あなたは子どもに「ねえ、これはどうして〜なの?」と聞かれたら、どう答えていますか。「どうして?」の種類はさまざまで、簡単に答えられるものもあればどう答えてよいのか困ってしまう質問もあります。今回はモンテ教師なりの答え方を紹介します。

index目次

子どもの視点に立って世界を見てみよう

幼児期の子どもにとって、世界は不思議に満ちています。彼らは全てのことに関心を持ち、毎日新しい何かを吸収します。あらゆることが初めてなのですから、見るものの全ては謎だらけです。ほとんど反射的に「なぜ?」「なに?」を発していますから、大人にとっては突飛でおかしな質問だったりします。

真面目な人は「子どもの質問にどう答えたらいいでしょうか」と悩んでしまうようですが、あまり深く考える必要はありません。質問の種類もいろいろなので臨機応変に答える必要がありますが、全てを正確に答える必要はありませんし、分からないなら分からないで良いのです。

ただひとつ覚えていてほしいことは、子どもは正解を教えてもらっただけでは満足しないということ。大人に聞いてもらったり、答えてもらったりしたことには満足していますが、自分なりに腑に落ちて初めて「そうか〜!」と納得するのだと思います。

簡単に答えられる質問にはその通りに答えるとして、そのほかの質問への対応は次の二つのポイントを意識してみてください。

1.「不思議!」と感じている子どもの気持ちに寄り添う

「ほんとだ、不思議だね」「面白いね」「どうしてだろうね」
分からないことは分からないままでもいいのです。いま子どもが感じている気持ちに共感してみましょう。

2.子どもなりの答えを見つける手助けをする

「どうだろうね、○○ちゃんはどうしてだと思う?」「私は…だからだと思うな」
自分なりに納得するには、自分の答え探してみることも大切ですよね。なんでも大人が答えを探してあげるより、子どもと互いの考えを出し合ってみるのはいかがでしょうか。

例えばこんな質問になんて答えますか?

  • 「これなあに?」「これはなんて言うもの?」というシンプルな質問には「○○だよ」と答えるだけで良いですね。
  • 特に2歳や3歳児の質問は答えを知りたいというよりも「新しいものを見つけたぞ!」「これはなんだ!」という興奮を質問として表していることが多いと思います。こちらが答えたとしても「ふーん、そっか」程度の反応です。子どもとしては、回答の内容をあまり気にしていません。

  • 「ビスケットはどうしてビスケットなの?」
  • これは困った質問ですね(笑)。子どもは質問をすることで、大人と会話を楽しんでいる場合もあります。「ビスケットはどうしてビスケット?」はほとんど意味のない質問ですが、大人がなんて答えるのか気になるのかもしれません。「トーマスはどうして機関車なの?」「アンパンマンはなぜキャラクターなの?」なんかもどうしていいのかわからない質問です。

    私なら、「面白い質問だね」「そうだね〜、○○ちゃんはどう思う?私はこう思うな」と独自のおもしろ回答を披露すると思います。子どもとキャッキャ言いながら会話を楽しんでしまえば良さそうです。

  • 「どうして雨が降るの?」
  • これも大人が困ってしまうタイプの質問です。子どもの年齢にもよりますが、年中児くらいまでなら、「どうしてだろうね、不思議だね!」「お空が悲しいのかな?」程度に答えるとよさそうです。「〜ちゃんはどうしてだと思う?」と質問返しをして考えを聞いてみても良いと思います。

    幼児は特に自然現象に強く心惹かれます。「どうして雨は降るのか」「なぜ空は青いのか」「どうしてお花は開くのか」といったことに関心を持ちます。こういった子どもの感覚は「センス・オブ・ワンダー」と呼ばれるものであり、大人がすっかり忘れてしまったものかもしれません。

    この手の質問に答えるのはやっかいです。子どもの年齢にもよりますが、自然現象を子どもにも分かるように説明するのは難しいことですし、大人にすらよく分からないこともあります。

    そして、実は子どものほうも必ずしも正確な答えを求めているわけではありません。大人がどう答えるべきか考えている間にも、子どもの興味はもう別のことに移っているのです。長々とした説明よりも、いまこの時に子供が「不思議!」と感じている気持ちに寄り添って「ほんとだね、なぜだろうね?」と言うだけで子どもは満足します。

    年長児以上(小学生以降かもしれません)で、もしも本当に訳を知りたいようなら子どもと一緒に本などで調べてみるのもいいかもしれません。お風呂の天井についている水滴を見ながら話すのもわかりやすいと思います。この場合は大人が答えを全て教えてあげるのではなく、子ども自身が納得する答えを見つけられるように一緒に考えるスタンスでいるといいと思います。

  • 「赤ちゃんってどうしてできるの?」
  • これも難しい質問ですが、あまりはぐらかさずに子どもの理解度に合わせて答えてあげるといいですね。幼児なら「お父さんとお母さんが神様に赤ちゃんをくださいって一生懸命お願いしたからよ」程度にして良いと思います。もしかしたら最近同じクラスの友達に妹や弟が生まれて、うらやましくなったのかもしれません。

  • 「どうしてご飯を食べなくちゃいけないの?」
  • 似たような質問で「どうして幼稚園に行かなくちゃいけないの?」「どうして早く寝なくちゃいけないの?」などがありますが、これはもう質問というよりも何か不満や不安が溜まっているときですね。何か訳があると思いますので、よく話を聞いてあげてください。

    大人の回答は「ご飯を食べて栄養を取ると大きくなれるよ」のようなものだと思いますが、子どもに「どうしてだと思う?」と聞いて、一緒にご飯を食べることの大事さを確認しあってもいいですね。

ひとくちに質問と言っても内容はさまざま。大人としては回答に困ることもありますが、二つのポイントは共通していると思います。子どもとのコミュニケーションがより楽しいものになりますように!応援しています。

この記事を書いたライター

ライター一覧 arrow-right
堀田はるなさん

モンテッソーリ原宿子供の家・モンテッソーリすみれが丘子供の家教員、保育士。アパレル業界、eコマース、金融など様々な業種でのマーケティング業務を経験後、教育の道へ転身。日本モンテッソーリ協会承認モンテッソーリ教員免許取得。著作「子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド」。

堀田はるなさんの記事一覧 v-right