「92歳の現役保育士が伝えたい 親子で幸せになる子育て」 実務教育出版 著者・大川繁子

著者の大川先生は、保育士歴60年以上、2,800名以上の卒園生を見送ってきて、ご自身も三人の男の子を育てあげました。

そんな彼女からのメッセージや子育てのヒント、年齢別おすすめ絵本がいっぱい書かれており、愛情たっぷりの一冊です。

大川先生は、栃木県足利市にある「小俣幼児生活団」の主任保育士さん、1927年生まれで今年94歳を迎えます。(出版時は2019年)

この小俣幼児生活団とは、足利市の認可私立保育園です。保育のテーマに「自由と責任」をかかげ、卒園するときには自分のやりたいことに没頭し、自分の頭で考え、自分の能力を発揮できる力(自由に生きる力)と、それに伴う責任をもてる子になってほしい、ということが方針になっています。

写真(本の裏表紙)の通り、敷地3,000坪超で、園庭はもはや小さな山。歩くだけで森林浴、自然観察もできて、池や梅林、灯篭もマリア像もあります。広大な庭ですが、子ども達が立ち入り禁止の場所は一切なし。

もっと詳しくみたい!という人は、ブログ下部にある園のHP・ギャラリーからみることができます。わが子もこんな環境で幼児期を過ごさせたい…と思わず胸が熱くなるほど素晴らしい風景です。

最も古い園舎は築170年の古民家で「子ども達の、昼間の大きな家・第二の家」といわれ、なんと…足利市の国有形文化財にもなっています!

保育の根底にあるのは「モンテッソーリ教育」と「アドラー心理学」の考え方。すでにご存知の方も多いと思いますが、ざっくりとした説明で…。

モンテッソーリ教育は障がい者教育がルーツの自立した人間を育てるための教育法で、大人はむやみに手や口を出さずに子どもがもつ能力を引き出すためにサポート役に徹します。

アドラー心理学では、大人と子どもを対等の立場に置き、子どもを一人の人間として認め、尊重します。

この園では、この二つの考え方のいいとこどりを実践している「奇跡の保育園」といわれています。

園の特徴について、ほんの一例を紹介します。

【みんなで一緒に、ではない】0~4歳までは「クラスみんなで同じことをする時間」はなく、一人ひとりが自分のやりたいことをして過ごします。小学校入学を見据えた5歳児はみんなで同じことをするのは一日一時間だけ。

【ルールは園児が決める】保育士が勝手に決めるルールはほとんどなく、園児と一緒に話し合って決めます。

【園児に命令しない】園児になにか行動してほしいとき、保育士たちは「~してくれませんか?」という声掛け。「しなさい・してください」とは決して言いません。

私はこのような特徴を知ったとき、家庭でも同じように実践できそう・民主的だと思いました。

一方、こんな自由保育で保育園時代はまさに楽園だろうけど、小学校に進学したら大丈夫なのかという心配の声も当然あると思います。

実際、多くの小学校で「小俣幼児生活団出身の子どもたちは、高学年くらいからグンと伸びる子が多い」と言われるそうです。

小さいうちから自分が選んだことに没頭する経験をたくさん積ませることが、大きくなって自分がやりたいことを見つけたときの強いエネルギーになるのでは、という大川先生のお話がとても印象的でした。

また、「大人が、子どもに『●●●したい』と思える機会や環境をつくること、そんな工夫が腕の見せどころ」、というアドバイスも心に強く残っています。これは子育てだけでなく、仕事でもさまざまなところで通じますよね。

子どもが小さいときに築きたい、幸せをはぐくむ4ステップ

詳しい内容は割愛しますが、大事なポイントをシェアしたいと思います。

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1、情緒の発達と安定(スキンシップをいっぱいとって、親子の絆や信頼感を育てること)

2、自主性の発達(子どものやりたいことをできるだけさせてあげること)

3、社会性の発達(はじめは大人の姿を見せて育て、あとは集団生活で子ども自身が自然と身につけていくもの。たとえば、子ども同士のオモチャのとり合いから勃発するケンカは絶好の機会で、小俣幼児生活団の保育士は『あとで貸して』のやりとりを伝えた上、安全は第一に気をつけながら、子どものケンカを見守る方針)

4、知識の習得(頭で得る知識でなく、経験の知識のこと。思いっきり遊ぶことこそ、子どもにとって最高の学び)
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好きなことに没頭して、思いっきり笑って、たくさん遊ばせてあげること。そんな「学び」が子どもの成長剤!

私の息子二人は公園遊びが何より大好き。小学生になったら否応なしに学校での勉強が始まるので、保育園・幼稚園時代は思いっきり公園遊びをさせたいと思っています。

この本を読んで、それでいいのだ!遊ぶことが一番大事!、と大川先生に太鼓判を押してもらったような温かい気持ちになれました^^

子どもに任せて、信じて、「せねばならぬ」を手放して、楽しくね

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エシカルマンマさん

家族:夫、息子2人(2歳・5歳)
宮城県仙台市出身、東京都在住。2011年の東日本大震災をきっかけに、エシカルな仕事をしたいと決意。2015年に一般社団法人エシカル協会の立ち上げから携わり、エシカル消費の普及啓発の活動をしています。エシカル子育てを日々考え、楽しみながら試行錯誤中。

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