/ 2017.05.16

ニュースなどで見聞きする、〝運動能力の低下〞。文部科学省によると、昭和60年代から現在まで、子どもの運動能力は低下傾向が続いています。今回は乳幼児期の運動の大切さや、親子で楽しみながら運動能力を高める遊びを紹介します。

お話を聞いたのは

東根明人さん

一般社団法人コーチングバリュー協会代表理事・博士(医学)。運動能力を伸ばすコーディネーショントレーニングの研究と普及に取り組んでいる。著書に『子どもの運動神経はジャンケンゲームでみるみる育つ』(青春出版社)等。

※この記事は、2016年9月発行の「あんふぁんぷらす 10月号」に掲載した記事を再編集したものです

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生活の変化で現代の子どもは活動量が減っている

昭和50年代頃までの子どもたちは外で走り回ったり、木登りをしたりと、外遊びで体を動かしていました。しかし、現代は親の自転車や車に乗って移動する機会が増え、歩くことさえ少なくなっています。

また、公園など遊ぶ場所が減ったこと、テレビ視聴やゲームの時間増、事故や犯罪への懸念などから室内で過ごす時間が増えたことも活動量の減少要因です。運動が不足すると肥満を招いたり、食欲がわかず栄養が十分に取れないことも。

転んだときにとっさに手が着けないなどけがをしやすくなる、将来的に病気になりやすいなど、健康を脅かすことにもつながります。

2012年に文部科学省が策定した「幼児期運動指針」によると、「毎日、合計60分以上、楽しく体を動かすことが望ましい」とのこと。

これには家庭や外で遊んだり、保育園の行き帰りを歩く時間も含まれるので、保育園に通っていれば、平日はほとんどのお子さんがクリアできているはず。休日は家庭でも意識しましょう。

遊びで伸びる5つの運動能力

1.バランス能力

体のバランスをとる力。転びそうなときに姿勢を保つためなどに使われる。

2.リズム能力

自分がイメージした動きを体現したり、相手との動きのタイミングをつかむ力。動きを真似するときに発揮される。

3.操作能力

思った通りに体を動かしたり、ボールやラケットなどの道具を使ったりするときに欠かせない力。

4.認知能力

空間や時間などを把握したり、状況を考えて判断したりする力。

5.反応能力

合図や動きに素早く反応する力。飛び出してきた車をよけるときなどに役立つ。

運動神経がいい人は、上記5つをバランス良く発揮しています。5つの能力が大きく伸びるのは運動神経が著しく成長する3~8歳頃。

この時期に作られた運動神経の回路は強固で精密なものになり、大人になってもその機能が衰えることは、ほとんどないといわれています。

親はラクして子どもは楽しい!運動能力を伸ばす親子遊び7つ

運動能力アップに欠かせない5つの力を高める遊びを、おすすめの年齢とともに紹介。遊んでいるうちに「こんな遊び方もいいかも!」とアイデアが出てきたらしめたもの。お子さんと一緒に楽しい遊び方を見つけてください。

【0~2歳】抱っこしてゴロゴロ遊び

親が子どもを抱っこして横になり、そのまま左右にゴロゴロ揺れます。首をしっかり支えれば、首がすわり始めた頃からできます。

【0~2歳】ハイハイトンネルくぐり遊び

親が四つん這いになってトンネルを作り、子どもがくぐって遊びます。

【2~6歳】風船タッチ遊び

ママやパパが上から風船を落とし、子どもにタッチさせます。

【2~3歳】トンネル& 滑り台遊び

親が床に座って膝を立てます。子どもはママやパパの膝裏のトンネルを通ったり、すねを滑り降りたりします。

【2~6歳】いろいろタッチ遊び

親が言った場所を素早くタッチ。ママやパパは「頭」「足」「床」などいろいろな場所を言いましょう。

【4~6歳】ジャンケンハグ遊び

親子で向かい合って立ち、ジャンケンをします。勝ったほうはハグをし、負けたほうはハグされないようにしゃがんだり一歩下がるなどしてよけましょう。

乳幼児期は体を激しく鍛えるのではなく、運動を遊びとして楽しませて。親が無理して一緒に動かなくても、声を掛けたり、一緒に笑ったりするだけで子どもは喜び、体を動かすことが楽しくなります。

楽しいと感じると、さらに運動をするようになり、運動神経はますます高められるのです。