子育てに自信のあるママなんて、どこにもいない!家庭教師・塾講師、東大生・早大生を育てた母であり、子育てセミナーを主催する楠本佳子さんに教わる連載コラム「能力をのばす子育て」。13回目は「子どもの睡眠不足の怖さ」について。

子どもの睡眠不足の怖さ

睡眠というのは非常に大切なものです。子どもだけでなく大人も睡眠をとるのは大切なことではないでしょうか。

ここのところ、子どもの睡眠習慣の悪さが勉強のやる気、学力低下、肥満やうつ病にまで関わる原因になると分かってきました。

より良い睡眠をとるということは、勉強だけでなくスポーツも仕事も、日常生活のあらゆるパフォーマンスを上げることになります。

睡眠研究者アビ・サデー氏らが世界17か国で乳幼児の睡眠を調べた結果、幼児の睡眠時間が一番短いのが日本でした。
1日の睡眠時間は最長のニュージーランドと比べて1時間40分も少ないのです。

ある調べでは、日本の乳幼児の50%以上が10時以降に寝ているという結果がでました。

『子どもの夜ふかし 脳への脅威』三池輝久(集英社新書、2014年)

1年に換算してみると、608時間。つまり約25日も寝てないことになります。

何時に寝るか?同じ時刻に寝ているか?

睡眠時間が短い理由は、夜遅く寝るからです。

小さい頃、夜遅く寝ていた子どもが年齢とともに早く寝るはずがなく、どんどん遅くなっていきます。

なるべく夜10時までに寝かすようにしましょう。

成長ホルモンは夜10時から2時ごろに一番分泌されます。この時間にぐっすり眠ることが大切になってきます。

塾に来ている子どもも、日頃はきちんと話を聞いているのに、全く聞かないときがあります。

どうしたのか聞いてみると、夜遅く寝たのが原因で眠くてたまらないらしいのです。その遅くなってしまった理由は男の子の場合、ほぼゲーム、女の子の場合は、ラインなどのときもあります。

睡眠が不足していると、どうしても昼間の活動に支障をきたします。不機嫌になったり、うたた寝をして授業を聞かなかったり、またミスもしやすくなります。当然、学力に影響が出てきます。

それだけではなく、

記憶は寝ているときに定着する

記憶は寝ているときに定着すると言われています。睡眠時間をきちんととり、規則正しい生活をしている子どもは教えていても安定しています。

一方、就寝時間や睡眠時間が不規則な子どもは、日によって教えても全然聞いてない(実際、音は聞いている)、理解していないという日もあれば、すごく分かるときもあるとムラがあります。

学校の授業にでていても1日何にも聞いていないのなら行く意味がありません。1年以上夜中までゲームをしていて、ずっと学校で眠かったと言っている生徒もいるのです。もちろん授業についていけない状態になっています。

最近、小さい子どももスマホでゲームをしており、将来どうなるのか不安になります。

睡眠は健康状態を維持するうえでも一番大切ですし、脳にも精神にも大事なものです。夜更かしせず、規則正しい睡眠をとりましょう。

教えてくれたのは

楠本佳子さん

こどもみらい塾(岡山)」塾長。自身の子育てや教育経験を活かし、ママを対象としたセミナーや個別相談も行っている。著作に「12歳までに勉強ぐせをつけるお母さんの習慣」