/ 2017.08.17

幼児教育先進国であるシンガポールの教育環境は世界でも注目されており、シンガポールの子ども達は小学校入学までに一通りの読み書きができます。現地ママが実践している算数や読み書きに興味を持つための学習方法や言葉掛けをご紹介します。

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小学校入学時、一通りの読み書き能力が必須のシンガポールキッズ


シンガポールの子ども達は日本で準年少にあたる時期(2、3歳児)に「勉強」を開始します。数の概念やアルファベットの学習が始まり、園の多くは年中や年長になると英語のスペリングテストがあります。

中国語やマレー語を母語としている人が多いシンガポールですが、公立高校でも母語以外の科目はすべて英語で授業がおこなわれています。

小学校入学時には、英語での一通りの読み書きと算数ができる状態が求められているのです。

ママが実践する子どもが読み書きに興味を持つ仕掛け

シンガポールの教育環境は、国民全体の教育レベルを上げるという政府の方針が背景にあります。その中でも、手軽にできる具体的な学習法をご紹介します。

  • 線をなぞり、円を書く

    シンガポールの幼稚園でもここから始まります。日本のウェブサイトでも「線をなぞる」で検索してでてくる無料のワークシートを印刷するとお手製ドリルができます。

  • 「お気に入り」に文字を書く

    好きなキャラクターイラストを無地のマグネットに貼り、文字を書き、自然と文字を画像として把握します。

  • 五感で触れる

    五感で文字に触れるのが興味を惹く近道です。きらきら星のメロディで歌う「ABCの歌」はその代表例です。

「考え方を教える」シンガポール式算数学習法

「シンガポールのKindergarden Mathの例」Singapore Marth Inc. より 

日本の算数は「答えを教わる」学習法が採用され、方程式が多用されます。それは教える側も、教わる側も手短で済むので楽です。しかし応用問題に発展すると、学んだ方程式のどこにどの数字を入れてよいのか分からず、お手上げになる子がでてきます。

「Bar Model の例、3年生算数のテキスト『Primary Mathematics CC ED Textbook 3B』Singapore Marth Inc. より 

一方、シンガポールの算数は「考え方を教わる」学習方法であり、「バーモデル」という図を視覚的に描く手段が主流です。

バーモデルでは数字を目で見て理解することができるので、自分で考える力を身につけることができます。重要なのは、算数を教える側は答えを与えすぎない勇気、待つ忍耐力を持つことです。

幼稚園での算数では簡単な絵と三角形や四角形など図形をいくつか見せて同じものを選ばせたり、どちらの数字の方が大きいかなどの訓練を早期から始めます。

現在、シンガポール流算数は世界中で注目され実際に採用するケースが増えています。日本でもシンガポール式算数が学べるドリルが出ているので興味がある方はぜひ挑戦してみてください。

バイリンガルやトリリンガルは当たり前 シンガポールの言語環境

多民族国家のシンガポールの公用語は英語だけではありません。中国語、マレー語、タミル語が日常的に使われていて、2カ国語、3カ国語が話せる人は少なくありません。

そのため、子どもの言語習得のために様々な工夫をしている家庭も多いです。

例えば、朝ごはんの時間とお風呂の時間のみ徹底して英語で話しかけるなど時間を区切っての言語の使い分けをすることで、複数の言語を切り替えて話す「コードスイッチング」を鍛えることができます。

幼少期の外国語教育では、どちらの言語の習得も中途半端になってしまうセミリンガルになるのが心配、と言う方もいますが学習法の工夫で、言語をバランスよく使い分けできるようになるのです。

子どもの教育に熱心になるのは、将来の可能性を広げて豊かな人生を送って欲しいという親の願いがあればこそ。

楽しく勉強に興味を持ってもらえるように、様々な工夫をしていきたいですね。

<参考>
「世界一の学力がつくシンガポール式算数ドリル 小学1〜6年: 「バーモデル」で文章題にとことん強くなる!」

レポートしてくれたのは

杏菜さん

グローバルママ研究所リサーチャー。シンガポール在住。夫、3歳の娘と3人暮らしのワーキングマザー。娘が6カ月の時から東南アジアを中心に11カ国を旅行。子連れ旅行情報に精通している。