最近注目される「ウェルビーイング」という言葉。ぎゅって読者アンケートでは「聞いたことがない」「聞いたことはあるが意味は分からない」という人が多数。そこで、専門家にウェルビーイングの意味や大切さを教えてもらいました。

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「ぎゅって」では、ママ・パパ、そして子どもたちの“ウェルビーイングな暮らし”を応援する企画をこの一年間で発信していきます。

「ウェルビーイング」って?

「ウェルビーイング」という言葉について、ぎゅって読者アンケートでは「聞いたことがない」「聞いたことはあるが意味は分からない」という人が7割に上りました(※)。
「ウェルビーイング」とは、人が「幸せで満ち足りた状態」であること。ウェルビーイングな人生を送るためにはどうしたらよいのか、ライフデザインや消費者意識の専門家・宮木由貴子さんに教えてもらいました。

※読者アンケートは2024年1月9日~2月1日に実施。回答数720

教えてくれたのは…

宮木由貴子さん

第一生命経済研究所 常務取締役・ライフデザイン研究部長・首席研究員。ウェルビーイング、ライフデザインの研究のほか、消費者意識、モビリティなどについて研究。内閣府、消費者庁、経済産業省、東京都等の委員を歴任

一人一人のウェルビーイング向上が豊かな社会を創る

ウェルビーイングな人生を送るためには、「健康」「お金」「つながり」という3つの人生資産を自分なりに充実させていくことが重要です。

今、「ウェルビーイング」がとても注目を集めています。これまでは「社会が豊かになれば、人々の幸福度は向上する」と考えられてきました。しかし近年ではむしろ、私たち一人一人が暮らしの中に幸せを見つけて活力を上げることの方が優先度が高く、それが社会のエネルギーとなり、結果として豊かで持続性の高い社会を創り出すことが分かってきたのです。個人と社会の未来への飛躍を信じて、私たちは私たちの“幸せのデザイン”を日々考えていきましょう。

ウェルビーイングのための3つの人生資産

ウェルビーイングのための3つの人生資産「健康」「お金」「つながり」について紹介します。

健康

世界保健機関(WHO)は、健康を「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にもすべてが満たされた状態にあること」と定義しています。このことからも健康がウェルビーイングに直結することが分かります。たとえ障害や持病があっても、それらとうまく付き合いながら自分が「満たされている」と感じられるなら、「健康である」と言えます。

お金

人生100年時代において金銭的な備えは必要です。ただ、お金はためるだけでなく、稼ぎ方·使い方によっても幸せを感じることができます。例えば、働きがいのある仕事でお金を得る、学びやチ ャレンジにお金を使う、応援したい地域や企業に向けて消費や投資をするなど、お金を通じて「良いことをしている」「社会とつながっている」という満足感と幸福感を得ることができます。

つながり

家族や職場、友人、地域の人々と、多層的なつながりを持つことで、楽しさを共有できるだけでなく、サポートを得られるというリスクヘッジにもつながります。育児も介護も家族だけに頼れない時代、今まで以上に「助けてもらうスキル」が必要になります。人に助けを求めることはハードルが高いように感じますが、普段から人とのつながりを持つことで、自然とできるようになるでしょう。

子育て世代のウェルビーイングな考え方

仕事と子育て、家事に日々奮闘し、自分の時間を持つことさえままならない子育て世代に向け、ウェルビーイングな暮らし方のヒントを宮木さんに聞きました。

子育て

「助けてもらう力」は子育て世代にとって、とても大切です。気軽に助けてほしいと言える人とのつながりをコツコツと築いておきましょう。行政や民間のサービスと積極的につながるのがおすすめです。

忘れがちなのが、保育園の先生に対するリスペクト。特に子どもは親の言うことをすごく聞いているので、発言に気を付けて。親が先生を信頼していれば、子どもは安心して保育園で過ごすことができます。

仕事

子育てで自分の働き方をセーブすることにストレスを感じる人もいるかもしれませんが、子育ての経験を仕事や自分の成長に生かせると考えれば、子育ての時間をポジティブに捉えられ、ウェルビーイングにつながると思います。

もし、仕事をしていることで子育てにおいて罪悪感を覚えるようなら、子どもに働くこと、お金を稼ぐことの大切さを教えてみましょう。「パパは仕事が好きだよ」「ママは仕事が楽しいよ」と子どもに言えるといいですね。

夫婦関係

パートナーに言いたいことがある時は、きちんと話して、口論になったらどこかで折り合いをつけ、和解し改善していくことが大切。お互いに言うべきことを伝え、状況改善できれば、それは意味のある夫婦ゲンカです。いろいろな考え方があるでしょうが、私はそのプロセスをあえて子どもに見せることもありました。

将来の経済的な問題については、2人でしっかり話し合うべきです。時には専門家に知恵をもらい「助けてもらう」のも大切。無料のオンラインセミナーなどもあるので、ぜひトライしてみてください。

小さな幸せを記録してウェルビーイング

最後に宮木さんからのメッセージ。「疲れた」「今日もやっと終わった」「何もできなかった」「昨日と同じだった」という日も、かけがえのない一日です。ささいなことでも幸せな瞬間があったのなら、それをメモして、時々読み返してみてください。幸せは「なる」ものではなく「感じる」ものだと思います。例えばたった一杯のおいしいコーヒーを飲みながら10分休むこと。それを幸せだと感じること。自分の“幸せを感じるスキル”を磨いていくことがウェルビーイングにつながっていくことでしょう。

イラスト/きどふみか

次ページでは、「あなたのウェルビーイングは10点満点で何点?」 読者アンケートで寄せられたコメントを紹介します。