキ、好きな服、好きな色が同じなのは嬉しい。だけど好きな人が同じなのは…嫌な気持ち。白石一文と北澤平祐が贈る恋の大問題。】
※公式サイトより

いつの時代も女子あるある、なんでしょうか。側から見れば微笑ましいんだけど本人たちにしてみれば深刻な大問題。

しかしすっかりオバサンの私からしたらやっぱりかわいい、甘酸っぱいお話です。最後に、主人公がちゃんとこの『問題』に本人なりの答えを出して終わるところも良いです。

この絵本はなんといってもイラストが可愛すぎる!表紙だけでも相当ラブリーなんですが、中もです。全ページに女の子のすきなものをぎゅうぎゅうに詰め込んでます。胸焼けしそう(大好きです!!!!)。

この記事を書くにあたって気がついたのですが、文も絵も男性が書いたものなんですね。このかわいさで…そうか…ちょっと驚きでした。

ぼくのポーポがこいをした

【日曜日、ぼくのおばあちゃんとぬいぐるみのポーポが結婚する。ある夜ぼくは見てしまった。二人がキスするところを…。村田沙耶香と米増由香が魅せる新しくて美しい結婚。】
※公式サイトより

かわいいタイトル、ゆめかわいい表紙…。でもあらすじを見ると、???。。なかなか、この設定や世界観は受け入れるのに時間がかかりました。

おばあちゃんが恋、ぬいぐるみが恋、2人のお母さん、ウエディングドレスの色…ページをめくるたびに「んんん!??」と止まって思考がぐるぐるしてしまいます。もう多様性の詰め放題。

主人公の男の子は「こんなの変だよ!」と大反対、親友(ぬいぐるみだけど)を取られてしまった寂しさ、それでも進む結婚式の準備にむしゃくしゃ。私もこの男の子の気持ちで読み進めていくのですが…

このおばあちゃんとポーポの恋を「どうしても受け入れられない」のもまた、多様性だよね…と思います。

ここまでこんな感じで書きましたが、私はこの絵本、好きです。

「ふたりは よぞらに おちてしまいそうだった」なんて文章もキュンとするし、ファンタジーでちょっと不穏なイラストがとても美しく、ページをめくるたびに息を呑みます。

子どもの頃からこんな世界観の絵本を読むことができるなんて、現代の子どもは羨ましいな〜なんて思います(受け入れられるかどうかはともかくですが)。

読む人を選びそうな内容ですが、著者のファンや「多様性」についてちょっと触れてみたい、という人にはぜひみてもらいたい絵本です。

すきなひと

【ある夜、「もうひとりのわたし」とすれちがった。「すきなひとがいるからおいかけてる」。すきなひとなんていないのに。でも……。桜庭一樹と嶽まいこが誘う、夢のような満ち足りた時間。】
※公式サイトより

実はこの本が、この「恋の絵本」シリーズの第一弾です。本当はこの記事も第一弾から順番に紹介していきたかったのですが、あえて最後にしました。なぜかと言うと…

超!!!難解!!!!なんです。こんなにシンプルなタイトルなのに。文字も少ないし絵もすごくかわいいのに。何回読んでも私は理解できず…挫折しました。

でもそれでは記事にならないので、ネット上のこの本に関するレビューを読みまくってみました。そしたらなんと、結構レビュー多いし評価も高いんですよね。もちろん私のように「なにこれ?」「よくわからない…」なんてのもありましたが(笑)。

レビューでは沢山の方がこの絵本について考察されていて、それを読むのがとても楽しかったです。ひとつひとつに「なるほど!」「なるほどー!!」と膝を打ちました。

で、おそらくこの絵本は「すきなひとに出会うまでの心情や雰囲気」を「感じる」絵本。自分なりの感想や考察を膨らませて楽しむ絵本。なのではないかと思いました。

そして私はたくさんのレビューや考察を読んで、よしなんとなく解った!と思い満を持してもう一度読んでみましたが…やっぱりよく解りませんでした!!!(涙)。

小説好き、超文系の人にぜひぜひ読んでみて欲しいです。

対象年齢は?

公式には明記してませんが、おそらく10代前後な感じがします。「まっくろいたちのレストラン」以外の主人公はみんなその位なので共感できるのかなと。レビューを色々見てた時も、ローティーン向けという感想が多かったです。

…が、何たって作家陣がとても豪華なので(普段小説を読まない私でも知ってる方ばかり!)シンプルに物語として、大人の人でも男の人でも、絵本だからと敬遠せずに読んでみてほしい『恋の絵本』シリーズでした。

結局理解できなかった「すきなひと」は何年後かにまたチャレンジしてみたいと思います!

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ベティ子さん

5歳息子・3歳娘・かわいいネコの3兄妹(?)ママ。スキマ時間にスマホでイラストや漫画を描いてます。
自宅の絵本700冊超え、パパも含め全員、絵本大好き一家です♪

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