/ 2021.06.24

「青い鳥」の原作

「青い鳥」は、モーリス・メーテルリンク作の童話劇。アニメ絵本になってたりするので、読んだことがある方も多いのではないでしょうか?そうでなくとも、「幸福論がかいてあるんだよね」みたいな認識の人もいるかと思います。

しばらく前に、書評を読んで興味を持ったので原作を読んでみました。そしたらとても感動したので、紹介します!!

「青い鳥」は1908年発表。作品の主題は「死と生命の意味」。(Wikipediaより抜粋・引用)
2人兄妹のチルチル(兄)とミチル(妹)が、夢の中で過去や未来の国に幸福の象徴である青い鳥を探しに行く物語です。今回は講談社の、江國香織さんが訳したのを読みました。(江國さん訳では「ティルティルとミティル」と表現されていますが、私がずっと親しんできた「チルチルとミチル」で書かせていただきます)

母の愛の・・・

「青い鳥」を今回読んで、とにかく良かったのはチルチルとミチルたちが「幸福の館」を訪ねるシーンです。

いろんな「喜び」(例えば「健康である幸福」とか「朝露をはだしで歩く幸福」とかたくさん)が、精霊というか、形をもって姿を現します。そして、「とてもきれいな女の人の形」で現れるのが、「母の愛の比類なき喜び」です。
一瞬、え?!って思うくらい強い言葉ですよね(笑)

その、とてもきれいな女の人の形をした「喜び」に抱きしめられて、お兄ちゃんのチルチルは「僕たちのママにしてはきれいすぎる」と表現します。それに対して、「母の愛の比類なき喜び」は、以下のように言います。

中略
「母親は年をとるけど、母親の愛は年なんかとらない。それどころか、どんどん強く、若く、幸福になっていくの、あなたたちが笑ってくれるたびにね。家にいるときには、そんな私の姿は目に見えないだけなの。ここでは、ほら、真実がありのままに見えるから。

―中略― 

お母さんっていうものはね、みんなほんとに豊かなのよ、子供たちさえいてくれれば。貧しいお母さんなんていないし、美しくないお母さんも、年とったお母さんも、ほんとうは1人もいない。母親の愛はね、喜びのなかでももっとも美しいものなんだから。それに強いの。どんなにかなしいときだって、子供たちからのキスや、子供たちへのキス1つで元気になってしまう。目のなかの涙も星に変るわ」

と・・・もうすごくないですか??!(感涙)
的を射ているというか、母親やっててしんどい時なんかもひっくるめて、勇気づけられて、「私は幸せだー!」とつきつけられるようです。(すみません、育休中です)

未来の王国では、胎内記憶に通じる話も

「青い鳥」に出てくる「未来の王国」。そこは何もかも青くて、たくさんの子供たちが生まれる時を待っています。そしてその時が来たら船に乗って市場にやってくるというストーリーです。これが胎内記憶の世界のはなしとよく似ています。「将来何をするのか決まっている」とか、「その時に行く」とか・・・。

古くて新しいやつでした!

100年以上前に演劇で作られたと言う「青い鳥」。そもそもメーテルリンクは子供向けとして書いたのではなく、一般庶民に楽しんでもらえるように戯曲にしたとのこと。たしかに大人になって読んで、とても新鮮で深いと感じました。ほかのシーンも、示唆に富むような、哲学的な内容が多く練り込まれています。

「青い鳥文庫」でも出ていますから、小・中学生のお子さんにも読んでもらいたいです。高校生くらいで読んでもおもしろいかもしれません。新版を江國香織さんで出ています。(ちなみに、青い鳥文庫の旧版を、出産前に通勤電車で読みました)
ちょうど実家に、読み聞かせのアニメ絵本もあったのですが、内容を圧縮しているので、多少わかりにくい部分があります。大人になって原作を読んで、やっと納得しました。

今回の、講談社の「青い鳥」、江國香織さん×宇野亜喜良さん(挿絵)の対談もおもしろいですよ。
子育ての息抜きに、癒されたいとき、なんとなく哲学的な気分のときに、おすすめです!

名作は強いですね

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BATAKOさん

4歳&1歳女子に振り回される30代。在宅メインの時短勤務。デザイナー、事務、時々カメラマン。まごわやさしい手抜き料理、しゅみ(片付け・読書・自転車・キレイなもの巡りetc.)お伝えしていきます。

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