3~6歳は、ぐんぐんと言葉を吸収する「言語(ことば)の敏感期」です。この時期に親子で楽しみながら、語彙を増やすことができるなぞなぞ遊びをご紹介します。電車の待ち時間など隙間時間にいつでも、どこでも楽しめます。ぜひチャレンジを!
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言葉をどんどん吸収する「言語の敏感期」
初回の記事では「モンテッソーリ・メソッドとは何か」、そして子どもの育ちを理解するために知っておきたい「敏感期」についてお話をさせていただきました。「敏感期」とは、子どもが成長過程で自らの「ある機能」を育てるために「特定の刺激」に対する感受性を持つ時期のことです。
言語の敏感期は、生まれたときにはすでに始まっています。赤ちゃんは言葉に対する特別な感受性を持っていますので、様々な音の中から無意識に人の言葉を聞き分けています。
生後4カ月ごろには人が話している口元をじっと見るようになり、6カ月ごろには発声器官を震わせて音を出すようになります。このように2歳ごろまでは「無意識のうちに言葉を吸収する時期」と言われていますが、それ以降は「意識的に言葉を吸収する時期」です。
3~6歳頃には「単語の数がどんどん増える」「会話が文章になっていく」という特徴があります。様々な言葉に興味を示し、人の話す言葉を繰り返し真似ることで爆発的に語彙を増やしていきます。
- 0~2歳半:無意識的に言葉を吸収する時期
- 2歳半~6歳:意識的に言葉を吸収する時期
親子で遊べる!ためになる!なぞなぞ遊び
言葉に特別な関心を持っている3~6歳ごろに楽しめる遊びとして、今回は「なぞなぞ3択問題」をご紹介します。これは、私の勤務する「子どもの家」で空いた時間に楽しんでいるものです。
この遊びそのものはモンテッソーリ女史が考えたものではありませんが、この年頃の「言葉の敏感期」や「自己訂正」の考え方を基にしたものです。
「なぞなぞ3択問題」の利点
このなぞなぞ遊びは、3つの選択肢の中から問題の答えとして正しいと思うものを子どもに選んで答えてもらう形式のものです。子どもの知っている言葉もあれば、聞いたことのなさそうな言葉も登場します。ダジャレ式に「似た発音で意味の違う言葉」も多く登場しますから、実は「なぞなぞ」というよりほとんど「言葉遊び」に近いものです。
選択肢に知らない言葉が出てきたとしても、問題をよく聞けばだいたい答えがわかるぐらいがちょうど良く、楽しみながらたくさんの単語に親しむことができます。選択肢を注意深く聞き、繰り返し発音する中で自然に語彙を増やしていけるのです。
この遊びのもうひとつの利点は、特別な道具は何もいらないことです。いつでも・どこでも・好きなだけ、繰り返して遊ぶことができます。駅や病院で待っている間、移動中の電車内など隙間時間を子どもと楽しく過ごすのにもってこいですし、何よりも子どもの好きなものを題材にできます。
女の子には例えば「おしゃれ問題」や「お花」、男の子には「電車」や「宇宙」、「恐竜」など、そのほか季節や行事をテーマにするのも楽しいですね。その子に合わせたオリジナルの問題をたくさん作ってあげてください。
出題の手順
- よく聞いて答えるように伝えてから問題を読む
- 3つの選択肢を紹介する
- 「1番の〇〇だと思う人!」と声をかけて手をあげてもらう
- 答えは「2番の△△でした」と伝える
出題時のコツ
はじめのうちは選択肢を聞くことに慣れていないため、途中で答えてしまいます。よく聞いて答えるように伝えましょう。1~3の選択肢をよく聞いて番号で答えるか、または出題者が「1番の〇〇だと思う人!」「2番の△△だと思う人!」…と聞き、正解と思うものに手をあげてもらうのも良いですね。
問題は子どもが興味のあるテーマを選び、親子一緒に楽しめるものを作ってみましょう。選択肢に明らかに違う単語を混ぜたり、発音の似たものをわざと入れたりすると子どもは「面白い!」と感じるようです。
出題例
応用
- 子どもが問題を作って出題する
- ヒントを出してもらう。直接答えを言わないように、答えを別の言葉で言い換えることで表現力が向上する
今日の言葉「自己訂正」
今回の「なぞなぞ3択問題」の正解を伝える時の工夫は、単に「あたり!」「はずれ!」という言い方で答えを伝えるのではなく、答えが正解だったかどうかを子どもが自分で判断できるようにした点です。
これはモンテッソーリ・メソッドの「自己訂正」の考え方を応用しています。「自己訂正」とは、誤りを先生や他の友達に指摘されることなく
自分で気がついて、自分で直す
ことです。モンテッソーリ・メソッドの教具には「自分の能力を自分で育てられるように」様々な工夫がなされています。そのひとつが「自己訂正」の機能です。
身近な例をあげると、ジグソーパズルにも「自己訂正」の要素があります。パズルというものは、全てのピースを正しい場所に入れることでひとつの図案が完成するものです。
ひとつでも間違っているときには図案が完成しないという結果によって「自分が何かを間違えている」ことが知らされるわけですから、誰に言われなくても明らかです。
モンテッソーリ教具も同様に、子ども達が自分で誤りに気がつくように設計されています。誤りというものは人に指摘されるよりも自分で気がつく方がずっとためになるものです。
どうすれば問題を解決できるか、自ら試行錯誤する
自分で気がついた子どもは後戻りをしてどこが違ったのか、どうすれば問題を解決できるのか自分の頭を使って試行錯誤します。そうして答えを自分で見つけることが子どもにとっての喜びであり、自信につながっていくのです。
クイズの答えもこれと同様です。ただ単に「あたり!」「はずれ!」という言葉で成否を知らされるよりも、正解だったかどうかを自分で確かめられる方が良いと思います。
ですから、「正解は1の〇〇でした!」という言い方で子どもに伝えるのが良いのです。問題を出す大人も、ぜひ目一杯楽しんでください!
次回は、1歳ごろの小さな子ども向けに、家庭で簡単にできるおもちゃの第2弾をご紹介します。