育児のこと、夫婦のこと、いつか起こるかもしれない災害のこと…。働くママには悩みも尽きません。そんな毎日の視点を、少しだけ変えられるかもしれない本を紹介します。本を読むのが大好き!というママはもちろん、ちょっと苦手…というママにもぜひ。

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外国の常識って?目からウロコの育児本

「まず、ママが幸せに―産んで育てて、ニッポン・イギリス・フランス」薗部容子 (日本機関紙出版センター)

日本、イギリス、フランスの3つの国で1人ずつ出産するという珍しい体験をした作者。それぞれの国での生活を通して、出産・育児・家族の在り方、さらにそれを取り巻く社会環境について教えてくれます。日本の常識、どこかの非常識?

日本の赤ちゃんは数字に振り回されすぎ?

日本で第1子を出産した作者。新生児室で授乳しては体重を量られ、母乳が足りないかもというプレッシャーに悩まされ…。

激務で帰宅が遅い夫には頼れず、初めての育児に孤軍奮闘。間違った方向に頑張りすぎて、あとから思えば壊れかけてたかも?誰もが体験したことのある育児生活に、共感ポイントもたっぷりです。

イギリス紳士は夕方に帰宅。夕食の支度も!?

夫の転勤のため、第2子をイギリスで出産することになった作者。日本とは違う検診に戸惑い、ご近所のパパさんたちが夕方に帰宅して、夫婦の時間を楽しむ生活に驚き…。

ベビーカーを押しているとドアを開けて待ってくれ、困っていたら誰かが必ず手を貸してくれるのが当たり前の社会は、かなり羨ましい?

フランスでは子どもが3人だと何かとお得!

第3子はフランスで出産。検診よりバカンス重視の医師に呆れ、産後のおむつ交換や沐浴は驚きの連続。子どもが3人以上だと、交通機関や公共施設で家族全員の特典があるという国の政策には感心!

人生を楽しむための努力を惜しまないフランスでは、「仕方ない」という言葉(概念)がないというのにびっくり。

私たちには、子どもが「大人になりたい」と思えるような子どもの未来を歩き示していく責任がある。(本文より)

日本では常識と思っていることが他国では違ったり、逆にびっくりするようなことが他国では常識だったり…。それでもどの国の子も立派に育っていくのですよね。

読み終わった頃には、育児に対して少し気楽になれるかもしれません。他国の社会の制度や風潮が羨ましくなることも多々ありますが、これからのママたちのために、日本の社会でできることを考えるきっかけになるかも。

そして、一番大事なことは「まず、ママが幸せに」。家族のために、社会のために、堂々と自分の幸せを見つけましょう!

子どもを抱えて、どうする?小説で知る震災、女性被災者

「女たちの避難所」垣谷美雨(新潮社)

2011年3月11日。北陸のとある町で被災した3人の母親が、偶然同じ避難所で暮らすことに。杓子定規な役所の対応、集団生活のストレス、地域に根付く風習などに悩まされながらも、それぞれの抱える問題を解決しようと奮闘します。

働かない夫を自宅に残し、買い物中に被災した福子

スーパーで買い物中に地震に遭った50代の福子。その後、津波に巻き込まれながら生き延びるまでは、手に汗を握る展開です。遠方に住んでいる息子夫婦が避難所に訪ねて来てくれても、一緒には暮らせないという現実も。避難所で他人と助け合いながら、自立しない夫との関係を見つめ直す彼女が出した結論は…。

乳飲み子を抱え、生き残った舅・義兄と避難する遠乃

地震直後、生後6か月の息子を抱いて、近所のママ友と避難した28歳の遠乃。夫と義母は亡くなり、横柄な義父と、遠乃との再婚を密かに狙う義兄との避難所生活が始まります。美しい容姿のせいで、危険な目に遭いそうになることも。それでも息子を守るため、福子たちに助けられながらたくましく生きようとします。

小5の息子の安否を気にする、シングルマザーの渚

離婚して実家に戻り、母と店を開いた40歳の渚。お昼時に自宅で被災し、店に残っていた母、学校へ行っていた小5の息子は行方不明に…。離れ離れになった母や息子を必死で探す姿は、とても他人事とは思えません。避難所で生活しながら、息子のいじめなど、震災後に明らかになった問題に向き合う強さも。

「人をケアするべき性」として扱われてきた女性被災者たちは、頑張れと言われるばかりで、自らをケアしてくれる存在がいない。(解説より)

地震、津波、その後の避難所生活…。それらが詳細に描かれていて、報道される綺麗事だけでは済まされない震災の現実が伝わってきます。

特に、避難所で暮らす女性ならではの悩みやストレス、地域性からくる人間関係のもどかしさ、根付いた風習のやるせなさに、腹が立って時々読むのが辛くなるほど。

万が一のことを考えて、ママの視点から「自分なら何を準備するか、どこへ逃げるか、家族との連絡はどうするか」を考えてみてもいいかもしれません。必要なのは「生きる」意志と、思い通りに動く体だと痛感しました。

○だから仕方ない?イライラする夫対策本

「夫は犬だと思えばいい。」高濱正伸(集英社)

子どもを「ひとりでメシが食える大人」に育てる、ということを目標としてきた筆者(男性)。子どもの問題は母親に、さらに父親にあることに気づき、異性の違いを認め合うことが子どもの健全な育成につながると説きます。

子どもの問題は母親に、母親の問題は父親にある?

学業不振、不登校、家庭内暴力…子どもを抱える家庭で起こる問題はさまざま。でも、どの家庭でも共通しているのは、母親の「夫が話を聞いてくれない」という言葉でした。

子育ての悩みが尽きず、孤立する母親たち。その裏には、家に帰りたくない父親の姿が…。大人がみんなつらい、そんな状況をどうすればいい?

「夫は犬だ」と思えば、母親は楽になる?

男と女は違う生き物。その認識をわかりやすく表した言葉が「夫は犬だ」です。単純で、だらしなくて、子どもっぽいけど、家族に忠誠を誓う犬。

犬だから仕方ない、と割り切って、期待しすぎず、違いを理解すれば、色々なことが気楽になるかも?ちなみに父親には「妻は猫だと思え」と言っているとか…。

異性の違いを学ぶことは、どんな人間関係にも役立つ

父親と母親はお互いに違う生き物だと認識したうえで、理解しようと努力すること。その姿勢を見せるだけでも、関係は見違えるほどよくなるようです。

家庭内だけではなく、学校でも職場でもその認識は役に立つでしょう。子どもの頃から異性の違いを学んでおくことで、将来的にスムーズな結婚生活を送れるかも?

初めて知ったのは、お母さんが家事をしたあとに褒めてほしいということでした。(筆者の講演を聞いた男子の感想)

「夫は犬だ」というと少しきつい言葉に思えるかもしれませんが、実際に聞くと笑ってしまう母親がほとんどだとか。「犬は毎日散歩に行きたがるもの」と同じように、「夫は脱いだ靴下を放置するもの」と思うことができれば、イライラが少しは収まるかも?

ほかにも親がカエルで子どもがオタマジャクシという例えもあり、「オタマジャクシに向かってなぜ水中で泳ぐのか、と思ってはいけない」という一文にはドキッとさせられました。男女が違いを認め合い、わかり合うために努力する姿を、まず家庭で子どもたちに見せていきたいですね。