ここ数年、子どもたちと一緒に教室でカイコを育てています。育てたまゆで糸紡ぎをやってみたいと思いながら実行できずにいましたが、今年の夏、ついに試してみることにしました。完全に素人の私と子どもたちでできるのか?結果はどうなったでしょうか。

※虫の写真が多数出てきますので、閲覧にご注意ください

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愛らしいカイコの姿に子どもたちは夢中

ここ数年、私の勤務園では子どもたちがカイコを育てています。摘んできたクワの葉を食べている様子をじっと観察したり、手にのせて冷たい体の感触を味わったり。真っ白で愛らしい姿に「おカイコさん、かわいいね!」とみんな夢中です。

毎朝登園すると必ずカイコの様子をチェックしている子が、ある日まゆを作り始めたところ見つけました。「うわ!この子、糸を吐いているよー!」と驚いた様子でしばらくその場を離れず、飽きるまで眺めていました。

糸を吐き続けて2〜4日でまゆが完成します

カイコは飼いやすく、子どもと楽しく観察できるポイントが満載

カイコ(正式名称:カイコガ)は絹糸を取るための家畜として5000年前から改良されてきたため、比較的飼いやすい生きものです。卵は各地にあるシルクセンターや業者から入手できます。

飼育に特別な道具や広い場所は必要ありません。エサになるクワの葉を近所で採集できる場所を探しておけば大丈夫(鳥がクワの実を食べて遠くに種を運ぶため、公園や空き地、庭や道路脇などでも発芽して葉が生えていることが多いです)。

飼育ケースはプラスチックケースでもおかしの箱でも良し。クワの葉の乾燥を避けるためにビニールで軽くふたをしますが、幼虫は逃げ出したりしません。

見どころいっぱい!カイコを育てる

成虫の交尾の様子

元々は私が教室で飼い始めたのですが、いまでは他の職員もカイコの愛らしさにハマっています。毎日見ていたらかわいくなってくるんですよね…。

糸紡ぎに挑戦してみました

実は私自身が長らくやってみたかった糸紡ぎ。数年越しでようやく実現しました。一般人には難しそうだし、子どもとできるのかしら…と心理的なハードルが働いて実行に移すまでに数年かかってしまいました。今回は初めてということで、卒園した小学生と一緒に試してみました。

糸紡ぎをするためには、まゆを羽化させない(成虫にさせない)ように直射日光に6時間ほどさらしておくか、冷凍庫に入れるかして中のさなぎを死なせます。まゆは1本の糸がつながってできているので、羽化して穴があいてしまうと糸が切れてしまうのです。

ひとつのまゆから取れる糸は約1.7kmと言われています。それだけの長さの糸がカイコの口から出てきたと思うとつくづく「おカイコさんはすごい!ありがとう!(子ども談)」と思ってしまいます。カイコの命をいただく、その尊さに感謝の気持ちが湧いてきます。

まゆを茹でる

糸を取るためにまゆを茹でて柔らかくします。

  1. なべに5〜7個ほど入れ、水を入れて火にかける
  2. まゆが浮かないようにざるか皿で落としぶたをする
  3. 沸騰したら1分間煮て火を止め、冷ます
  4. 湯が40℃くらいまで冷めたら、もう一度火をつける
  5. 沸騰したら1分間煮て火を止め、冷ます

準備OK!早速糸を紡いでみます

  1. 歯ブラシでまゆの表面を擦ると糸が出てくるので、ペットボトルなどに巻き取る
  2. 他のまゆからも糸を出し、数本まとめて1本にして紡ぐ
  3. ひたすら巻き取る!最初は難しいですが、そのうちうまくなっていつしか無心になります…。子どもの手つきがもうプロです
    糸巻き機は100円ショップで購入した箱、突っ張り棒、ペットボトルで自作しました
  4. ひたすら巻き続けること2時間、ようやく巻き終わりました。糸は真っ白、光沢があってキレイです。子どもたちはクタクタです
    巻くのは楽しくも大変。そりゃ絹は高いわけだと思い至ります
  5. 糸をペットボトルから外し、フレームに入れて飾ります
    ペットボトルの跡がついてボコボコしていますが、まあそれも味でしょう

子どもたちの感想

今回の糸紡ぎは私も子どもも一緒になってはしゃぎ、本気で楽しみました。紡いだ糸は本当にきれいで手の疲労が吹き飛ぶくらいの喜びがあり、子どもたちもとても良い表情をしていました。

多少のリサーチと準備に時間は必要でしたが、その分の感動もひとしお。やってみて本当によかったです。